「子供できたから結婚するんだけど、いい?」
久しぶりに帰ってきた息子からそんな言葉を言われた。
ロクに家に寄らなくなった息子が買い物に出ている間に帰ってきていた。 そして2、3取り止めのない会話をしてみた後で、まるで世間話でもするように普通に出てきた言葉が冒頭である。
「未成年って面倒だよねー親の同意が必要、って。」
「こ…ども…?」
「うん、そう。もう3ヶ月ー俺が卒業する前には産まれるよ、おばーちゃん。」
「…」
「?母さん?」
椅子に座ったまま伺うように覗き込んでくる息子は小さい頃のまま無邪気な瞳で。 こんな子供より子供らしい息子が父親になんて無事なれるのだろうか? いや、しかし、問題にする事はそんなことじゃない。
「でかしたわ快斗!!」
思わず息子の肩をしっかりと掴んでしまう。
「アンタの事だから可愛い女の子をしっかりと捕まえてきたんでしょう?」
「もっちろーん♪新一ほど可愛くてキレイな人知りませーん♪」
「やだ、ホントに新一君をモノにしたのね?コレで有希ちゃんとも家族なのね!キャー嬉しいわ!!」
「あー母さん、有希子さんと仲いいもんねー」
「その無駄な頭脳を使ってどうにかするだろうとは思っていたけど!子供までしっかり作ってくれるなんて!」
「あははー俺がどうしたってわけじゃないけどね〜結果的に捕まえちゃった〜」
「できちゃったでも何でもいいわ!逃がしたりしたら承知しないわよ快斗!お母さん、可愛い嫁とデートするのが夢だったんだから!」
「俺が逃がすわけ無いじゃん。子供すら逃がさないための枷にしてやるからね。」
「さすが盗一さんの子よ!!離婚なんて承知しないからね!!」
「了解ーんじゃ、近いうちに優作さんと有希子さんが帰国してくるから、挨拶した後で婚姻届けだしてくるね〜」
「あら?まだ向こうに挨拶してないの?」
「んん?電話ではしたよ?でも、やっぱこういうのって面と向かって『娘さんを俺に下さい』って言うもんじゃない?新一を置いては行けないし、一緒にも行けないし、電話したら向こうが来るって言うし…だからとりあえず先に母さんに言っておこうと思ってさー」
「やっだーそれなら新一君と2人できなさいよー私だって色々いっぱいお話したいわ〜♪」
きゃぴきゃぴとした非常に楽しそうな親子の会話がこぼれるリビング。
「どうしよう…」
とりあえず2階に隠れていた新一は、あのテンションの中に入れるかどうか不安になっていた…
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「お母さんに報告しに行こう」編。(笑) まだ快斗のお母さんは新一が女の子になった事を知りません。 |
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