KALEIDOSCOPE

Written by Sumiha
 
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  「二人」に帰ろう


2005年02月01日(火)
 



◇ひとりごと

今日のタイトルは西脇唯の曲名〜。

何かを忘れていると思ったら日記を書くのを忘れていたのでした。習慣になっているようです。小中高と日記を書こうと思ったことなど一度もありませんでした。サイトを開設してから習慣になるなんて我ながらどんな心境の変化なのだか。(毎日更新ではないものの)長続きしているのが不思議でなりません。良いことなのでしょう恐らく。

週末を除いて今週はサイトから離れます。詳細はいずれ個人サイトのほうで。と言うか宣言するまでもなく今でも充分放置プレイ(汗)。ごめんなさい。今年のVDはどうしよう。今日から二月になる時点でこんなこと言っているのでは先が見えたも同然?(-_-;)

またも日付変更間際にばたばたと。時間はたくさんあったろうに。ギリギリになってようやく重い腰を上げる悪癖どうにかしたいです。ケツに火がつかなきゃ何もしないってどうよそれ。ああでも解約できて良かっ……た、のか? さみしい。

しかし冷えますね。もうちょっと冷えて雪が降ってくれたらもっと嬉しいんだけどな。冬は寒さと雪だ! コタツDEみかんはコタツを処分したから無理だ!(哀) 飽きるほどって言うか無関心になるくらい雪が降る地域に生まれたかったです。嗚呼しかし寒いよ。足が特に冷える。ココアでも飲んであったまろう。そういや徹夜をした日の占いにちょうど寝不足に注意しましょうなんてあって笑ってしまいました。快眠は健康の第一歩。

あれ? また予定をオーバーしてしまった。つくづく計画性のないと言うか計画通りに物事を進められないと言うか計画倒と言うか。一人称だと語らせてしまう傾向にあるなあ。でもこの展開で三人称はきつい。(三人称に慣れてないから余計に)難しいです。要修行。久々に書いたですよ。きちんと完結したものは一ヵ月半以上(二ヶ月?)ぶり。カップリングとしては……うん、考えるのやめよう。(……)



