美しくて気高くて優しかった叔母が湘南の川に身を投げたのは6年前の今日のことだった。丁寧に掃除された部屋のテーブルに通帳と印鑑、家族に宛てた置手紙。夜明け前の闇の中を彼女はその川まで走って行ったのだと母は言った。誰も見ていなかったのになぜ走って行ったことがわかるのかと私が尋ねると見ていなくてもわかると母は答えた。
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