2006年12月22日(金) |
第639話 台湾の犬たち |
母と台湾に行ったのです。 台湾には犬がいっぱいいました。
日本のように首輪とリードをつけてお洋服を着ている犬もいましたが、それはごく少数でした。
私が見た犬たちは多くが外犬でした。 一昔前の日本の猫状態。 主がいるのかいないのか、首輪をつけてる犬もいましたが首輪の無い犬も多かったです。
黒ラブに似た犬が多かった。 でもみんな立ち耳。やや巻き尾。
人間の勝手な感傷と思いつつ、食べ物を探して道を歩き回る犬の姿は胸が痛い。
激しい交通量の道路をひょいひょいと車を避けながらあちこちと歩き回り、食べ物をくれそうな人のそばに行き、カメラを向けるとどの犬も急いで逃げていきました。
下町の繁華街でリヤカーを曳いてきたおじいさんから食べ物をもらう犬たち。 何かと思ったら豚足ならぬ牛足だったり、正体不明の塊だったり。 美味しそうに食べてた。
都会の犬たちははしっこく視線を走らせ、人の間を上手に歩き回っていた。 田舎の犬たちはのんびりと道路に群れを成して横たわったり歩いたりしていた。 車はクラクションを鳴らしたり避けたりしながら犬たちをやり過ごしていた。 犬をいじめてる人は見かけなかった。
でも積極的に知らない人に寄ってくるような人懐こい気配もなかったな。。。
朝の5時、雨の街を歩いている犬。 わき目もふらずにまっすぐ歩いていた。 帰る家はあるんだろうか。 「犬はリーダーを必要とする群れで生きる動物だ、だから飼い主は信用されるリーダーにならなくてはいけない」としつけの本にあったが、都会の犬は人間社会の中で一匹ずつで生きてるように見えた。
スクーターの洪水のなかでビーグル発見。 人間の2人乗り、3人乗り、最高では4人乗りを見たけど、犬も見かけた。 犬って、車でもスクーターでも、顔を出して乗りたいんだなあって、おかしかった。
日本に帰る日の朝。夜明け前に道端で古着を売ってるおじさんが連れてた黒い子犬。 首にひもをつけられていた。 「写真を撮っていいですか?」と身振りを交えて聞くと、おじさんは足で紐を踏んづけて子犬が動き回らないようにして写真を撮らせようとしてくれた。
動き回る子犬に手間取っていたら何やら子犬を叱りつけるような声をかけるおじさん。 「いいよいいよ、動きたいんだよね。」と声をかけて抱いてみた。 自分の頭の重さでよろめくような子犬。 ノアを思い出していきなり強いホームシックになった。
台湾の人たちは犬におおらかだった。 山の上にある観光地では、細い路地の中にぎっしりのお店と人。 その路地の中に住み着いてるらしい何頭もの犬。
あちこちを忙しく歩き回りつつ、売り物の洋服にオシッコかけてる犬もいた。 みんな犬をかわいがる風でもなく、かといって邪険にする風でもなく、一緒に暮らしていたっけ。
日本の犬の暮らしとは全く違うし、欧米のノーリードでどこへでも上品にお供する犬とも違う生き方をしてた。 犬好きの母は、 「ああ、あの犬、車にはねられないんだろうか」と犬たちを見つめては気をもんでいた。
年を取って足元もおぼつかないような犬も道路を住処として暮らしていた。 そんな年まで生きていける環境ではあるらしいよ。
そして我が家の黒犬。 私がいない間、何事もないように暮らしていたらしいけど、帰宅後、朝も夜も、私の様子を見ていて少しでも私が出かけようとすると (一緒にいくから!!)と飛びついてくる。
置いていかれるのが心配になったらしい。
(どっか行く?行くの?)
置いていかないよ。 お母さんはずっとノアと一緒にいるよ。
ノア、おまえは安穏と生きてるなあ。
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