見上げればそこには夢がある 夢は緑の鞄に詰め込んで 携えてきたはずだけど 今は身動きすらとれず 見知らぬ者に囲まれて 仲間内の会話すらままならず 両開きスライドドアは目の前にあるけれど 茗荷谷までは出られもしない 見渡す限りの頭の海にぽっこり浮かんで息してる 今はどのあたりか 窓すら見通せない がたがたごとごと揺られる旅に 見上げればそこには四角い青空 天井近く 榛名山を望むニュータウン 新幹線通勤圏内 前泊の出張で夜更かしをして ふと見上げれば 榛名山がそこにある マイホームと自然と家族とを 夢に描いたポスターは 瀬戸内に置いてきたはずのもの 疲れを癒す素振りで すうっと隙間に入り込んでくる はまり込んだ夢を買う算段をして 夢をもう一度確かめる 見上げればそこには夢がある
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