ときどき、晴れ...

 

 

シブヤ*ネタバレ - 2004年03月06日(土)

ってことで。
ネタバレでございます〜!!
注意ですよ〜。























●シブヤ
舞台には、客席とステージの境目がほとんどありませんでした。
ステージには、外付けの階段がある2階建ての廃墟とたくさんの枯れた向日葵があって。
XA列のところに、ステージから降りる階段が設置されていました。
そして、暗転して音楽がかかり、再び明るくなると客席の通路を通って、ボストンバックを持ったナオヤが廃墟に向かっていきます。
そうして、静かに舞台は始まりました。

ストーリーの概略は、難しいです。
廃墟に訪れる登場人物、それぞれが生きているのか、死んでいるのか。
それさえも曖昧だから。
どこからがナオヤの妄想で、どこからが現実なのか。
それを解釈するのは、自分しかいなかったりするんです。
どの場面を現実と妄想、どちらで解釈するかによって。
見え方が多少変わってくる。
で、それもたぶん、どちらでも正解なんだろうな、とも思ったんですよね。
俳優人が、口をそろえて「この舞台はストーリーを追うのではなく、感じるんだ」っていうのは、こういう「正解がない話」だからだと思う。

だから、これはオイラの解釈の話。
それも1回見た段階での解釈だから。
人それぞれに、違うところがあるってことを判っててね。

キーワードは「若きヴェルテルの悩み」「ゼラニウムの赤い花」「ケンイチくんのお母さん」。

オイラの解釈では。
ナオヤは、過去、ケンイチの母親を愛していた。
実際に肉体関係があったのかどうかはわからないけど。
(でも、たぶんあったんだろうと思う)
それが原因で、屈折した愛情の末にケンイチを殺害。
そして、ケンイチの一家はバラバラになった。
(もしかしたら、ナオヤが一家全員を殺害したって可能性もある)
それから1年後、ケンイチの誕生日に彼の家を訪れたナオヤ。
そこには、ケンイチが居て、ナオヤを責める。
静かに、遠まわしに、それと判らぬように、じわじわと。
そんな中、廃墟に住み着いていたマリーは、ケンイチの母親の部屋を使っていた。
美しく謎めいたマリーに、たぶんナオヤは、ケンイチの母親をも重ねていたのかもしれない。
それから次々と廃墟に訪れる人物たち、その中にはマリーと関係を持つものもいた。
誰もケンイチのことを知らない。
誰もそこに住んでいた家族のことを知らない。
そして、家の中をかき回していく。
その中で、ケンイチの影に怯え、激昂し、泣き出し、半分壊れてるくらいの勢いで感情が乱れていく。

マリーは、娼婦をしていた頃に闘争に巻き込まれ、そこから救ってくれた人がいなくなり、命を狙われるようになったため、屋敷に逃げ込んできていて。
その救って囲ってくれた人が見つかるも、彼は殺されてしまっていた。
感情は乱れ、一貫性はない。

「明日」に怯え、とらえどころのない感情をぶつけ合うナオヤとマリー。

そして、夜明け前。
とうとうマリーが見つかり、一緒に居たアオヤギと共に黒い服の男たちに殺されてしまう。
そのとき2階に、ナオヤは居て。
銃声に驚き、ケンイチの母親の部屋で、今はマリーの部屋となっている1階に向かう。
そこで、ナオヤは殺されているのを見つける。
そこに、アオヤギの妹・トシミが現れ、マリーがここに居ることを刺客に告げたのは、自分だという。
そして更に、ナオヤの罪を言及する。
「全部フクダさんから、聞いたの。いやらしい・・・っ!」
しかし、部屋に入ってアオヤギまで殺されていることに、ショックを受ける。
「おにいちゃんっ・・・!」
「ああ、そうだ。あのとき、(ケンイチくんの妹←名前忘れました^^;)も、そうやって叫んでいた。ああ、どんな声だったかな、おにーちゃんって。なあ、もう一回叫んでみてくれよ」
「・・・・・・っ」
「違う、お前は妹じゃない。お前は違うっ!あー、どんな声だったかなぁ。みんな居たんだ、ケンイチの父さんも母さんも、あのとき、この家に」
ナオヤに怯えて、逃げ出すトシミ。
そして、一転。朝。
庭に座っていたナオヤのところに、マリーが現れる。
寒いから温まるために「一番原始的な方法」と言って、座っているナオヤを後ろから抱きしめる。
そして、「成長をとめるの」とファンデーションをつける。
「あなたも」と、ナオヤにもファンデーションをつけ、少しだけじゃれあう。
「若き〜」のセリフをお互いに言い合い、やがてマリーが立ち去る。
入れ替わるようにフナキが現れ、アオヤギとマリーが死んでいることに気付く。
そこにいるのは、ナオヤ、ただひとり。
アオヤギとマリーを殺したのは、黒い服の男たちなのか?
(2幕の途中で、廃墟に訪れた葬儀に向かう男たちと同一人物だった)
それとも、ナオヤなのか?
答えは出ないまま。幕は降りる。

