今日も今日とて
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夜。 かたかたと仕事をしておりましたら、ノックの音の後にドアがすーっと開きまして。 暗い顔をして新聞紙を丸めて握りしめているきょんの姿が。 怖い。 何か訃報でも?
「どしたの?」とワタシ。 「出た」 「何が?」 「ゴキ」
むむむむむ!
怖いよーーーーう・゜・(ノД`)・゜・。
しかし表情は変えず、「どこに?」とワタシ。 「洗面所。一撃できる位置ではある。と思う」 「むむ。見てみるか」
余裕の表情のワタシ。いや、ホントは怖い。ゴキ嫌い。 しかし、きょんはもっとダメです。ゴキブリが出るとパニックになる人です。 ここはワタシが落ち着いて、華麗に舞うようにゴキを一撃し、「じょりぃ素敵(はぁと」と株を上げるべきところです。
でも
怖いよーーーーう・゜・(ノД`)・゜・。
という気持ちを押し隠し、クールに洗面所に向かい、ゴキとご対面をするワタシ。
「でかいね!( °▽ °)」
よく一般のご家庭にいるチャバネとは明らかに違う。これはクロゴキでしょうか。怖い。 米屋でバイトしてるときにわらわらといたのがこいつですよ。 こいつのせいでワタシはゴキ嫌いになったのですよ!
「一応このグッズを用意しました」ときょん。
丸めた新聞紙と、アースジェット。
「アースジェット? 効かないでしょ。ゴキジェットあったよ確か」
いそいそとゴキジェットを持ってくるワタシ。 ウエポンは手持ちの最強のものを用意しないと!
このあと、壁にたかるゴキをじいいいいいっと見たまま、動かないワタシ。
「何してるの?」 「うむ。心の準備をしている」 「何の?」 「これからゴキをつぶすことについて」
じいいいいいいいいいいい。 って、ワタシはいつもこのイメージトレーニングが長すぎるんですが! こうもりが出たときもこれで随分と時間を食ってしまった覚えが。 でも大事なんですよイメトレ!
と、ワタシが熱心にイメトレをしておりましたら、きょんが「一撃でいけるかなぁ」と新聞を丸めなおしまして。 いやいや、あなたにそんなことさせられませんよ! 何よりもゴキが嫌いではありませんか! でも新聞丸め直して、 そうですか、 どうもありがとう。
「うむ。頼む」
何が「うむ」だという感じですが。 お願いしているのにえらそうですしワタシ。
きょん、「あたしがするの?(`Д´*)」とも言わず、覚悟を決めたような顔で一歩前へ出まして。 ワタシはゴキジェット持って涼しい顔で待機。 飛んだらこれで狙い撃ちですよ! それはもうゴルゴ13のように。山本リンダのように。
きょん、そろそろとゴキに近づき、バシッと一撃。 このとき「きゃああああああああああ!!!!!!」と叫びながら攻撃するのがワタシには理解不能なのですが。 なっちゃんもこういうとき叫ぶんですが。 なぜ叫ぶ。 叫びたいのはゴキのほうです。 とはいえゴキがそんな風に叫んだら、ワタシ失禁しますが。
一撃目、外したらしいです。 すぐさま次の一撃を。やっぱり「きゃあああああああああ!!!!」と叫びながら。バシッ!
ヒット! 見事なヒットぶり。
ゴキの落下を確認し、その後動かないかも確認・・・・する気になれないじょりぃ。
「どこ行った? ちゃんとしとめた?あたし」ときょん。 「うん。落下するのは見た」 「逃げてないよね? かなり死んでたよね?」
死んだにかなりも少々もないような気もするんですが、ええ、かなり死んでました。 ゴキって殺してもなかなか死なないじゃないですか。足取れても平気で走って逃げますし。 でもきょんの雄叫び付の渾身の一撃。見事にヒットしたのをこの目で確認しております。
しかし。
洗面所って、何かごちゃごちゃと置いてあるんですわ、うちって。 まあ洗面所に限ったことではないんですが。 その向こう側に落ちたもんで、どのへんにどのように落ちているのかが確認できない。 視認できない。
「うーーーん。 ワタシは背が足りないので、ワタシの位置からだとゴキが視界に入らない」
ゴキが見えないことを、自分の背が低いせいにして逃げようとするじょりぃ。 ゴキが怖いのはきょんも同じだというのに。ていうか、きょんのが怖いんですよ。
そうしましたらきょん、ごちゃごちゃ置いてあるものをどかし始めまして。 わお! すごい勇気ですね!
