川底を流れる小石のように。 ~番外編~ 海老蔵への道!
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年明けまでは、もう舞台が無いと思うとあまりにも寂しいので、 真剣に西コースの日程とにらめっこ。 本気で行く気になれば、ちゃんと日程も旅費も調整がきくことがわかった。 目標ポイント、四国は愛媛県松山市。 ホールに電話してみると、後ろの方ならまだ席が残ってる。 飛行機往復と一泊朝食つきで、2万円のパックも充実。 遠いと思っていても、京都や名古屋よりも安く行けるみたいだ。 連休ということもあり、パリも一緒だったMちゃんを誘うと「行きたい!」とのこと。 うひゃーこれは楽しくなりそうだ。
旅の用意をしつつ、歌舞伎座に行ったり、休日出勤したり、歌舞伎友達と飲み会したり。 今月の歌舞伎座は、なんと言っても雀右衛門さんの豊後道成寺が圧巻! 娘姿でせり上がってくるジャッキーの、圧倒的なオーラとみずみずしさ。 三階B席までも、充分に伝わる「何か」があった。 娘から女へ、女から蛇の化身へ。 表情や目線の一つ一つに、感激。
そういえば海老ママの「着物ごよみ」という本が発売になったんだ。 素敵な写真が沢山の綺麗な本だ。 よく着物姿で素敵に観劇しているお友達に、ママの本見た?とメールすると、 今日ママブランドの着物の展示会に行ったら、一冊いただけたのよ~とのこと。 そうだった、「茶屋ごろも」展示会のお知らせを見て、 どんな感じなのかな?と思ってたんだった。 しかし、着物の展示会なんて、母のお供で行ったりはするけれど、 私が自ら行くと思うと、やはり敷居がちょと高い。 一緒に松山へ行くMちゃんは、「ゆうゆう」連載当時から読んでいたとのこと。 「いつかは臆せず参加出来るように、もっとお勉強しようね」と言いあう。 あの綺麗な本を一冊づつだなんて、太っ腹だね、成田屋さん。
いよいよ遠征当日。 空港で、ほんわか暖かい出来たておにぎりをパクつき、機上の人へ。 四国へ行くのは生まれてはじめて。 何も予定は決めていなかったので、ともかく松山駅近くのホテルへ。 荷物を預けて、作戦会議。 昼の部は12:30からだから、道後温泉に行けちゃうんじゃないか? 道後温泉行きの「伊予鉄市内電車」というのは、レトロで可愛い路面電車だった。 タイミングよく駅前にいた電車に乗り込み、出発! 松山城のお堀を眺めていると、旅のテンションがあがってきた。 間もなく道後温泉へ。 松山は思ったよりも移動しやすい、こぢんまりした素敵なところだ。
案内所でもらった足湯マップを参考に、道後温泉をぶらぶら。 本当は温泉に入りたいくらいだが、ホカホカして舞台の時間に眠くなりそうであきらめ。 静かで、気持ちの良い足湯でくつろぐと、早起き&機内での疲れが、吹き飛んだ。 足がふわっと軽くなって、汗ダラダラになるかと思いきや、なんだか爽やかに。 この足が軽くて爽やかな感じは、一日持続しイイあんばいであった。 ビバ道後温泉! ぎゅーっと絞ったミカンジュースが飲みたい気分だったが、 お馴染み「ポンジュース」しか発見できず。 しかし道ばたで売っていたミカンを一口試食させてもらうととても美味しい。 思わず一袋購入。 「坊ちゃん団子」を食べたり、お土産を買ったり。 駅前広場のベンチでミカンを食べて、ほっと一息。 ちょうどからくり時計の時間だったので、可愛らしいからくりを見物。 この時11:00。 もう少しぶらぶらして、道後でお昼もすますことに。 私が選んだ「鯛そうめん」は、冷たいアッサリした出汁に香ばしい鯛、温玉で、満足。 いよいよお会計しようと思ったら、お財布が無い! みかんを買って、駅前で「坊ちゃん電車」があることを知り、予約しに行った。 けれど愛媛県民文化会館前には、坊ちゃん電車は止まらないとのことで、あきらめた。 あの時、お財布を出して引っ込めたのが記憶の最後・・・。 キャッシュカードは入ってない、歌舞伎会のカードはクレジットじゃないから、 ANAのマイレージのために持って来たクレジットカード止めなくちゃ。 現金は三万入ってた。 うう、いつもより多めに入れたのがアダになったか・・・。 一瞬落ち込むが、今日はMちゃんと一緒だし、旅代金と観劇チケットはあるし、 なんとかなるか。 気お取りなおして、ともかくもう一度、たどった道を戻ってみる。 急に雨まで降り出して、トホホ~だ。 さっきまで最高に楽しかったのになあ、私のへまのせいで、へこむ~。 駅前に戻ったら、雨のせいか、さっきまで大勢いた人がまばらに。 遠くから、柳の下のベンチの足許に、信じられないけれど雨に濡れたお財布らしき物が落ちてるのを発見! Mちゃん、あったみたい! お財布あったよ。 さっきこのベンチでミカン食べたときに、カバンがどさっと落ちたのだけれど、 その時、カバンの中からこぼれ落ちたらしい。 濡れてはいたけど、中身は無事! 時間にしたら1時間くらいだろうけど、よく無事で落ちていてくれたなあ。 ともあれ、よかったよかった。 お騒がせしました。 さあ、昼の部に急ごう。
愛媛県民文化会館のメインホールは3000人も入る巨大なホールだ! だだっ広い。 一階席だけで1400席もある。 ロビーには「ヤマキ」からのお花が良い香り。 知らなかったけど、愛媛県はヤマキの本社があるところなのだった。
西コースの松戸の初日は、團パパ急遽不在のさびしさと、穴埋めの緊張感と、色々で、 ぴーんと張りつめた空気だったが、 今日はどうやらすっかり慣れて、リラックスした雰囲気。 けど、なんだか違和感。 舞台全体がやけにメリハリ、ハッキリしてる。 広いホールで、席が遠いせいかなあ。 Mちゃんは、あとで、ずいぶん「わかりやすい実盛」だったねと言ってた。 うん、そうかも。 でも、私にはちょっとトゥーマッチに感じられた。 例えば「若君やすやすご誕生~」のあたり、九郎助が慌てふためきよろけつつ知らせに来るのだが、 仕種がおどけていて客席の笑いをさそう。 他にも、ところどころ、九郎助に限らず、実盛も子役も瀬尾も、 滑稽味というか親しみやすさというか、そんな表現が増えた気がした。 これって、あり、なのかなあ。必要なのかなあ。
口上では、お膝元なだけあって、家橘さんがヤマキの熱烈宣伝バージョン。 秋冬の新製品で中村孝明監修の「鍋つゆ」シリーズが出るんだそうな。 シリーズの詳細を家橘さんが、小さなカンニングペーパーを出して読み上げるので、 海老も市蔵さんも、笑いっぱなし。 中華坦々鍋ってどんなだろう? これも海老蔵がCMするのだろうか?
