![]() |
十年目の憂鬱 - 2005年06月28日(火) 必死であそこから逃げてきた。 隠れるところなんてどこにもないからただひたすらに逃げてきた。 気休めのごめんなさいをのどがかれるまで繰り返しながら、 耳をふさぎながらもつれる足で転びながら、 走って走って、 あれだけの距離を走ったと思ったのに、 気づけばもといた場所にいる。 自分勝手で欺瞞に満ちた、卑劣で愚かで傲慢な、悪意と欲の塊みたいな、 あのにきびだらけの中学生のまま、あたしは一歩だって前に進めていない。 あたしはいまでもこんなに醜い。 くたばるまでここを抜け出せないのかと思うと気絶したくなる。 自分の力で手に入れたものなんてない。誇れるものなんかひとつもない。 気休めになるものすらなにもない。呆然とするくらいなにもない。 ない、ということはびくともしない。 (だからそんなあたしから振り絞ったものがカスでしかないのはあたりまえだ) あたしはこうしてくたばりぞこないのまま 羨望と劣等感と熱望とに苛まれながら 何も勝ち取れないまま足掻いて老いさらばえるしかない。 舞台を降りることすらあたしに選択権はない。 ない、ということはびくともしやがらない じゅうねん経った。 あたしはほんとはあのとき死んでいて、 これは全部夢で、あたしは生き恥をさらしてなんかいない。 そう思えたなら楽になれるのかもしれないけれど。 言葉に裏切られ馬鹿にされ罵られ苛まれて、それでもあたしにはこれしかないので握り締める。 誰かのせいにできない、ということがいちばん酷だ。 ...
|
![]() |
![]() |