MUSIC春秋
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 2005年10月09日(日)
哀愁のライブバー

♪El Dia Que Me Quieras〜想いの届く日

閉鎖された窓口。
JR四日市駅にて。


JR関西線に乗り込んだのは午後5時過ぎ。
見慣れない風景が
みるみる暮れ行くのを見ていたら
なんだか寂しくてたまらなくなった。

こんな時そばにいてくれたら、と
思い浮かべる相手さえ
今の自分にはいない。
そう思ったら涙が出そうになった。

その時
向かいの席でさっきまでメールを打っていた
からし色のネクタイの制服の男子中学生が
いつのまにか首をがっくり垂らして眠りながら
肘をビクンッと痙攣させたのが目に入ったので
涙が引っ込むどころか
笑いをこらえるのが大変になった。

駅前は驚くほど暗い通りだった。
歩いても歩いても目的のカフェバーは見つからず
不安で悲しくなった。
やっと連絡がついた友人に助けを求めると
店は駅のすぐ前だった。
予想より近すぎて見えてなかった。

満員の店内はなんとなく白っぽい。
私が行ったライブの中での観測史上最高の
客の年齢層の高さにより
白髪率65%以上(目測)のため。

タンゴはイマイチよくわからない。
リズムはメリハリがあるはずなのに
メロがごちゃごちゃしてわかりにくいので
うまく乗れない。
わかるのは
哀愁という言葉がよく似合うこと。
厳しい時代を経てきた男たちが
タンゴの旋律を耳を傾け
思いを馳せるのはどんな過去なのか。
狭い店にあふれるそれぞれの人生の重みを
白髪まじりの後姿とネオンの音に感じながら
「El Dia Que Me Quieras」を聴いた。



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