つらつら日記♪ もくじ|巻き戻し|早送り
きっと、母はすべて知っていたんだ。 それを私に告げたかったんだ。 ・・・今ならそう思う。 あの日台所に行くと母がいて その目の前には大根があった。 それが本当に大根だなんて何故言える? わかったつもりになってるだけじゃないのか? ・・・そうかもしれない。 しかし大根は我が家では毎日食べているもの。 見た目で間違うなんてありえない。 だから大根として話を進める。 どうやらこの新顔の大根、 お向かいの奥さんがくれたものらしい。 それはそれは立派だった。 太すぎず、かつ細すぎない絶妙なサイズ。 そして記載すべきはその色。 真ん中から上の部分にかけては 鮮やかな黄緑色で、真ん中から下、 暗い地中の奥深くに埋まっていたであろう部分は 土を落とし真っ白に生まれ変わっていた。 大根は何も語らないけれど、 その身体に刻まれた数々の傷は、 今日まで修羅場を生き抜いてきたことへの勲章だ。 誠意をもって冷蔵庫にしまいたい。 しかし 先ほども告げたが、この大根かなり大きい。 このままでは野菜室がいっぱいになってしまう。 スマート&コンパクトの時代である。 ええい母よ、大根といえど容赦はいらぬ、たたっ斬れい。 そこで私を手招きする母。 私にやれと言っているようだ。 包丁をにぎり、大根に手をかける。 むにゅ。 ( ̄□ ̄)わお。 大根って固いものでしたよね? なのにこの柔らかさはいったい。 このステキな弾力感はいったい。 押すと指が沈むのだが、しばらく時間がたつと元通りになる。 かなりヤバめの大根。 人を見かけで判断してはならない。 このように大根に見えても大根でない事もある。 むくんだ足ですアレは。 ***************** お向かいの奥さんへ。 大根ではない部分は破棄させていただきました。
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