| 2007年10月20日(土) |
地球外標本>彗星のちりと月の石、東京で同時公開 |
- 毎日新聞社 四国の水がめで降雨実験 渇水に備え来年5月から - 共同通信 大流行原因は同一ウイルス ノロウイルス、遺伝子解析で判明 - 共同通信
◆日常
ケロがピンクの自転車で出かけるというので、後のサポートハンドルを作り直してから公園へ行きしゃぼん玉で遊び、図書館で本を返して借りて、百均でケロの「宝石」(プラスチックの裸石型の雑貨)を買い、オムライスを食べて、髪を切って、買い物して帰宅。
◆百均
「宝石」
◆読書
アデレ・グリセンディ「わたしの赤い自転車」 菅谷誠訳(柏櫓舎 2004年2月)
とある経緯で知り、読んでみたくなって図書館でリクエストして、寝るまえにちびちびと読んだ本。聞いたことのない出版社なのでサイトを見てみたら、「エンデュアランス号漂流」の翻訳者が代表を務める、2001年にできた札幌の従業員10名の会社だった。(予定はないが自費出版の価格表が面白かった。A5版よりB6版の方が安いのね。小さいと印刷とか製本が大変なんだろうか。)
本の方は、1950年代から60年代にかけての、イタリアのとある「格別に貧乏でも裕福でもなく、権威主義でも放任主義でもなく、教養豊かでも無教養でもなく、ほどほどに宗教嫌いでほどほどに敬虔な家族」の中で育った筆者の思い出とその頃の、高度成長期直前の人々の生活を記したもの。秋から始まる季節ごとのエピソードに、思い出をからめて書いてある。イタリア版「三丁目の夕日」というとあまりにまとめすぎて雰囲気が伝わらないが、ちょうど同じ頃の同じく敗戦国だったイタリアの様子。自分が知っている時代にも残っていた生活や、少し上の世代が語る生活に多少の懐かしさと、目新しさを感じる。本国では2001年に刊行され、2002年に高校生向けの課題図書になったそうだ。
食べ物がたまらない。以下、備忘のためメモ。空腹時には読んではいけません。 ブドウの搾り汁を1/3量になるまで煮詰めて冷ました「サーバ」(水で割って飲む)、黒ブドウの絞り汁コップ1杯に大匙1杯の小麦粉と半匙の砂糖を弱火でかきまぜながらとろみをつけて冷やしたペースト状のお菓子「スーゴ」。幼稚園のランチボックスには加工肉やチーズや茹で卵に、薄紙をかぶせた固形のジャムか銀紙でくるんだ板チョコ、家で取れた果物、時には米菓子がひと切れ(他に給食でパンと野菜スープ)。修道院のお使いで貰う薄紙の小袋の中には「ご聖体」。家で作る各種パスタ、カボチャやサラダ菜たっぷりのトルテッリ。くるみをカラメルで固めたクロカント。リキュールをしみこませたサボイビスケットを土台に、普通のカスタードクリームとココア入りカスタードクリームを交互に重ねた「ツッパ・イングレーゼ」。ウサギのフライを食べる時の悪戯、甘い発泡ワインをかけた雪のシャーベット。家畜商がくれるダイオウ味の飴。栗やピクルスを詰めたトルテッリ、パン屋の窯で焼き上げるトルテッリーニ(パスタの皮の中に栗やアマレットやジャムやオレンジの皮を詰め、色砂糖をまぶしたもの)。朝食は牛乳かカフェラッテに、前日の残りのパンかポレンタ。昼食はパスタとミネストローネスープとハム、ソーセージ類、野草か畑の野菜サラダ。夕飯はニンニクとオリーブ油で味付けしたパンに熱湯と一つまみのチーズをかけた「パンのツッパ」や米を牛乳で煮てレモンの皮を入れた料理などがプリモピアット、セコンドはサラダ菜やタマネギを盛った大皿、オムレツやチーズの塊にパンを添えて。ブタの解体で作る各種の加工肉。謝肉祭の「イントリゴーネ」と「トルテッリーニ」。自家製の野菜と生のレタス類にラードをかけたもの、三角袋にくるんだ「トゾーネ」(熟成前のパルメザンの切れ端)。黒珈琲は週に2度、大鍋に湯を沸かしてコーヒー粉と大麦粉を等量、代用コーヒーを半袋分入れて作る。夏のジェラート。聖ジョバンニの日に青いクルミで作る胡桃酒や他のリキュール作り。ザバイオーネ。
あと、日常のいろいろ。 修道女の熟練した刺繍の技と布地の繕い。男物の上着や女子どものコート以外は家で縫い、継ぎをあてて繕い直し、ズボンのはぎれは靴の防寒中敷に、男物のシャツからは、女性のシャツ、といった布の繰り回しは、和服だけじゃなくて洋服でももちろんあったのだ。そして嫁入り支度が白一色というのは流行を考えずに何年も前から準備ができる。「家で織るのは、たいがいが麻。リネンは、あんまり織らなかった」という時の麻はたぶんラミーのことか。 色ガラスでできた香水の噴霧器。晩春にやってくるマットレス屋が、羊毛や馬の毛を詰めたマットレスの縫い直しをする様子。 家にやってきた新しい大量生産の家具、テレビ。赤い自転車、黒いヴェロソレックスというモーターバイク、紺のボディに純白のルーフのミニ・ミノール(オースチン・ミニのライセンス物らしい)。そしてミニスカートで世の中全体に示す「どうぞ、わたしにおかまいなく」の意思。本物のブティック「ビバ」。
女性の立ち小便については「後には脱兎の如し」で近藤ようこさんもページを割いているが、この本で「パンツをはいていない」というのが重要な条件だったことに思い至る。なるほどっ。どうりで今聞かない筈だ。
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