2005年05月29日(日) |
第463話 泣くな自分 |
土曜日は所属している団体の勉強会があって東京に1日出かけていた。 大きい駅を出て歩いてすぐに会館の表示があるはずだったのに、さっぱり見つからず方向音痴炸裂。
時間に余裕を見ていたので、その辺を歩きながら探していたら、路上に人だかりがあった。 若い女の子やカップルがしゃがみこんでいる先には犬の群れ。
結構な強さの陽射しの中、黒や茶色や色とりどりの6匹の仔犬。生後1ヶ月ぐらい。 まん丸てんてんなおなかを出して歩道の上に並べられて眠っている。 「かわいー」とささやきながらいろんな人がおなかを撫でている。
つれてきたと思えるおじさんの脇にはお乳の大きい茶色の母犬。 ぐっすりなんだかグッタリなんだか、こちらも熟睡している。 そして2メートルほど離れたところにおなかの大きいゴールデン似の犬。
妊娠してる犬のおなかを撫でてる女性もいる。 母犬も妊娠してる犬も、ノアと同じかそれ以上に大型だった。
おじさんの足元の紙に「ご協力ください」みたいなことが書いてある。 何をご協力なんだろう。
菓子箱の中には100円玉が7〜8枚入ってた。 仔犬をもらってくれないか、餌代をカンパしてくれないかって言ってるらしい。 「カンパの箱」におじさんの犬の飼い方が見えるから、ショックだった。
おじさん、どういうつもりなんだか。 自分の犬、子犬が生まれるままにしてて、後から困ってるんだろうか。
おっぱい飲んで満足そうに寝てる仔犬たち。 疲れてるような母犬たち。
あの子犬たち、可愛い盛りが過ぎて親に似て大きくなって、いっぱい食べるようになったらどういうことになるのかなあ。
(おじさん、いままで飼った全部の犬、最後まで面倒見てるのかなあ。) (このこたち、半年もしたらどうなるのかなあ) (大型のミックスの犬、貰い手が出てくるのかなあ)
そう思ったら幸せそうに眠ってる仔犬たちの将来が不憫で泣きそうになって慌てた。 我が家に来たときのノアとそっくりな仔犬もいたんだよ。
(泣くな、泣くな、泣くな)
自分を叱りながら歩いたんだよ。 道を歩きながら泣いてたらすごい変な人だし。 目を赤くして行ったら会合先で驚かれるし。
おじさん、犬を好きではあるんだろうけど。 餌代に困ってカンパを募るぐらいなら、生ませるなよ。 予防接種はしてやってるのかよ。
犬ってさ、どんな状況に置かれても、それを受け入れて生きているでしょ。 あの犬たち、あんないい加減な飼い主のことだって、きっと全力で愛しているんだろうなあ。 顔を見れば尻尾振って甘えたり、おじさんが具合悪けりゃ心配したりするんだろうなあ。
それがすごく切ないわ。
追記 あのおじさんはホームレスだったらしい。 そうか、そうなのか。 そりゃ餌代も出せないよね。 いっそう切ない話です。
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