川底を流れる小石のように。  〜番外編〜  海老蔵への道!
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2004年11月09日(火) 吉例顔見世大歌舞伎 昼の部 千之助婆誕生?

 秋晴れですっきりと気持ちよく、眠れすぎて遅刻しつつ、歌舞伎座へ。
 本日の三階A席は、ぎっしりの女子中学生。わわわ。
 やや後ろの三階B席は平日のせいか空席も目立ったが、
 隣も前もいない三階席ってのも、まったり居心地が良い。

 幼く見えたので中学生と思うが、
 まあ眠ったりしつつも、大人しく鑑賞(?)してくれているようで、ほっ。
 しかし、私の席のあたりは、大向こうさんが何人かおられて、
 かなり声をかけていらして、
 女子学生さん達は、舞台よりもそれが気になるらしく、
 くるりくるりと、何人も何回もおさげ頭がこちらを振り向くので、苦笑。

 「積恋雪関扉」(つもるこいゆきのせきのと)面白かった。
  吉右衛門さんも、富十郎さんも、たっぷりよかったが、
 私が一番心惹かれたのは、常磐津の唄と語り。
 節回しが美しくて、うっとり。
 このイヤホンガイド、小山觀翁じいだったらしい。聞けばよかったか。
 福助さんは傾城墨染(実は桜の精)だったのだが、こういう役、似合ってるなあ。
 
 お目当ての「松栄祝嶋台」(お祭り)!
 仁左右衛門さんは、かわらず男前で、孝太郎さんの芸者と色っぽくからんでいたけど、
 いよいよ豆松嶋の千之助ちゃんが出てくる場面になると、
 もうもうメロメロの笑顔で、あ〜あと笑ってしまう。

 揚げ幕が開く「ちゃりん!」という音と共に、
 花道を駆けてくる(であろう)千之助。(三階からはまだ見えない)
 テケテケテケと小気味よい附け打ちの音は、花道を駆けるときのお約束。
 なんだけど・・・。
 テケテケテケテケテケテケテケ・・・・・と、ずっとその音が聞こえてくるわけで、
 姿は見えないのだけれど、
 おそらく小さな足で、小さな歩幅で、長い花道は、さらに長かろうと思われ、
 長く続く附け打ちの音を聞いただけでも、千ちゃんの小ささが思われて、にっこりしてしまう。

 ようやく花道七三に辿り着いた千之助ちゃんは、
 予想以上の小ささだというのに、しっかり見得。
 か、か、かわいいいいーーー。
 愛之助さん、千ちゃんに何度もエイヤ!とやっつけられて、おいしかった。
 
 千ちゃんは、きりりとした所作を、小さな手足でしっかりつとめ、
 それにしても、幼い子供であるから頭が大きいので、バランスがヨロヨロしており、
 そういう有り様を見ただけで、もう、うるうるしてしまった。
 あのカツラ、なんだかすごく似合っていて、まさに豆松嶋!

 ご挨拶もハキハキと、
 そして、ニッコリ〜とするあの笑顔の愛らしさ!
 「甘栗を売ってる歌舞伎座に出たい!と本人ももうしておりまして、
  さぞ本望なことでしょう」だって。
 
 千ちゃん、台詞も踊りもちゃんと頑張ってた。
 ビックリしたのは、(ネタバレ反転)
 仁左右衛門さんと獅子舞の踊りの場面。
 さっき孝太郎さんと下手へはけていったはずの千ちゃん、
 クルリと獅子がひっくり返ると、
 お獅子の中から、ちょこん!と千之助登場!やんややんや〜!


 大向こうさんも、さらに人数が増え、
 こういう演目の時は、本当に大向こうさんがうらやましい。

 ニザさんとお揃いの扇を千ちゃんも広げると、もう顔の何倍もあろうかという感じで、
 思わずヨロリンとよろける千ちゃん。
 あらら、まあまあ!と思わず声をかけるおばちゃん多数。
 
 笑ったり、うるうるしたり、もう感無量!で、
 ふとみると、斜め前の席のおじいちゃんも、うるうる泣いてるのだった。
 この幕になって、気持ちよく良い声で大向こうかけておられたおじいさんで、
 松嶋屋さんのご贔屓なのかもな、と思う。
 気持ちは、わかる。
 千ちゃん、今日のあなたの小ささ、頑張り、愛らしさ、
 おばちゃんは絶対に忘れないからね、
 よい役者さんになってね!と思うのだった。



 






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