川底を流れる小石のように。  〜番外編〜  海老蔵への道!
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2004年10月23日(土) 芸術祭十月大歌舞伎 夜の部 (と近況)

 いやはや、あのタイミングで病院に行ってなかったら大変だっただろう。
 咳が苦しく、炎症がどんどん深いところまで浸潤していく嫌〜な感触。
 痰が常にぜろぜろからみ、肺が普段の3分の1くらいしか機能しないかんじ。
 徐々に抗生物質と感冒薬が効いてくれて、
 薄皮をはぐように、呼吸が楽になってきた。
 薬のおかげで、実に驚くほどよく眠れる。
 仕事してる時間以外、ひたすら眠って過ごした。

 土曜は、久々に歌舞伎座のチケットをとっていた。
 パリの報告も兼ねて、仁左右衛門さんの実盛物語がお目当て。
 当日ギリギリまで、仕事と風邪とせめぎ合い、これはキャンセルかなーと思いつつ、
 風邪薬でぼーっと眠いまま、
 せっかくだから、どうせ眠るなら歌舞伎座で寝るか、などとフトドキな事を考え、
 だらだらと歌舞伎座へ。

 ああ、久々の歌舞伎座。
 お懐かしゅうございます。
 おおよそ4ヶ月ぶりのホームグラウンドが、実に好ましく心地よい場所に思えた。

 きっと起きてはいられまいと思っていたけれど・・・。

 歌舞伎座って、こんな感じだったよなというような、しっとりと落ち着いた空気。
 襲名やらなにやら、このところ熱気ムンムンの時ばかりだったからな。

 舞台も、粒ぞろいで、大人な味わい。
 「井伊大老」は、ジャッキーがみずみずしく愛らしい女性ぶりで、泣かされてしまう。
 お雛様も、はらはら舞う雪も、哀しみをたたえた舞台の空気も、
 なかなかよかった。

 お目当ての「実盛物語」。
 ニザさんの魅力満載。
 懐の深い情の熱い、きりりと、颯爽とした実盛で、
 さらに、ニザさんならではの愛嬌がチャーミングだった。
 
 富樫も与三郎も実盛も、海老蔵の演じた役は、
 こうしてニザさんのと見くらべずにはいられない。

 実盛に関していえば、形よくまとまったニザさんの実盛は、
 舞台の中で気持ちよく収まって、説得力も魅力もたっぷり。
 海老蔵(当時は新之助)の実盛は、尖ったり飛び出たり、キラリときらめいたりしつつ、
 やはりいびつではあったと思う。
 けれど、あのぐぐーっとリアルに実盛の男性像をクローズアップして感じさせてくれる魔力は、
 荒削りであっても、新之助ならではだったのでは?

 そんなこと思いつつ、地震恐かったねと話していると、
 幕間に心配のメールが来たり。
 大丈夫だよと脳天気に応えつつ「直侍」。
 まあ、この舞台の寒そうなこと、お蕎麦の美味そうなこと!
 しっとりと色っぽい菊五郎堪能。

 実に満足な夜の部となったのだった。

 帰ると、地震は相当たいへんなものだったと知り、驚く。
 ううむ。
 しょんぼり。


 そんなこんなで、ようやく復活の兆し。
 
 メールのお返事、遅れにおくれてすみません。
 風邪は、まだ残っているけど、だいぶ楽です。ありがとう。
 明日から、しばらく泊まりの来客などあり、
 パリのお土産渡し報告飲み会の予定もふたつ。
 パリ日記は、休憩しっぱなしになりそうです。
 いつ書けるのだ??
 パリの現地でも、無事に千秋楽をむかえたようす。
 「週間朝日」のグラビア、「GQ」の連載、朝日新聞など、
 パリの様子をうかがう。
 シャイヨー宮劇場HPで、舞台映像が見られて、ほおお〜っとなる。
 
 私信になりますが、NGちゃん、
 二つ目の四角の「kabuki」のページの右の
 PHOTOS・AUDIO・VIDEOをクリックすると見られます。
 Kさまに、パリの菊ちゃん見せてあげてください。

 じゃ!


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