◆寒い夜

 眼球が極度の寝不足と酷使による疲労でじくじくと痛む。
 体力に自信があると言っても、満足に休息を取らない毎日を送っていれば自ずと限界を迎える。
 視界が白く濁りはじめ悪足掻きをやめた。パソコンの電源を切る。これ以上モニタと睨み合っていたら、ただでさえ悪い視力が更に低下の一途を辿る。
 まだ終わらない課題の山に溜息をつく。肉体がやめろと言っているのだ、仕方がない。仮眠すれば体も納得するだろう。
 末端が冷えきっている。冷え性ではないのに、だ。ずっと同じ姿勢を取っていたせいだ。これでは眠ろうとしても眠れないかもしれない。一度風呂に入り体を温めよう。
 立ち上がると関節が悲鳴を上げた。痛みに気を取られた次の瞬間。体が脳の支配から逃れた。
 目に見える景色が完全に純白に染まる。白一色、ほかには何もない。自分さえも見えない。
 咄嗟の判断か本能か。デスクに両手をつき身体を支えた。
 立ちくらみだ。危なかった、無様に転ぶところだった。
 白の次は黒。丸と四角が混ざったような幾何学模様。布越しに見ているような、あるいはサングラス越しに見ているような。
 まぶたを閉じる。訳のわからぬ模様とモノクロの世界から一時逃避した。我慢して目を開けていると気分を悪化させる。過去の経験から学んでいた。
 目の奥から来る痛みが収まるときを待ち、ゆっくり身を起こした。今度は立ちくらみも起きない。
 人間の体は意外とやわだ。それとも最近の無茶な生活が祟ったと言うべきか。
 リモコンでエアコンのスイッチを切る。暖房が効いていない廊下を想像して滅入るも、部屋から出なければ風呂に入れない。浴槽に浸かれば体だって温まる。それまでの辛抱だ。
 ドアに頭をぶつける前にノブを回す。まだそこまで眠気でボケていない。自室のドアを開け、出てから閉める。そのまま閉めたばかりのドアを凝視した。見慣れない白い紙に目を奪われた。
 見覚えのある字が紙片に並んでいる。セロテープでドアに貼り付けられていた。走り書きでも綺麗な字だ。乱れているのに読みやすい。書いてある内容を理解する前に、我ながらどこかずれた感想を抱いた。何度も目が文字を追い、ようやく脳に情報を伝達する。
『レポートもいいけど休憩しないとアタマ動かなくなるわよ』
 誰が書いたかは考えるまでもなかった。同居人だ。こちらは課題に埋もれ、向こうはバイト三昧の日々。この数週間全く顔をあわせていない。連絡は携帯のメールで取っていたから、お互いの状況なら知っていた。
 ドア近くにはキッチンワゴンが置かれていた。ワゴンと言っても引き出しなどがついているワゴンではない。食器を置き移動させる際に使うワゴンだ。お盆の上に大皿が一枚、皿にはサンドイッチが乗せられている。
 食事したのはいつだったか。そもそも今は何時だろうか。部屋にこもると集中して周囲に頓着しなくなる。悪い癖だ。
 まわりに意識を向かわせられるようになった今ごろ空腹と寒さを自覚した。
 一人で食べるには些か味気ない。自室には戻らずワゴンを押してダイニングルームに向かった。暖かく誰もいない部屋より、寒くとも誰かが――同居人がいる部屋に行きたい。ダイニングにいる確証はなかった。そもそもいつ差し入れが運ばれてきたかすらわからない。
 サンドイッチはそれなりの量があった。残せるように、また乾燥してぱさぱさにならないようにラップでくるまれている。
 気を遣わせてしまった。バイトで疲れているだろうに。肉体労働でないにしても。
 コーヒー、いや紅茶……ココアの方がいいか。ささやかだがお礼として差し入れ返しがてら一緒に食べたい。
 キッチンにいなくても家にいてくれたら。
 時刻が夜中でなければいい。自分は生活サイクルが完全に狂っているが、彼女は夜に寝て朝に起きている。自然で健康的な生活を送っている。眠っていたら起こせない。起こしたくない。急を要する用件があるならまだしも、ただのわがままだ。連絡は専らメールだった。声も顔もすぐには思い出せない。会いたいから、話したいからという理由で起こしたくない。一方的な押し付けは迷惑だ。
 気分が沈む。寒さも終わらない課題も無音も手伝って。
 独りは寂しい。理性も感情もとっくに降参し認めている。もちろん誰でも良いのではない。彼女にこそ、傍らにいてほしい。
 ダイニングに着く。人気も火の気もない。予想はしていたがやはり落胆を否めない。
 時計の針は十時十五分を指していた。外は暗い。朝ではなく夜だ。カーテンが閉めきられている。
 少し早いがもう寝てしまったのかもしれない。それはそれで仕方ない。タイミングが悪かった。やはり無理は良くない。会えるチャンスを逃す。いまのように。
 せっかくここまで来たのだからコーヒーでも飲もう。差し入れを腹に入れたら風呂に入って寝る。どうせなら朝まで寝ようか。ぐっすり寝て起きたら、朝食を共に食べられる。
 特に集中しているときは干渉を嫌うと知られている。課題で部屋にしばらくこもると言った日から起こしに来なくなり、食事の準備はしてもできたからといって呼びにも来なくなった。頼りっきり、気遣わせっぱなしだ。
 とりあえず今日は起こしてくれとメモを残しておこう。きっと起こしに来てくれる。今度は会えるチャンスを逃さない。
 戸棚からインスタントコーヒーの瓶を取り出す。話し相手がいないなら手抜きしても構わない。独りで飲むならインスタントでも豆でも同じだ、大して変わらない。
 湯が沸く。
「課題もう終わったの? 今回は長かったわね、ゼル。お湯残ってたらココア作ってくれない? サンドイッチのお礼って事で」
 火を止めて振り返った。
 いたずらを思いついたときと同じ笑み。
 そうだ思い出せた。この顔で、この声で、ときに笑い、ときに怒り自分を支えてくれた。
「カップはどれがいいんだ? いまなら特製サンドイッチと給仕がついてお得だぜ、リナ」
「特製ってそれあたしが作ったんじゃないの!」
 どれほど顔を合わせていなくても、声を忘れてしまっても。会えば変わらない笑顔でふざけあえる。
 心に灯がともり冷えきっていたはずの体まで熱くなった。

――終。
稿了 平成十七年二月一日火曜日

A様へ捧ぐ。合格おめでとうございます記念。拙文失礼致しました。じつは半分だけノンフィクション。ええもちろん後半ではなく前半ですとも。



BGM
Mr.Children
抱きしめたい
名もなき詩
Everything(It's you)
花-memento mori-

SURFACE
君の声で君のすべてで…
.5(HALF)
まいったな〜しょうがない〜

山崎まさよし
One more time, One more chance

(我ながらどういう選曲なんだ)
 



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 止まった時が命尽きる時  
 廻れ舞えよ自動人形 
 踊り疲れて止まるその日まで