少しの肌寒さを感じて、冬用にと出しておいたケープを羽織った。 肩を、腕を、背中を、厚手の布地が覆い、冷えた空気をこの体から隔離してくれて、 それはとてもあたたかい。 ほっと息をつきながら、同時に、もしもこれが誰かからの(例えば、一番大切な人からの) 贈り物だったのならば、体だけではなく心ももっとあたたかくなるのだろうか、と思う。 思いながら、それでも今はこのぬくもりで充分な私がいることに、私は気付いている。 今はまだ、ひとりでも平気だ。 けして強がりではなく自然にそう考えられたのは、今の私がちゃんと幸福だからなのだろう。 ひとりでいることと、孤独は違う。 似ているようで、それらは決定的に違う。 寂しいと嘆くことはなく、私は日々を穏やかに、笑って過ごしている。 誰かと寄り添えば、確かにひとりよりもあたたかいだろう。 大切な相手なら、それはなおさらで。 だけど、肌の熱を感じたい為だけに、誰かと寄り添いたいわけではないから。 触れられなくても、目に見えない心はしっかりと感じられているから。 沢山の人がくれる小さなぬくもりを、受け取る度に胸の深いところに大切に仕舞い込む。 大事に大事に、なくさないようにそっと。 そうしていつか、大きく膨らんだそれらを両手に持って、大切だと思える人を抱き締められる 私になりたい。 与えられるのではなく、与える人に私はなりたいのだ。 だって、その方がきっと幸せだ。 貴方の笑顔が、私をとてもあたたかくする。 寒さに震える貴方に、ぬくもりをあげられるような私に、私はなるよ。 なってみせるよ。
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