● ひよこの妄想覚書帳

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2004年10月14日(木)  思いつきなんだってば…

彼を偶然見つけたのは放課後の街中。
煌びやかに輝く宝飾店に、あまりにも不釣合いな黒い学生服のまま入っていく。
そっと後をつけるように入ってみれば、彼は時計のショーケースの前で商品を出してもらいながら店員と会話をしていた。

「うん。やっぱりコレが一番いいかな。」

幾つか並べられた中から1つを取って、手に合わせるようにしながら満面の笑みを浮かべる。
まるで宝物を見つけたかのような無邪気なそれに、彼の相手をしていた女性店員が顔を染めていた。

(――ああっ黒羽君!!そんな無防備な笑顔を見せるなんてもったいないです!!)

斜め後ろからでも解るその魅力的な笑みに僕――白馬探は悔しさに歯噛みするしかなかった。

「すみませんが、コレの青と緑を。それと、青い方には文字入れをしてもらえますか?”K to S”って…」

にっこりと笑いながら手続きを進めていくのを視界に入れつつ、白馬は別の事に頭がいっぱいになっていた。
それはもう、見つめている彼がゴールドカードで支払いを済ませている事にすら気付けないほどに。

(”K to S”…?”K”は”快斗”のK…”S”は…まさかまさかっ”探”のSですかっ!!?)

身を隠していた観葉植物をガシッと掴み、導き出してしまった答えへの動揺のあまり、葉をブチブチと千切り始めてしまう。
そんな白馬の異様さに警備員が近寄って来ていることにすら気付かない。
頭の中はもうその時計を渡される時の妄想でいっぱいなのだ。

『白馬…その…コレ、お前にやる。』
『腕時計…ですか?』
『お前の懐中時計ほど正確じゃないだろうけど、俺とお揃いだから…』
『…黒羽君…それは”同じ時を刻もう”と言う告白なんですね?』
『うっウルセー!////好きに解釈しやがれ!!』

「…フフフ黒羽君は相変わらず照れ屋ですねぇ(悦)」

「あー君君。ちょっとこっちへ来てもらおうか。」

千切る手を押えられ、少しだけ我に返る頃には、周りはムサイおっさんの警備員にびっしりと囲まれているのだった。



「それではこちら、完成まで1週間ほどかかります。」
「お願いします。」

後ろの喧騒など無視したままにっこりと笑顔を見せ、快斗は店を後にする。

「あ〜間に合ってよかった〜♪雑誌で一目惚れしたはいいけど限定生産だったからな〜新一にきっと似合うからどうしても欲しかったんだよね〜間に合ってよかった〜1週間後が楽しみ〜♪♪」

鼻歌を歌いつつスキップしそうな勢いで快斗は米花町の方へと足を向けたのだった。


end









「たっだいま〜しんいち〜遅くなってごめんねぇ〜」
「おかえり、快斗。」

合鍵を使って玄関の扉を開けたら、ちょうど新一がリビングの扉から迎えに出てくる所だった。
そしてそのまま勢いで抱きついてただいまのキスをかわす。

「ねぇ新一。聞いて聞いて。今日さー用事があってある店に寄って来たんだけど、何か白馬が後つけて来てさー」
「あー?アイツまた快斗のこと疑って探偵ごっこやってんのか?」
「かなぁ。最近予告状出してないからそろそろ下見とか行動するんじゃないかと見張ってるのかもね」
「何?お前、そー言う疑われそうなトコ行ってたの?」
「うーん。疑われるかもしれないけど、本当に今回は私用で行ってたんだよ?ただのお買い物。」
「気をつけろよーアイツ時々おかしいからな。」
「そうそう。それでね、今日も何だか知らないけど突然俺のいた店の観葉植物千切り出してさぁ。(←隠れていたとは思っていない)警備員に囲まれて連行されて行っちゃったんだよねぇ〜」
「アホだな。あんなヘンタイに何か誘われてもついて行っちゃ駄目だぞ快斗。」
「あんな馬鹿についてくわけ無いじゃん〜新一のお誘いならいっくらでもついていくけどね〜ベッドの中まで〜vv」
「…ばーか////」

仲良く手を繋いだまま寄り添い、バカップルはリビングへと入っていった。





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またひよこに何かが降臨したようで。
よりにもよって「白→快新」ですか。
基本的にうちの白いウマと黒いトリは新一狙いなんですけどね。
たまーに。たまーにこうやって快斗狙いの白馬さんが降臨します。
でも、快新はバカップルなので白馬鹿の思いが届くわけも無く、時に新一さんに撃退されてしまうのですにょ。
新一さんも快斗君に近づく害虫に容赦ないですにゃ。

しかし、僅かにここの存在を知ってる人がいるのですが…
申し訳ないですが、ココで掲載してても容赦なくWEB拍手とかに使ったりします。
読む前にオチが解ってしまったりする事もあるでしょうが、生ぬるい目で見守ってやって下さい。
それなりにちゃんと修正とかは加えるので。
…日記のアクセス解析を見ると、時々不思議な検索用語で飛んでくる人もいるんですよね…
とりあえずメインへ掲載した小説や過去日記は処分しようかな…


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