2005年07月29日(金) |
第490話 私だったら引き取りたい |
もう10日ほど前になるんですが、目が突然見えなくなったL君の飼い主さんと公園で会いました。
連れていたのは佐助君だけ。
「L君は?具合悪い?」と聞くと、飼い主の奥さんが見る見る涙ぐんで
「それがねえ、目のことで入院してたはずなのに、入院してる最中にいきなり心臓と肝臓が悪くなったんよ。
目が見えないとか言ってる場合じゃなくなったんよ。
何回も血液検査してるらしいんだけど、どんどん数値が悪くなりよる言うてねえ。」
「え・・・?だって目以外はなんでもなかったよね?」
「そうなんよ、なんで入院してしばらくしてから心臓やら肝臓やらが悪くなったんだか。入院前の検査ではどこも異常がなかったのに。」
しばらく考えて言おうかどうしようか迷ったんだけど、聞いてみました。
「それ、もしかして檻に入ったまま、カラーつけて24時間点滴とかしてたんじゃない?」
「そうそう、してた。なんで?」
「私も素人だからわからないけど、ノアが1歳の時に車に軽く接触して入院したときに、似たようなことがあったの。
そのとき、打撲程度だったんだけど、交通事故はいきなり急変することがあるからって入院を勧められたんだよ。
入ったときは元気だったのに、お見舞いに行くたびに元気がなくなってねえ。
3日目の朝にはぐったりして目を開けるだけでもう尻尾も振らないし、頭を持ち上げる元気も無くなったんで、交渉して『もういいです』って、引き取ったことがあるの。」
(ストレスや不要な点滴で心臓や肝臓の具合が悪くなったんじゃないの?)と思ったけど、それは素人が憶測で言うべきことではないなあ、と思って言わなかった。
「あぁ、うちのお父さん(旦那さん)も、あの点滴が負担なんじゃないかって言うんよ。何の薬か、本当に必要なのか、今日にも聞いて来いって言うんよ。入院ももうやめさせようかって、二人で話しあったんよ。」
「んー・・・点滴は何のためなんだろう。失明の原因がわからないのに、何の点滴してるんだろう?」
「だからもう、引き取ろうかと思ってねえ。最悪の場合、わたし、自分で抱いて看取ってやりたいんよ。」
「うんうん、最悪のときはひとりで行かせたくないよねぇ。このまま病院で点滴されたまま死んだら可哀想だよねえ。。」
この段階でもう二人ともぼろぼろ泣いてたんですが。
私だったらねえ、ノアがよくよくひどくなったら、引き取りたい。 引き取って、この家の、いつもの居場所のリビングで、抱いて見送ってやりたい。
治療して治るというなら何ヶ月でも入院するのは仕方ないと思うけど、老齢になって、目が見えなくなって、入院したまま、ひとりぼっちであの世に行かせたら、一生後悔する気がする。
今朝、大きい公園の反対側を、奥さんは佐助君だけを連れて歩いてた。 L君、どうなったんだろう。
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