つらつら日記♪
もくじ巻き戻し早送り


2002年11月12日(火) オレンジの香りを残して。


大好きだった小さなバーが閉店してしまいました。


そのバーと出会ってもうすぐ2年。
夜になると、足が自然にそこに向かっていたような・・・
なので、大好きだったそのバーと、マスターのお話。


初めて行った晩から、どっぷりハマった。


バーはドアを開けると柑橘系の香りがして
カウンターの向こうの彼がいつも笑顔で迎えてくれた。
頼むのは、店の香りと同じおすすめカクテル。
彼が作る鮮やかなカクテルを時間をかけてゆっくり飲んだ。


いつも1人で行ったけど、店は居心地が良かった。
そして体験なのか想像なのか物語なのかわからないけど
カウンターの向こうの彼はいろいろな話を聞かせてくれた。


けして無理矢理ではなく
誰かに聞かせるというより
彼自身に話しているような。


不思議だった。


手を握れば体温を感じるように
彼の言葉から切なさと暖かさを優しさを感じた。


染みるってこういうことだ。


乾いた土が水を吸うように
さらさら、と染みてくる言葉。
気が付けば涙をこぼしてる夜もあった。
奥まで染みいる夜は何かを洗い流すように泣いた。


彼の言葉が聞きたくて
そんなお客さんで店は賑わって
誰もが彼の言葉を宝物のように持っていた。
彼も、店も、愛されていた。


そうして彼の言葉は

いつしかせせらぎのように

流れて伝わっていった

ときには強く

ときには優しく

どこまでも



オレンジの香りを残して。




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