a fish called datsu -だつという名の魚-
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前にも書いたとおり、先週末は東京に行っていた。他にも書くことは沢山あるが、それはこれから整理しながら幾つか小出しにすることにして、そこで本を数冊買ったので先ず書評から始めたいと思う。 『南海ホークスがあったころ―野球ファンとパ・リーグの文化史』 永井 良和・橋爪 紳也 著 紀伊国屋書店 日ごろ余り野球には興味を持たない方だが、本屋でパラパラとめくってみて引き込まれた。南海ホークスについてはかなり漠然としたイメージしかなかったが、関西の私鉄と球団の関係や応援方法の変化、企業文化と応援、球団グッズのあり方などを絡めてじっくりと読ませる。著者が2人とも学者なので、軽く読むというよりも地域文化論とかスポーツ社会学みたいな切り口と言った方が良いかもしれない。 パ・リーグ、それも西日本の球団をメインに書いているため、セ・リーグファンには食い足りないと思う。というより、読売巨人軍を巨人とは書かずに読売と書いているところにそこはかとない敵意を感じる。文献も読売新聞からは余り引用していないし…。 それから気になるのは、関西の5大私鉄(阪神・阪急・南海・近鉄そして京阪)の中で球団を持っていなかった京阪(そのため関西圏以外の人には知名度が微妙に落ちる)沿線の人たちは、特にどこの球団を応援してたのだろう。ちょっと気になる。
『日本がダイスキな外人のブログ』 マーティ 著 インプレスコミュニケーションズ 著者は室蘭市で英語の非常勤講師をしていたカナダ人だが、日本に対する印象をわざわざ日米2ヶ国語で綴っている。これはなかなかできることではありません。私もこうして更新頻度の低い日記を書いてはいますが、英語で書こうとはとてもとても思えません。 そして、この本はとても勉強になる。日本語で書いているところで文章の意味が分かりづらいところは英語で読むと言いたい事が分かるし、分かる日本語でも英語で何と表現するのかが分かっていい。 そんなマーティさんが日本で経験する色んな出来事が書かれているが、外国の人は北海道の日常生活をこんな風に捉えているのかと感心する一方、この本は個人的にはとても面はゆい1冊でもあった。 それは彼が室蘭で出会った恋人の女性の名前が自分の名前にとてもそっくりな上、彼女の事を知ってる日本語を尽くして褒めるので照れくさかった。決してそれは自分の事ではないのはよく知っているが、何だか恥ずかしい気分になった。
『結婚がこわい』 香山 リカ 著 講談社 まだこちらの方はよく読んでいないので、何とも言えない。だが、政府の少子化に対する論調は空回りしているとは私も常々思っている。出生率の上昇にはある程度シングル親の増加が付き物だと思うし、子供は病気に罹りやすいので小児科の病院を充実させるべきだと思うが、政府は全然その辺に目配りをしていないというか、そうしようともしていないと思う。 著者は『オニババ化する女たち』を批判しているが、私もあの本みたいな女性観が嫌いだ。女性の生き方には結婚や妊娠以外にも色々なファクターがあるのに、子供を生むことにしか女性の価値を認めないのはどうかと思う。これまで勉強とか仕事を完璧と言えないがそれなりに頑張ってきたのに、それを全否定されて子供を作るのが至上課題だといわれても困るのである。私は独身で子供もいないまま30代になったが、その事で人様に負け犬と言われても苦笑するだけだが、鬼婆とかあの本の文中の言葉みたいな感じでろくでもないと言われればブチ切れると思う。それが鬼婆だといわれるかもしれないが、自嘲と侮蔑は違うのである。
と、何だか長編になってしまいました。読んでくれた人は有難うございます。
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