亮輔が学校から帰るなり私の目の前に足を差し出した。
「 今日昼休みに廊下でこけてズボンに穴あいてもてん 」
「 うわぁ! ほんまに穴あいてるやん! どんなこけ方したらこんな穴あくんよ」
前回の三者懇談を思い出した。
先生 「 彼はちょっかい出されやすいタイプのようで、よく友達に何かされては 「 やめろよ! 」 と言ってる姿を見かけるんです 」
まあこ 「 授業中に近くの席の子がちょっかい出してきて嫌やって話は聞いたことあります 」
先生 「 確かに授業中もあるようですね。 そんなときは相手を叱るようにはしてるんですが 」
亮輔はずっと黙りこくっている。
先生 「 実際のとこどうやねん。 ふざけ合ってる感じなんか、ほんまにやめて欲しいと 思ってるんか 」
相変わらず亮輔は黙っている。
先生 「 どうなんや? 嫌で嫌でたまらんのに相手がしてくるんやったらちゃんと言わなあかんぞ 」
亮輔 「 ・・・・・ 」
まあこ 「 相手はふざけてるつもりかも知れんけど、亮輔がほんまに嫌やと思ってるんやったら 相手にはっきり言わんと気持ちは伝わらへんで 」
先生 「 困ったことがあったらちゃんと先生に言えよ 」
先生かなり真剣な目で何度も言ってはった まさかいじめにあってるんじゃ・・・ まさかな・・・ でも・・・ 嫌なことをはっきり嫌って言わへん子やし・・ でも友達同士では言ってるみたいやし・・・ でもな・・・
懇談の後から注意して見ていると制服を砂まみれにして帰って来ることがよくあった。 ズボンだけではなくブレザーまでも。 本人は遊んでて汚れたと言うし私もその言葉を信じていた。 だからその度に 「 制服ってこんな度々洗うもんとちゃうよ。 こんなになるまで汚してこんといて! 」 と叱っていたのだが。 主人は 「 中学生にもなって全身に砂がつくような遊びするか? 」 と言う。 まあ、言われてみればそうなのだが・・・
そんなこともあって 「 やんちゃなだけ? 」 「 いじめられてる? 」 「 どんくさいだけ? 」 「 つきとばされた? 」 とあれこれ考えてしまった。 それでもやっぱり 「 本人もああ言ってるしこけたんやろ・・ 」 とお気楽な方にもっていってしまう。
夜遅くに帰宅した主人にズボンの穴の話をすると 「 いじめや! 」 「 ちょっとこけたくらいで穴なんか あくか! 」 と大騒ぎになり。 結果寝ていた亮輔をたたき起こし事情聴取と相成ってしまった。 ムキになって問いつめる主人。 「 つまずいてこけただけ 」 と寝ぼけ眼で繰り返す亮輔。
「 おまえはのんき過ぎる 」 と叱られてしまった・・・ 「 俺なら学校に電話する! 」 のだそうだ・・・
今までもそう。 楽観的な私と何かあるたびに 「 学校に言いに行く! 」 と激怒する主人。 どちらも極端なんだろうか。
それと・・・ 「 中学生にもなってそう簡単にこける奴がおるか! 」 とも言われたが 私はバンバンこけまくってたぞ (^_^;)
|