なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
2004年05月17日(月) |
社会の構図。The poor stay poor. The rich get rich. |
土曜日、4時までしっかり仕事してたのですが、ここでちょっとした社会の縮図のようなものを見てしまいました。この日、会社には業者によるちょっとていねいな会社の掃除が行われており、4人の人が床を磨いたり、窓を拭いたり、コンピューターのキーボードの間のゴミを落としたりと、かいがいしく働いておりました。それはいいんですが、この人たち、ひとりはリトアニア人であとの3人は中国人。
で、私が帰ろうという段になってやってきたのがこの清掃会社の責任者のアイルランド人のオバサン。さっそうと、新車のベンツに乗ってやってまいりました。…社会の縮図って気がしません?朝早くから汗水たらして小銭を稼ぐ労働者と、それを監督するだけでベンツに乗れる雇用者(ことはそう単純じゃないかもしれませんけど)。金持ちはビンボー人からどんどん絞り取り、ますます金持ちになっていき、ビンボー人はいつまで経ってもビンボー人のまま。
…なんて一瞬思ったのですが、考えてみると、スクラップ置き場で拾ってきたようなボロ車に乗る私と、レクサスの新車に乗るうちの社長にも同じ構図が見えるわけで。たぶん年収には5倍の格差くらいありそうな気がする。ははは、どうせ私はいつまで経ってもビンボー人のままですよ。
話は脱線しますが、このお掃除をしていた中国人の私よりやや年上くらいの男性とちょっと立ち話をしました。なかなか怜悧そうな凛々しい顔をした人だな…と思ったら、この人、アイルランドに3年前に来るまでは、中国で官吏をしていたとのこと。日本的に考えたら、お役所勤務というのはまさに将来まで安定した仕事というイメージがあり、思わず、「なんで辞めたの」と聞いてしまいました。すると、彼は
「あの退屈な人生より、アイルランドに来たかった。掃除夫でもいい」
とのこと(彼が言ったことを忠実に訳したつもりです)。社会に不満を持っているのは日本人だけじゃないのかな…などと考えてしまいました。
閑話休題。そのおんぼろ車でそのあと本当に久しぶりに町へ行ってきました。この時間に下手に立体駐車場に入れると車を出すのに下手すると30分とかかかるので、パーキングメーター付の場所に路上駐車することに。
運良く空きスペースが見つかったのは、 Ilac Centreのすぐ裏のDominick Street…と言ってもわからない人は、Parnell Streetの先にある公営住宅が並ぶとこ…と言ったら分かってもらえるでしょうか。そう、こんなとこに車を停めるのはほとんど自殺行為。そりゃ私の車はぼろです。でもJoy riderとも呼ばれるクソガキどもにとってはぼろ車のほうがおあつらえ向きという事実もあるわけで。
案の定といえば案の定、車を降りて歩いていると、突然、公営住宅からクソガキが水風船を路上に投げはじめる。私を狙っていたら間違いなく石でも投げかえすけど(同レベルやんか)そうではなかったようなので(あるいはコントロールがなかったのか)無視。
で、そのままHenry Streetに行った。本当に久しぶり。数年前から永遠に終わらないと思われていたRoches Storeの改装も終わり、垢抜けないイナカのデパート…と言った趣だったどうしようもない店が、いつの間にやらこぎれいなデパートに変わっている(ついでにいつの間にやら改装が終わったはずの食料品売場も消えていた)。
そんなこんなで素早く買い物を済ませ車に戻り、エンジンをかける。前進で道路に対し直角に車を停めたので車をバックする必要があった。かくしてエンジンをかける前に何気なくミラーを見てぎょっとしてしまった。
オバサンが、私の車のトランクに両腕を休めて佇んでいる。
なんであんたはボンネット側…つまり歩道側ならまだ分かるけど、往来のど真ん中で人の車のトランクを使ってボーっとしてるの?相変わらず謎の多い国だわ。この国は。
で、エンジンをかけたらこのオバサン、動くかなあ…と期待して、エンジンをかけてみると、オバサン有り難いことに重そうなケツを上げてくれた。ところが…
突然交通整理をはじめる。
おばさん、どうやら私が車を出すのを手伝う了見らしい。ことここにきて了解した。このおばさん、この路上の駐車スペースを使って勝手に交通整理して、チップをふんだくろうという魂胆だわ。
私はどうしたかといいますと…言うまでもなく、車を速攻出して速攻逃げましたよ。ご心配なく、ここには二度と車を停めませんから。私が出た瞬間に北アイルランドナンバーの車が私のいたスペースに入っていったから、そいつからたっぷりふんだくってください。そう、私は社会の底辺のビンボー人ですから。
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