2004年06月20日(日) |
第321話 17歳のチワワくん |
歩いてすぐの公園の西側に、17歳のチワワがいる。 もうちゃんと歩けないんだけど、毎日何回も奥さんやご主人に抱えられて公園にやってくる。
芝生に下ろされると、必死に立って歩こうとする。 その様子は生まれたての鹿や馬の赤ちゃんが立とうとする姿に似ている。
そんな足元のおぼつかないチワワ君なんだけどね、ノアのことが好きで好きで、追いかけようとする。
ノアがメスだからなのか、犬同士で関わりたいのか。その両方か。
風向きの具合でノアに気がつくと、よろめきながらも足を踏ん張り、必死にやってくる。 熟年の奥様は 「いいの、あんたみたいな爺さんはいらないってよ。」 などといいながらも温かい目で愛犬を見守っている。
たまにノアに向かって 「若くていねえ。つやつやだねえ。お母さんにいっぱい遊んでもらいなよ。」 と声をかけてくれる。
ノアは声をかけてくれる人が大好きだから、そっちにばく進しそうになるが、チワワくんを踏みつけたら大変なので、ある程度までのところしか行かせないようにしている。
そのチワワくんが、道路に一人で出ていることがあった。 住宅街の中とはいえ、たまに車は通る。 側溝に落ちたら這い上がれないだろうし、ふらついてる犬に見つかったら何されるかわからない。
興味の無さそうなノアを引っ張ってチワワ君に近づき、抱き上げた。 空気みたいに軽かった。 ノアの25キロとは大違いの軽さ。
(なにー?それなにー?) 急に連続ジャンプでチワワに飛びつこうとするノアをかわしながら飼い主さんの家に声をかけた。
誰もいないようだった。 茶の間の掃きだし窓が少し開いていて、そこから迷いでたらしい。 他の人に見られたら、そうとう不審者なのは覚悟の上で、チワワ家の敷地に入り、開いてる窓にチワワ君を押し込んで窓を閉めた。
ノアの匂いに興味津々で離れがたそうなチワワ君に 「ハウスよ。ハウス。」 と声をかけて敷地を出た。
なんだか興奮してあちこちの匂いを嗅いでるノアが、花壇の花を5〜6本踏み潰してしまったが・・・・許してもらおう。(。。)
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