2005年11月25日(金) |
第532話 私を幸せにしてくれる姿 |
朝も昼も、ノアは家を出ると職人のおじさん目指して駆け出すようになった。
「走らない!引っ張らない!」 と叱りつつ、「ノアに楽しみがある」っていうのがなんとなく嬉しい。
でもね、昨日はついにおじさんがいなかった。
(おじさん、いないね・・・)
「もうおじさんいないんだよ」 そう話しかけると、首をかしげてじっと私の顔を見る。
意味が通じたかどうか。 茶色の目が不思議そうに私を見つめるのが可哀想で、朝から遠くまでお散歩行ってしまいました。
道路を一本越えたら、そこは霧の世界。
ノアは霧の中を歩くのが好きです。 露のついた草むらを、わざと顔をくぐらせながら小走りに進むのですよ。
顔も胸もびしゃびしゃにしながら私に笑いかけてくる。
やがて沼のほとりにたどり着くと、そこは白鳥のなわばり。
ノアが橋の欄干から顔を出すと、そのたびに「ジューッ!コルルルルッ!!」と 叱られる。
何度も叱られてるうちに、ノアも「ゴルルルル」と怒り出すので慌てて白鳥のそばを離れた。
職人のおじさんに会えなくなってノアの楽しみがなくなっちゃったけど、また新しいお楽しみが出来るといいな。
ノアが何かを楽しみにしてる姿は、私を幸せにしてくれるんだよ。
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