2001年05月24日(木) |
〜Short story〜 |
『インディゴの作業服』
バスルームの鏡から伸びる掌に首をつかまれた。
強く強く・・・・・・
向こうの世界から見つめる二つの光
クリソプレーズの瞳は、その妖光で全てのものを、重力の呪縛から開放する。
僕の体も例外ではなく・・・
うねる髪は、命あるように冷たいタイルへ群がり、壁に同化した。
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「白いデニムが、制服ですよー。」
「え? そう・・・」
僕は自分の声で白昼夢から覚めた。
ごわついた制服を羽織って、仕事場へ向う。 この次元では、今日が初日らしい。
不安定に浮遊しながら、高速道路の上空を飛ぶ。
。。。スピードが乗らない
時速90kmで南下しながら、ミニカーの様な自動車をながめている。
。。。インディゴカラーの方が、作業員らしいのになあ
夕暮れ時、仕事を終えて本社のビルへ戻った。
例の男の子が、ロッカールームへ案内してくれる。
「このテラスは四階ですが、三階のフロアーにつながっています。」
「ねえ、本社(ここ)の管理職はインディゴの制服なんですよね?
それって、変じゃあないですか?」と、僕は聞いた。
彼はにが笑いを浮かべながら、異様に大きなスチールロッカーの扉を、
《バタン》と開けてみせた。
・・・・・・中は、見覚えの在るバスルームだった。
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