だいぶはしょってますけど。
こんなカンジだろうかと。

それで、ツボっつーか、なんつーか。
これには、4つのラブシーンのようなシーンがあって。
対マリー、対ケンイチ、対トシミ、対フナキの4つなんだけど。
それを観てると知らずに体温が上がったんですよ。
うわぁって、なったの。
特にフナキとのシーンがですね〜、キタ(爆)。

そこでは、ナオヤがケンイチを殺したことを知ったフナキが。自分の兄さんの子供を知らずに路上で痛めつけて、病院送りにしたと。
そうやって、殺そうとした経験があるみたいな話をして、お前は人を殺したことがあるんだろう?って。
それから、ナオヤにキスなのかな?
すごく顔を近づけて話をするんだけど。
詳しいセリフとか忘れちゃったんだけど(爆)
ともかくキスして、そしたら、今までフナキにすごく生意気な態度とってたナオヤが、いきなり初めて愛情を受けた子犬みたいな顔になってさ。
その瞬間、撃沈。
ヤラレタと思った(爆)

つーか、他の人とは、そういうキスもなかったから、余計なんか。
ええっ!?と思った、ってのもある。
だって、フナキ男ですからね。
さすが、蜷川さんっていうべきなのでしょうか?

あとは、対トシミのシーン。
トシミは、最初ナオヤのことを気に入って、いろいろつきまとうんだけど。
ナオヤの感情の起伏につきまわされて、いっぱいいっぱいになっちゃうのね。
許容範囲超えちゃって。
薄暗いナオヤの感情に怯えて、スッとナオヤがスカートに手を伸ばした瞬間、驚いて飛びずさるんだよ。
そのときのなー。
なんともいえない、艶っぽいナオヤが好きだ(爆)
青炎で、紀子に逆上するでしょ?
あんなカンジなんだけど。
なんか、どきどきした。

対ケンイチは、声が。
なんか、やっぱり怯えたような甘えたような声になるのが、すごい。
他の誰と接するときの声とも違うんだよ。
そんで、ごめんなさいって泣いて謝ったりするの。
でも、ケンイチが許すわけなくて。
「お前は、こうしてオレを突き落としたんだ」
って、ゼラニウムの赤い花を落とすのよ。
そういうときの、必要以上に顔を近づけてナオヤを追い詰めるのが、やっぱり綺麗だった。

対マリーは、言わずもがななんだけど。
「好き」っていうことを言うわけじゃなくて。
(告白したとすれば、「若き〜」をお互いに諳んじたときになる)
それでも、触れる瞬間、瞬間にどきどきした。
マリーがナオヤの腕を掴んだことに逆上して、ナオヤがマリーを殴り倒すシーンがあるんだけど。
そのとき、動かなくなったマリーを見て、ナオヤは怯えるのね。
「動けよ、動けよッ!」って、蹴ったり踏みつけたりする。
それでようやく、マリーが起き上がったら、生きていたことに安堵して泣くのよ。
ごめんなさいって。
泣くっていうか、嗚咽だな。
「こんなことするつもりじゃなかった」とかなんとか。
めちゃめちゃ壊れてるナオヤが、凄まじかった。
あと、初めて会ったときにナオヤが、マリーのことを「君」って呼ぶの。
「君、誰?」って。
その瞬間、どきん、としてしまった。
ケンイチに言うような声じゃなくて、普通の、少し生意気な男の子の声になってたから。

最後の、ふたりでじゃれてるシーンは、なんか可愛いんだけどもの悲しかったなあ。

なんかね。
ナオヤの感情の起伏が、ホントに激しいの。
突然キレたり、泣いたりするから。
それでも、完全に自分のものにして堂々と演じてて。
身体全体で演技してるのが、伝わってくる。

ホントになんか、いいお仕事させてもらったな、と思った。
にのにしかできない役だと思うし。
いろんな感情を体内に燻らせてて、それを発露させる瞬間瞬間がすごい。
声も表情も態度も、瞬間で相応しいものになっていく。
観れてよかった、と思った。
演技に触れることができてよかった。

ああ、やっぱり。
近くで表情の変化をちゃんと見たかったよう。
次こそは!体調を万全にして、観劇しようと思いますv

ピカダボについては、また明日。


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