2005年08月10日(水) |
第494話 愛されてるのね |
1年ほど前に、うちの近くの人と思われるおじいさんが、黒ラブの子犬を連れて散歩し始めた。
え・・・と目を見張ったのは、おじいさんがかなりの年配だったことと、私よりはるかに小柄だったこと。(たぶん身長は155ぐらい)
小柄で中肉なおじいさんが、やんちゃ盛りのオスの黒ラブに引っ張られて、そっくり返るようにしてバランスをとりながら歩いてた。
(なんで?なんでまた、大型犬を??) 大きなお世話なんだけど、そう思った。
しかもその子はすごく脚が太かった。 顔は四角いショードッグタイプで、あきらかにノアなんかとは違うたくましい系。
あるときは、痩せた小柄な奥さん(身長は150前後、体重は40キロ前半と見た)が散歩させてた。 奥さんは背中が丸くなりつつあって、明らかに骨粗しょう症。
(大丈夫かなあ。。怪我しないといいなあ。。。) 大きなお世話を承知で、見かけるたびに思ってた。
でもね、大丈夫だったの。
その子は大人になるにしたがって、引っ張らないようになった。 おじいさんの足取りに合わせて、ゆっくり散歩してる。 時々おじいさんを見上げては穏やかに笑ってる。
ちゃんと自分がどうすればいいかわかってるような、賢そうな子だったよ。
まだまだやんちゃ盛りの1歳過ぎだと思うんだけど、暴走なんかしないらしい。 おじいさんは欠かさず毎日我が家の前を通って散歩に行ってる。
この前は、暑い日の4時ごろ、舌を出しながら歩いていたけれど、頭には赤い帽子をかぶせてもらってた。 よく見ると、両方の耳がちゃんと出るデザイン。
おなかにはピンクの柄のある太いベルトのような腹あてが巻いてある。 どうやら中には体を冷やすものが入ってるらしい。
よかったねえ、君は愛されてるのねえ。
犬グッズを買うときの、老夫婦の会話が聞こえるような。 「暑くて可哀想だから、なんか買ってやるか。」 「ペットショップで探して見ますか。」
「ほら、これなら暑くないぞ」 「ちゃんと耳も出せるわねえ。」みたいな。
おなかにピンクのベルトを巻いて、頭に犬用の赤いキャップをかぶって、今朝もあの子は散歩してた。
幸せなワンコと幸せな飼い主は、とってもいい景色で、見ている私も幸せになるなぁ。
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