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小野不由美など拾い読み。ネットでもあちこちを拾い読み。
吉田健一を読了して「これはやはい蔵書すべきだろうか」と古書店と新刊書店のサイトを回って目星をつけるも、あまりに膨大な作品量に怖気づいて撤退。(だって絶版だけど全集は30巻もあるのだ。)でも欲しいよな。だって「ここで出てきた『何か野鳥の内臓の塩辛』はこの間読んだ『新編 酒に呑まれた頭』の中のエッセイにも出てこなかったっけ」などと思った時には手許に置いておきたいじゃない。むむむ。

吉田健一「絵空ごと・百鬼の会(2003-001)
講談社学芸文庫(1991年6月初版 ISBN4061961330)

2003年の一冊目は吉田健一。とても楽しい本だった。

「絵空ごと」は長篇。酒飲みが集まって好きなことをしながら美味いものを食べて美味い酒を飲む話。この話を読むと自分が酒飲みで良かったなぁ・・・と幸せな溜息が出る。

「百鬼の会」は短篇。これはまた酒飲みが集まって美女が沢山いるバーで酒を飲む話。トカイを飲んだりもする。

吉田健一という人の書くものをいくつか読んできたけれど、この人は実はとても皮肉っぽい人だ(ユーモアのある人の多くがそうであるように)。そして色々なことを説明し過ぎることを嫌う。真摯な態度なんてものは酒に対してしか持っていないんじゃないかと思うような嘯き方。原稿用紙に向かうより、その辺のバーで一杯引っ掛ける方が好きだったような顔をしているけれど、それでもこんなに楽しい話を書いて下さってありがとう。

「絵空ごと」の中で本ものと贋ものについての会話が何度も出てくる。本ものと贋ものというのは、その人にとっての価値であり、オリジナルかどうかということとは別の基準であるということ。

たしか桐島洋子が「本の値段は安い」というようなことを書いていたが、絵や音楽などと違って本だけは自筆原稿に触れなくてもそのコピーの中に全てがあるというような主旨だったと思う。そんなことも思い併せて読んだ。

本読みって幸せな趣味だよね。


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