正しい手 - 2003年07月04日(金) 真っ直ぐに生きることを嘲笑って もう随分と遠い処まで来てしまった。 振り返ったその道は余りに平坦で。 誇るモノなど何もない。深みも何処にもない。 立ち尽くす。 粋がっては見ても 自分はまるで甲斐がない。 路傍の石より少しだって存在価値など無いのだ。 其れを思い知って尚 何故ワタシは厚かましくも息をしていられるんだろう。 あまりに狭い。驚くほど狭窄なのに 其の癖世界はびくともしないんだ。 ナニモノにもなれなかった事を恥じる。 俯く顔はさぞ赤黒くなっているだろう。 誰にも合わす顔なぞ無い。 愛することにも詰ることにも倦んでしまった。 だって何処まで行っても何時まで経っても ワタシはワタシを辞められないのだもの。 向き合う現実は厳然と。残酷なまでに変わらない。 ワタシを捌くのも裁くのもワタシなら ワタシは誰に懺悔すればいいんだろう。 ワタシはこんなにもどうしようもない。 それでも爪は真っ直ぐ伸びる 鳴らすと澄んだ音がする 握る。 振り上げる。 此の手は 只 正しく、 在る。 それが苦しい。 ...
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