なべて世はこともなし
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2007年03月07日(水) ちょいと変化球な私的日記(いつもと雰囲気が違います)。

先月、親が始めた事業をちょいと手伝いに日本に一時帰国しました。その時に、その事業のアドバイザーさんが気を利かせてくれまして、うちのじいさんばーさんに両親、そして弟と6人の家族が全員揃った写真を撮ってくれました。その写真を見ながらつくづく思ったのです。


「これが最後の家族が揃った写真になるかもしれんな」って。


ものすごく幸いなことに、私の家は上に書いた父方のじーさんばーさんに加え、母方のじーさんばーさんまで全員がいまだに健在です。まあ、これを逆に言えば、100歳を超えて生きるなら別ですが、今からそう遠くない未来に何人もの人が死んでいくわけで。


弟は東京でなにやら立派に仕事をしているらしいし、その兄はアイルランドとかいうどこともわからない地に住んでいるしで、家族が揃ったってのは、そう、下手したら10年ぶりとかになるんじゃないだろうか。そう考えると、この写真はあとからものすごく貴重なものになるかもしれんなあ…と思ったわけ。


もう10年も前の話になるけど、母方のひいばーさんが亡くなった。94歳とかいう文句なしの大往生。ペルーだかどっかで生まれてスペイン語も話せたとかいういろいろ万丈な人生だったらしい。そのひいばーさんの葬式のときに、水戸黄門を見てすら涙する涙もろい母方のじーさんがぼそっと言ったのだ。


「今度またみんなで会おうよ。こんな葬式の場じゃなくてさ。みんなで会う機会を持とうよ」


言うまでもなく、みんな離れ離れに住んでいて、葬式でもない限りみんなが休みを取って石和温泉に行くなんてことはありえないわけで。当然のことながらそれから10年以上経った今日まで葬式以外で親類が集まったことはありません。でも、じいさんの「葬式じゃなく今度またみんなで会おうよ」という言葉は、私の心の中で大袈裟でなくずっと響き続けています。


考えてみると、みんなで会うことを一番難しくしているのは間違いなく私です。地理的に見て東京から一番遠くに住んでるのは文句なく私ですから。そんな自分自身に引け目を感じている…と書くとちょっと違うけど、でもやはり申し訳なく思っていることは否定できない。親が事業をやるから手伝いに来いといわれて二つ返事で引き受けたのも、そういう気持ちがどこかにあったからだと思う。そして、「アイルランドはそんなに遠くないんだよ」ということを見せたいという気持ちがどこかにあったのかもしれない。


そして、今度のゴールデンウィークに私のおじさんが結婚式をするそうな。これ、2月に一時帰国したばかりだからさすがにパスしようと思ったけど、一番最初に書いたあの写真が私の心を決めさせた。母方のじーさんばーさんと写真を一緒に撮れるのは今回が最後かもしれない。そう思った瞬間にいても立ってもいられなくなって会社に休みを申し入れた。受け入れられた。ゴールデンウィーク真っ只中ながらヒコーキも取れた。だから、日本にまた行きます。一枚の写真を撮りに。じーさんの「葬式じゃなくみんなで会おうよ」という願いを叶えに。




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