川底を流れる小石のように。  〜番外編〜  海老蔵への道!
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2004年06月22日(火) 一家総見?

 夜の部は、両親や叔母達と大勢で観劇予定なのだけれど、
 昼の部もチケットがとれており、今月最後の昼の部の予定。
 なので、新幹線の出迎えを叔母達にお任せして、一人昼の部。

 口上で海老蔵は、ずいぶんと汗をかいていた。
 額を汗が流れても、口上の姿勢を保ったまま動くわけにもいかないようだ。

 鏡獅子。
 先日飲んだ友人達も、
 「弥生君」とか「2丁目の弥生ちゃん」だったと苦笑いしていたけれど、
 確かに月の初め頃は、大きく、首のあたりのたくましお小姓姿に、
 「・・・・」ととまどう気持ちもあった。
 けれども、弥生ちゃんはどんどん柔らかく良くなっている。
 キリリと品よく、しっとり踊る姿に、満足。

 自らが、そう思って見渡すと、
 他の客席の多くの人も、「?」とは思っておらず、
 弥生の品の良さ、丁寧さ、美しさに一心に見とれているように見えた。
 いずれにしても、スポーツ観戦や観劇は、
 どうしたって主観に左右されずにはいられないわけで、
 今日の私は、大広間の片隅で、弥生に見とれる一人となることが出来て、幸せと思った。
 花道の横の席だったので、
 獅子に乗りうつられた弥生のとまどいや、
 獅子の精の息づかいを間近に感じられて、ほ〜っとうっとり。

 
 余韻に浸る間もなく、急いで外に出ると、
 すでに叔母達も両親も来ていた。
 今日も暑い。
 昼の部、どうだった?と聞かれて、
 思わず満足げに微笑むと、
 「あ〜わかったわかった。その顔見ただけで。よかったねえ〜」と笑われてしまう。
 そんなメロメロな顔してたんだろうか。

 しかしここからは添乗員さんに気持ちを切り替え、
 昼の部のうちに買っておいた筋書きと、外でも借りられるイヤホンガイドを、
 めいめいに手渡し、使用方法の説明。
 二人の叔母達は、歌舞伎座初体験。
 幕見の列の長さや、昼夜入れ替えの独特の混雑や、襲名の熱気を肌で感じて、
 ここで開場を待ってるだけでも、熱気がすごいわねー、
 これじゃあ本当にチケット大変だったでしょう、と言われる。

 後援会にお願いした一等席は一枚もとれず、
 三階席になってしまってごめんなさいと、すでに謝ってある。
 それでも、別ルートで友達が色々と苦労して手に入れたチケットを、
 ありがたくも快く譲っていただくことが出来て(それも花道の横!すごい!ありがとう!)
 結局両親は一階の一等席、私と叔母達は三階席で、離れて観劇することに。

 しかし花横とは!いいなー私がそこで観たいくらいだぜ!
 私の助六への思い入れを知っている母は、
 助六だけ席を替わってあげるよと言ってくれたが、
 そうはいかない。
 一年以上も前から、ご招待するね!と宣言し、張り切って積み立てもし、
 日頃の感謝の気持ちを表せればと思っていたのだ。
 あんな席で、揚巻の道中や助六の出端を、夫婦二人そろってみられるなんて、
 そう何度も可能なことではないだろう。
 私はこの先も、まだきっと助六は観られる。
 とはいえ、気持ちよくこの席を諦めるために、
 実は当日券に並んだ私。それがこの日。 
 (早朝の電車はお酒臭いものなのだなーとか思いつつ、6時前には並んで、
  そして手に入れたセンター目の前の席は、また格別ではあった。)

