2007年09月14日(金) |
第634話 ノーリード |
お客様の家のワンコ、レオ君(仮名)は16歳の紀州犬。オス。
この春ぐらいから足腰が弱り、夏には暑さ負けしたのと高齢なのとで散歩といえば家の周りをぐるっと回ってトイレを済ませるぐらいでした。 日中も夜も玄関に入れてもらってエアコンの冷気でしのいでたのです。
それがある日の夜、やたらに吠え、苦しそうなので(いよいよ具合悪いのか)と心配しながらも近所迷惑を考えて、お客様ご夫婦(50代後半ぐらい)でレオ君を車に乗せて散歩に連れ出したそうです。
夜風に当たらせたら落ち着いてその辺の草の匂いをかいでたので、リードも鬱陶しかろうとはずしてウロウロしてるレオ君を見守っていたそうです。
やがてレオ君が草むらに入ったので 「戻っておいで!」と声をかけるも戻らず。
もう一度呼んでも戻らず。
慌てて草むらに入って探せども見つからず。
家の周りをヨロヨロと散歩するだけだったレオ君は忽然といなくなったそうです。 慌てるご夫婦。 3時間も深夜に探し回り、諦めて帰宅して朝一番で警察と保健所に電話したものの届けがなく。
張り紙したり広報誌に載せたり。 ふっとおもいついて3日目に動物愛護センターに電話したら、該当する犬がいたそうです。
動物愛護センターに連れてこられるときに発見されたのはいなくなった場所から10キロも離れた場所。 ヨロヨロと歩く状態だったはずなのにそこまで歩いたらしいです。
レオ!とご主人が声をかけると大喜びで檻の中から駆け寄ってくるレオ君は、何処の犬かと思うほど汚れてダニだらけだったそうです。
お風呂場に連れていき、ノミ取りシャンプーで洗うと、血をすって膨れ上がったダニが何十匹もポロポロと落ちたそうです。
動物愛護センターとは、率直に言えば処分場。 あと数日遅かったら処分されてたところでした。 私は家の近所にそんな施設があることすら知りませんでした。
警察と保健所に連絡しても、動物愛護センターには横の連絡が行かないものなんですね。 恐ろしい。
青い首輪を付けた白い紀州犬という情報が回っていれば、あんなにあのご夫婦は痩せるほど心配しなくても済んだのになあ。
そして思ったこと。
ノーリードにするのは普段と違う状況状態では危険ですね。 体調が悪い時、きっと犬はいつもとは違う状態なんだと思います。 今回、無事に手元に帰ってきたからよかったけれど、見つかった場所までは大きな道路を横切り、大きな橋を渡らねばならない場所だったそうです。
慣れないひとり歩きでよくぞ車に跳ねられなかったものです。 それもまたレオ君の運の強さであり寿命が残っていたということなんでしょうけど。
レオ君は今はまたヨロヨロした状態でおとなしく家の周りを歩くだけの状態に戻ったそうです。
おかあさん、美味しい匂いがするよ!
栃木の山の中で若い頃のノアがいなくなった30分ほどの時間。 あの時の悪夢を見てるような絶望と後悔と不安に胸を刺されるような思いをしたくないので、私はほとんどノーリードにはしなくなりました。
もう、あんな思いはしたくないんですもの。
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