空中楼閣

2004年01月04日(日) 他人・・・ではない人。

初詣でに行った。
きちんと覚えてる限りでは、初めてだと思う。
三が日も過ぎた日の午前中。
雪が降ってるけど、雲に隠れた太陽はかなり昇ってる時刻。
親子に・・・見えなくもない人と。

財布から出された五円を拒否した。
「お賽銭、五円じゃないの?」
案の定、聞かれた。
「今はまだ、上手く出逢える自信が無いから。」
選ぶべき言葉が見つからないままで答えた。
案の定、不思議な顔された。
きっと半分も、三割も伝わってない。
今無理に言葉を繋いでも変な方に流れていく。
「それに、神頼みしなくても出逢えるだろうから。」
もう一つの正直な意見を言った。
「いいな、それ。」
二人で、十円ずつ投げ入れた。
これと言った願い事が思い浮かばない。
「とりあえず、適当に生きてみます。」
何となく、生き方を宣言してみた。

その人を私は『ヒト*』という名で呼ぶ。
苗字なのか名前なのか、そもそも本名ではないのか。
(多分、偽名なのだと思う)
漢字も知らないし、聞いてもいない。
ヒト*さん、ヒト*くん、ヒト*。
時と場所は問わず、自分の気分次第で呼び分ける。
私をその人は『ヒロ*』という名で呼ぶ。
苗字なのか名前なのか、そもそも本名ではないのか。
(多分、偽名と思っているだろう)
漢字も知らないだろうし、聞いてもこない。
ヒロ*さん、ヒロ*くん、ヒロ*。
時と場所は問わず、自分の気分次第で呼び分ける。

年はお互い知らない筈。
自分は人の見た目から年を割り出すのが下手だし。
肌を見ればいいんだと言われたけど。
結局は解らなかった。
「同級生が、高校生に『おっさん』と言われて悲しんでた。」
前にそんな話をしていたから、それなりに上だと思う。
多分、見た目より上なんだと思う。

会うのは時々。
月に一回だったり数回だったり会わなかったり。
数時間だけの時もあれば、一晩の時もある。
食事に行ったり、飲みに行ったり、部屋に居たり。
大抵は向こうの奢りだけど、こっちもたまに奢る。
そんな調子で二年には満たない月日が過ぎた。
会った回数は覚えてないけど、両手で足りないくらいには会ってる。

体の関係は無い。
お互い、そういう対象で見た事は無い。
向こうが抱けそうな人は他に大勢いると思う。
ヒト*は、それなりに整った顔を持っている。
性格も悪くないから、困らないだろう。

恋人でも、愛人でも、浮気でも、不倫でもない。
(お互い独身だから不倫は無いけど)
並んで歩く事はあっても手を繋ぐ事は無い。
肩を抱く事も無い。
もし恋人だと思われても普通であれば困る事は無い。
でも、向こうは自分よりも立場が上だろう。
最悪きっと、良くない事態になる。
こっちは周囲の目を気にする必要は無い。
でも、恋愛感情の無い自分の恋噂が流れるのは多分困る。

好きな映画・好きな音楽・好きな食べ物・好きな本。
それなりに解ってる。
本名・年・職業・本当の家・お互いの関係・ついた嘘。
何一つ解らない。

会わなくなる日の来るのが先か。
正体が解る日の来るのが先か。
どちらかが先に知ってしまうのか。
知らぬままで死が別れを呼ぶのか。
まるでゲームのような関係。

もう、出会った場所すら覚えてない。
そんな関係を、人は何と称するのだろう。


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亨 [MAIL]

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