KALEIDOSCOPE

Written by Sumiha
 
  OLD CONTENTS NEW




  シンキンラヴ


2003年07月18日(金)
 



似たようなタイトルばかり続く。明日には飽きてカタカナ続きのタイトルも今日で終わりだったりしてな。ははん。愛について考えましょう愛ってなあに。桜井さんは歌ってました「与えるものでも奪うものでもなく気がつけばそこにあるもの」気が付くまではそこにあるってわからない。だからわからない愛の正体ってなに。

昨日書いていた小説の一部。今回は保険医と原作姫の会話です。ブリザード。



宣戦布告・1

 静かにカップをソーサーへ戻す。
 陶器の触れ合うかすかな音さえ気に入らない。否、許せない。
 ゆっくり息を吐く。苛立つ心を鎮めるために。
 外も校舎内も静かだ。体育――校庭での授業は昨夜から降り続く雨で保健に変更、或いは体育館での授業を余儀なくされている。それでなくても雨の中わざわざ外に出て濡れたいと思う者などいやしない。校舎内が静かな理由は至って単純、授業中だから。
「それで」
 気温が低い為だろう。湿度が高くともさほど不快に思わない。地下にある被服室にいたなら寒さすら感じる筈だ。まだ六月、梅雨に入ったばかり。
 ――いまごろ彼女はミシン相手に悪戦苦闘しているだろうか。それとも少しでも自分を気にかけてくれているだろうか。口では悪態をつきながらも心根の優しい彼女は。
「私に何の用かしら?」
 意識を目の前の保険医に切り替える。
 蜂蜜色の髪の毛は流れるまま背中に垂らされている。だらしないイメージは受けない。ボサボサ頭ではないせいか。仮にも保険医なのだから束ねるか切るかすればいいといつも思う。例えだらしなく見えなくても、だ。きついウェーブの掛かった髪を結わない姿を衛生的とどうして言えようか。
 細い眉に猫のような目、すっと通った鼻筋と厚ぼったい唇。男から見ても女から見ても美人と言える顔立ちだ。シャープな顔立ちがきつい印象を与える。薄い微笑でやや和らぐものの、目の光の鋭さまでは誤魔化しきれていない。
 白衣の下は黒のワンピース。胸部が強調されたデザイン――大凡教育機関に所属する人間に見えない。
 まるで男を誘ってるみたい。吐き気がするわ。
 眉根が寄りそうになる。奥歯を噛み締め、かろうじて堪えた。
 吐き気がすると言えば室内に立ち込める消毒液のにおいだ。つんとした異臭と目の前の保険医と居場所が保健室という三点を取り除けば割と快適な時間を過ごせるのに。
 お茶と静かな雨。今ここにいない彼女と二人きりなら最高の時間だ。そう、目の前にいるのが保険医でないならば。
「まさかお茶をしに来た訳ではないでしょう? 出す私も私だけれど」
 にこやかに言う彼女も先ほどから紅茶を飲んでいる。
 授業開始から五分後、誤って――誰が何と言おうと不慮の事故だ――縫い針を指に刺してしまったのだ。だから保健室に来た動機は手当てだった。決してサボリではない。増してやお茶が目当てで来た訳でもない。教師にも一般生徒にも優等生で通っているのだ。余程の事情がない限りサボリなどしない。
「消毒とバンドエイドを頂きに来ただけですが?」
 すまし顔で答えた。とっくに手当ての済んだ左手の人差し指をこれ見よがしに掲げる。
 保険医は眉を上げただけだった。誰が信じるか、と顔に書いてある。
 ……もちろん建前だ。
「それと」
 すっと立ち上がる。
 立つと保険医を見下ろせる。気分がいい。自分の優位を相手に思い知らせてやれる。
 笑みが自然と浮かんだ。
「わたしの邪魔をすると痛い目に遭いますよ、と――忠告をしに」
 踵を返す。スカートがひらりと舞う。顔にかかる髪の毛を右手の人差し指で弾いた。
 被服室に戻るのだ。長居は無用。三十分もここで無駄な時間を過ごしてしまった。はやく行かなければ余計な心配と詮索を受ける。嬉しい状況とは言い難い。
 ちなみに紅茶は向こうが勝手に出したのだ。こちらからねだったのではない。
「お姫様の有難い忠告、謹んで拝聴させていただくわ」
 明らかに従う気のない言葉である。背中で聞いた時にはドアの手前まで来ていた。
 髪を乱さないよう、ゆっくり振り返る。保険医は底の知れぬ笑顔でこちらを見ていた。
 同じ笑みを返す。
「その忠告があなたの役に立つといいんですけど」
 そっとドアを開け廊下に出る。冷気が紅茶で暖まった体を冷やす。梅雨寒に感謝せねばなるまい。蒸し暑い保健室で保険医と向かい合って紅茶を飲むだなんて。想像するだけで嫌気がさす。
 いや――冷房は保健室にも完備されている。公私混同と紙一重、蒸し暑くなれば保険医権限で寒いほど室温を下げるだろう。冷房病になりそうだ。暑いにしろ寒いにしろ遠慮したい。度が過ぎれば何でも毒になる。
 ドアを閉める前に一礼した。相手が誰であろうと最低限の礼儀くらい心得ている。
「紅茶、ご馳走様でした」
 音も無くドアを閉めた。
 あの保険医が場所を構わず煙草を吸う人間でなくて良かった。煙草の臭いが移るのは頂けない。消毒液の臭いは紅茶の香りで相殺されたと思いたい。
 さて手当てに予想外の時間が掛かった理由をどう説明しよう?
 決して走らず、出来るだけ急ぎ足で廊下を進む。最早、保険医の存在も交わした会話も頭に無い。帰りを待っているであろう親友への言い訳で手一杯だ。彼女は鋭く頭が良い。なまなかな言い訳には騙されてくれない。
 親友の――今は親友の、彼女の顔を思い浮かべる。それだけで心穏やかになれる自分を知っている。
 見つめれば微笑んでくれる、自分だけに与えられた特権だ。彼女の隣に在るのは自分ひとりでいい。他はいらない、邪魔なだけ。
 他はいらない。邪魔だから。

