● ひよこの妄想覚書帳

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2005年05月04日(水)  誕生日小説が間に合わない…





「ねぇ新一。GWの予定は空いてる?」

幼馴染のどこか期待を込めた声はいつもの事。

「あー?そんなもん空いてるわけねぇだろ。事件はいつ起こるかわかんねぇんだから。」

年中無休の探偵業にGWなんて関係ない。
むしろ、この日本国民が浮かれている時期こそ事件と言うものは多い。
いつ呼び出されるかわからない状態で、予定なんて入れようが無いのだ。

「ちょっと新一君!補習も無いGWに何言ってるのよ!せっかくなんだから事件なんて殺伐としたモノなんかじゃなく、バカンスと言う潤いも人生には必要なのよ!?」

自分を幼馴染と2人で挟むように立つのは、その親友。
相変わらずピーチクパーチクうるさい説教を垂れてくれる。
何が悲しくて放課後をこんなうるさいのに囲まれて過ごさなくてはならないのか…
教室内でも響くのに、ここはグラウンド。
それでも遠くまで聞こえているようで、周りの下校中の生徒達からの視線がかなり痛かったりする。

実際にはそのほとんどが名探偵の美貌にうっとりと眼福に浸っていて、園子のうるささなんて気にもしていないのだが、本人はソレがわかっていない。

「それでね。園子が5月3日から5日まで一緒に別荘に行こうって言うから新一も…」

「あー?何でそんな一番人が多そうな時期に行くんだ?どうせ園子の事だから男漁りができるような所なんだろ?」

日本人の多くが国外旅行に行くとも言われているGWだが、当然国内旅行の割合も多い。
都心から離れる場合がほとんどなので、必然的に別荘地などもこの時期は混みあうのだ。

「何よ!私がいっつも男のケツばかり追っかけてるような言い方しないで欲しいわ!そりゃ確かに出会いは多い方がいいけど、今回は新一君の為なんだからね!」

…結局園子嬢は男漁りも目的なようだ。

「大体ね!このスケジュールからも目的なんてわかるでしょ!」

「そうよ。一人で過ごすぐらいなら私たちがお祝いしてあげるから。」

2人の中ではすでに同行は決定事項らしく、いつものように言いくるめて約束を取り付けようとしてくる。
それにしても。

「お祝い…?一体何の…」

会話の内容が理解できず聞き返そうとした時。


――あ。


視界に入ったのは、校門の斜め前に停められているワインレッドのコンパクトワゴン。
こちらからはスモークがかけられている後部座席の窓ガラスのせいで運転席にいる人物は見えないけど。
あの車種も、色も、ナンバーも自分が見間違えるはずが無い。


「わりぃ急用!先に帰る!」

「あっちょっと…!!」

「待ちなさい新一君!」

おざなりに手を振って、振りきるように走り出す。
急いで校門を抜けて向かうのは勿論その車。
もう、自分の後ろで騒いでいるだけの蘭と園子のことなんて意識には無い。
だって、それ以上に大切なものが待っているんだから。

コン、と助手席側の窓ガラスを叩けば、車のロックが解除される。
すぐに乗り込んでシートベルトを締めれば、蘭と園子が追いつく前に車は発進した。


「それで。どうしたんだ?快斗。」

学校からそれなりに離れた頃になってようやく運転席に座る相手に声をかける。

「ん?4限が休講になったからね。新一を迎えがてら、ちょっと買い物にでも行こうかと。」

ハンドル片手にかけていたサングラスを外す仕草だけでも様になっていてカッコイイ男。
優しく微笑み細められた藍色が少しだけこっちに流されるだけでもドキリとしてしまう。

彼は黒羽快斗。
この春に国内最高学府と言われる東都大をさらりと主席で合格した超天才児。
プロデビューこそまだしていないが、その天才的なマジックの腕は各方面にその名を轟かせている。
そして、当然知られてはいないが、もう一つの顔として怪盗KIDなんてモノをやっていたりする。
確保不能、超絶的知能犯などとまで言われ、レトロなスタイル、闇夜に映える白い衣装、派手なマジックのパフォーマンスは多くの人を惹き付けて放さない。
そして自分もまた――

「(こんだけ魅力的なニンゲンに惚れないヤツなんていねぇよな…)」

その微笑だけでノックアウトされそうになり、頬を染めてしまう。

――工藤新一、17歳。自分も、その『魅力的なニンゲン』だと言う事に気がついていない。
そしてそのことについて、横にいる魔術師が自分と同じようなことを思っているなんて知らないのである。

「そうだ。新一、GWの予定は空いてる?」

何気ない風に聞かれた内容は、何だか今日すでに聞かれたような気がしないでもない事。

車はまだ混みあう前の繁華街を通り、米花ショッピングモールへと向かう。
そこに併設されている大型書店が最近の新一のお気に入りで、専門書も多く揃うここを快斗も愛用していた。
まだ着くにはもう少しかかるが、車内の会話は自宅以外である程度安心して2人っきりになれる場所であり、ある程度なら表だってできない会話をできる場所でもある。
その為、車内の会話は比較的、裏の仕事や探偵業、個人の秘密に関わる事が多い。

「GW?何かあるのか?」

「うん。ちょっとしばらくうちの別荘の方に行くから、新一も一緒に行かないかな?って思って。」

何故かちょっと困ったように笑う快斗。

「今年は母さんは行かないから1人で山奥に篭もっちゃうような状態になるんだ。忙しい新一にはあんまりお勧めできないかもしれないけどね。」

快斗だって、こういった国民が浮かれる時期は事件が多いことを知っている。
だけど、それでも誘いたくなるものだろう。少しでも一緒に居たいと――

「行く!」

深く考えるまでもなく、即答。




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まだココまでしか書いてません。
まだ続くんです。
もう4日中には間に合いません。
…公開できるのかな…?

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