 入場すると、早速叔母達と父と共に歌舞伎座ツアー。
 このあたりが売店。
 お土産は今のうちに買っておいたほうがいいかも。
 これが舞台写真。先月の「暫」はこんなだったんだよ。
 団パパ、早くよくなるといいね。
 ここで売るアイス最中も美味しいよ。
 お手洗いは、お父さんはここ、
 一幕目が終わったら、この階段のぼって二階の吉兆に来てね。
 私たちも三階から行くから。
 この先が吉兆だよ。
 これがヴィトン特注の旅行用化粧台だよ。
 あ、この海老の絵は団パパが描いたんだよ。
 この祝い幕は夜の部は今しか見られないからね。
 二階のここから写真を撮ろうね。
 ここから撮ると、海老の絵も市川海老蔵さん江の文字も、
 きれいに全部フレームに収まるよ。
 はい笑ってねー。
 ここから三階に上がるよ。
 私たちはここで見るんだよ。
 (と言ってると、今日席を譲ってくれた友達がすでに来ていた。
  三階席と交換してくれたのだ。)
 オトン、彼女が席をとってくれたんだよ、本当にありがとねー。
 これが父です。
 三階の西のロビーははずせないんだよ。
 ここは名優写真館があるからね。
 ほら、あれが十一代目、じいちゃんだよ。
 私はいつもお参りするんだよ。
 やっぱ素敵だよね。
 オトンは他に誰を知ってる?ああ、歌右衛門さんねえ。
 この階段を降りると、さっきの吉兆の前に出るよ。
 うん、後でね。おかんと来てね。

 などと目一杯説明してると、あっという間に開演。

 30分の幕間は、今月夜の部は一度しかない。
 私たちが吉兆へ行くと、ちょうど一階からきた両親と一緒になる。
 せめてものお礼に、お友達にも吉兆を予約させてもらった。
 友達とは席が隣同士になっており、改めてお礼。照れる。

 ビールで乾杯!
 父が、添乗員さんイヤホンガイドはまだしゃべっていますが、どうしたら?
 と質問するので、
 一人の時などは聞いていると面白いですが、
 せっかくですから、みんなで楽しくお食事しましょう!と答える。
 話題はもっぱら、傾城反魂香の手水鉢の絵が浮き出る仕掛けの不思議について。
 それから、きっちーのどもりのお芝居ぶり。
 父は日本酒をいってる。
 椀の物の海老しんじょがとても美味しい〜と言うと、
 はいはい、海老ならなんでも美味しいんだねと笑われる。
 ふん。

 次の幕間は20分きりだが、その後助六が長いのでお手洗いに行っておくこと、
 長蛇の列になるので、さくっと早めに並ぶこと、
 終演後の集合場所など打ち合わせして、解散。

 三階からの助六も、またたのし。
 出端のはじめは見られなかったが、今頃おとんもおかんも、
 助六の流し目にまいってるんじゃなかろうか?とニヤニヤ。
 叔母達は、股くぐりのくだりにビックリしてたが大喜び。

 終演後、タクシーでホテルに。
 さて、どこかでもう一杯やろう!ということになり、
 私が「揚巻の布団の上で一杯やろうか」と助六の台詞を言うと、
 父が「一服やろうか、だったよ」とすかさず言うので驚く。
 確かに2000年のビデオでは一杯やろうかだったのに、
 今年は一服やろうかと言ってるのだ。
 その違いに気が付くあたり、なかなか集中してみたんだなと、感心。
 
 改めて乾杯しつつ、助六談義。
 あれ以上格好良くなりようがないくらい格好良かったな、と父。
 母も、お父さんと一緒にあんなに豪華なきれいな舞台が観られて、
 本当にありがとう。
 叔母達も、あなたが夢中になるのわかるわ〜。素敵ねえ〜。
 と、口々に。
 
 それぞれに満足してくれたようで、本当によかった。
 色々な人の力を借りねば、実現できなかった企画ではあった。
 本当に、肩の荷がおりて、ほっとした。
 日頃の感謝の気持ちをなんとか形にしたいと思って企画したことだったのだが、
 私はあまりにも力不足だったなと思う。


 ○○追記○○

 その後、27日に放送された俳優祭の様子は、
 実家の両親も楽しんだらしい。
 電話で、今回の家族総見の話になり、
 おとんは、嬉しい嬉しい!などと口に出して言わないけれど、
 やっぱり助六がとっても楽しかったみたいで、喜んでたよ、とのこと。
 テレビの俳優祭で、一生懸命お寿司をにぎる団パパを見て、
 二人して泣いてしまったんだそうだ。
 あんなに頑張って、嬉しかったんだろうにねえ〜と、電話でもまたうるうるしてた。
 団パパ、9月の名古屋も休演とのこと。
 気長にあせらずに治してほしいなと思う。


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