お祭りの鳶頭も、ずいぶん表情豊かだった。 だけど、そんなに笑ったら粋じゃなくなるような気がするぞ。 (と思いつつ、歌舞伎座で見た三津五郎さんのお祭りを反すう) 一旦ホテルに戻って、30分だけ昼寝。 夜の部も感想は概ね一緒。 場内は、大きな声でしゃべりっぱなしのお年寄りが近くに何組もいて、とほほだったり、 携帯もなってたし、冷房は寒いし、 驚いたのは写真撮ってる人がいたこと。 どの人かわからなかったけど、実盛が馬にまたがった良いシーンや、 口上でも顔をさーっと上げた一瞬に何度もフラッシュが光ってた。 あれは確信犯だね。 係りの人が見張りにきてたけど、発見できたかどうかあやしい。 お祭りでも二度ほどフラッシュが光ってた。 そんなこんなで、今ひとつ集中できず。 私も疲れてたのかも。
口上は家橘さんが自ら「カッキーのCMコーナーです」などと言い出すはじけぶり。 せっかく鍋シリーズの詳細をきちんと覚えたらしいのに、 まだまだお暑い日が続きますが、だったかそんな台詞でかんでしまって、 何度も言い直すうちに自らがツボにはまったか、笑いがこらえきれず、 海老やジュッチーはもちろん、右之助さんまで肩を振るわせて笑ってた。 ジュッチーなんて、昼に続いてほっぺたがたこ焼きになるくらい笑っちゃって、 いや、楽しいんだけどね。 このまま右之助さんの口上まで笑ってグズグズになっちゃうのか?と思ったら、 そこはさすがにキッチリしめてくれて、ほっとした。
会場では妹さんの智英子さんの姿も。 今日は珍しく洋服姿で、さわやかなお嬢さんっぽくて可愛かった。 Mちゃんと、巡業明日は休みだしヤマキさんご招待で美味しい物かな?とか、 勝手に想像。
夜は海の幸で乾杯し、さすがに疲れたねえ~と言い合う。 今日は2人とも、交互に眠い時間が襲ってきた。 でも、ここでグッと眠いのをこらえて、温泉に入るのだ! ここで寝ちゃ駄目だ! 駅前のスーパー銭湯で、ブクブクジャグジにつかって、ああ気持ちいい! 温泉ってやっぱりいいなあ。
温泉で目が覚めて、興奮したせいか、二人して遅くまでぺちゃくちゃ。
歌舞伎の凄い所って、ジャッキーの豊後道成寺とか、2月の敬老野崎村とか、 ああいう舞台が見られることだと思う。 海老蔵は勿論、まだまだずーっと若いんだし、これからの人だ。 だけど、今日の舞台は、そういう芸の道からは、ちょっとずれてきてるような気がして心配。 いや、何もわからないんだけどね。 なんとなく。 若くても、例えば勘太郎みたいに、いつも清々しくて真摯な気持ちが伝わってくる人もいるじゃん。 なのにさ・・・海老蔵はさ・・・、映画と信長で半年歌舞伎から離れるのにさ、 あの実盛はさ・・・。 などなど、珍しく愚痴ったり。
出口のない海の配役勝手に予想とか、 これまでに見た自慢の舞台シリーズとか、 (私は、梅幸さん菊五郎さん菊ちゃん三人の道成寺見たよ、 あの頃の菊ちゃんからは、今の姿は想像出来ないよねとか) 先代の仁左衛門さんは、なんかローマ法王とかマザーテレサとか、そっちに近い感じだったよとか、 先代っていうけど、13代目の仁左衛門の次が15代目のニザさんだよね、 14代は?とか、 藤十郎襲名のポスターは、すごいねえ、やるなあ蜷川実花とか、 ともかくそんなこと、いつまでも話した。 (今調べたら14代目は片岡我童さん(追贈)だった)
翌日は、お互いの予定などの事情で、早い時間に出発。 ああもっとゆっくりしたかった。 四国、また来たいね。 今度は金比羅さま詣でかな。
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