「ああ・・・あたし恐怖のあまり手も膝もガクガクしていて物がよくつかめない・・・」
かわいそうです(´;ω;) ウッウッ そんなに怖かったなんて。そして今も怖いんだろうね! ワタシはなんだか余裕で尻とか掻いてますが、それでも「じゃあワタシがやるから」とは言い出しません。 だって、きょん、すごく怖がっていながらも、なんだか心はソルジャーなんですもの。軍曹めいてます。 とてもワタシが口を出せる雰囲気ではなかったんですよ本当なんです信じてください。
「あ!いた!・・・死んでるよね?」ときょん。 「うーん。死んでいるね。でも念のため」 と、ゴキジェットを軽くシュッとするワタシ。やっと出番ですよ。ノズルって便利ですね( ^ ∀ ^ )
さてそうなると次になすべきことは。 とワタシが考える前にきょん、
「誰が片づける?」と。
これはもう、逃げられないでしょう。 ゴキを殺すという大任をきょんが引き受けてくれたのですから。 片づけるのはワタシの係ですよ。当然です。
「ワタシがやる の?(・∀・)」
この期に及んで!
「・・・・・・」きょん、無言。 「もちろん、ワタシがやりますよ。あなたにゴキの死骸を片づけさせるのはしのびない」
もうホントにそろそろこのへんで株を上げておかないとですね。 じょりぃにも立場ってものがありますからね。
でもさて。 どうしようかな。 どのようにすればよいのかな。 ちりとりで掃き取れる位置でもないし。 こう、「つかむ」という動作を行わねばならないわけですよ。
箸で?
いやいや。 何か食事のときにトラウマになりそうです。
ええと、 念力?
なんて思案しておりましたら、きょんが「ゴム手袋してティッシュ山ほど使えばつかめるかな」と。
「ん。わかった」
念力は使わなくて良くなったのでワタシの秘密の力はバレなかったのですが、そうか、やはりつかむのか。 と思いながら納戸に向かいましたら、きょんが先にずんずん進み、ラテックスの手袋を取りだしまして。 それを手渡されるのかと思いましたら、自分の手に「ぴしっ」とはめております。
「え? あなたが取るの?」とワタシ。 「うん。やる」 「えー。 さっき殺すのも頼んじゃったのにー。 がんばってね(・∀・)」
きょんを包む空気はやはりソルジャー。 なんだかカッコイイです。頼りになります。もうどこまでもついていきたい。
「あ、でも、その薄い手袋だけだと怖くない? 軍手の上にラテックスすれば?」とナイスな提案をするじょりぃ。 「いいよ。直に触るわけじゃないし。ティッシュ使うし」
きょん軍曹! もうどこまでもついていきたい。 いっそ犯して。
ワタシはいそいそと、スーパー袋を取りにいきまして。 捕獲したゴキを捨てる用です。 補佐に回った身としましては、こういう細やかな配慮に気を配るべきですからね。 自分の頭のまわり具合にうっとりします。ていうか、どこまでも頭でっかちなワタシ。 考えているばかりでちっとも体が動いてません。きょんが痩せて、ワタシが太る理由がこんなところにも。
やっぱり「うわああああああああ」と叫びながら、きょん、ゴキをつかみまして。 一度落としました。落としたせいでビビリ度アップ。 やっぱり替わるよ、と申し出ようとしたところできょん再チャレンジ。 ホントに申し出ようとしたんですよ本当です信じてください。
無事捕獲。 ワタシの持っていたスーパー袋にイン。口を縛って終了。
震えっぱなしのきょん。 かわいそう(つд-。)
その後、拍手を送り続け、賞賛の言葉を口にし続けたのですが、心なしかきょんのワタシを見る瞳に、冷ややかな軽蔑の光が宿っているような気もします。 なぜかしら?(°▽°)ハテ?
あの調子なら、今度またゴキが出たときは、ふたたびきょんがソルジャーと化してくれるんじゃないかと。 じょりぃ、無能の勝利。
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