――終。
稿了 平成十五年七月十八日金曜日



ほのぼのした会話は対リナの時のみです(笑)。ところで出張らせる予定は微塵も無かった筈なのにレゾさんが出張りそうです(それはもうレゾリナベースと言えそうな程)。何故!(答:私が好きだから) もういっそ近親者として出してしまおうか(……)(あっしまったこう書いたら役どころがバレバレ)(まあ今更か)。タブー続出。やばい話題しか出て来ないのは風邪のせいということに。鼻が詰まって酸欠です。くるしい。声がステキにアルトでハスキーです。げほごほ。

私自身は喫煙しません。どちらかと言うと嫌煙家です。でも煙氏は大好きです(笑)。それはもうハーモニカをスモーカーと誤読するほどに!(有り得ない!) どうなってるんですか住刃さんの目は。眼科行ったほうがいいですか。むしろ精神科ですか。頭の中が煙氏でいっぱいなんですどうすればいいでしょうか。あほだ。どうしたらここまであほになれるのだろうか。……煩悩を書き連ねてれば自然とそうなるか。煩悩は増えつづける一方です(笑)。どうしてくれよう。

鳥が(あ、ドフラさんではないです念の為)椅子ウェブ(どこだよ)と合併ですか。一応スペース持ってる(が有効活用してない)身としては……あー。複雑であります。なんだかなあ。どこもかしこも広告がだんだんウザくなってきてますね。いえ無料でスペースをお借りしている以上、文句は言えないのですけども。それにしたって限度あるだろう。XREAさんはずっとこのままだといいなあ。有料を検討するほど好きです。安いし。(笑)もう離れられない離さないv(笑)

今日は酒盛りになりそうなので早めに(ここを)更新。酔っ払ってネットに出るととんでもないことになりそうなので自粛します。理性はあるのです一応。大体、酔っ払うっつーても眠くなる+異常にハイになるだけですし。つか風邪ひいてんのにお酒かい。まあ昨日も飲んだしいっか……(註:最後に追記した時点では夕食前でしたので飲酒してません)。350mlのスクリュードライバー(オレンジ+ウォッカ)(補足:アルコール分5%)ではさほど酔えませんでした。スパークリングワインのみたいー(笑)。シラフで酔ってるってこの状態のことなのでしょうかとふと思ってみたり。全ては眠いせい。フフ!(やめれ)



BGM無し。
 



 OLDNEWCONTENTS MAILHOME




 廻れ廻れ独楽のように  
 止まった時が命尽きる時  
 廻れ舞えよ自動人形 
 踊り疲れて止まるその日まで