へい太の日記

2004年06月13日(日) 塩をまかれて

大通りに面した古めかしい木製ドア
いくつか色のくすんだ小さなガラスがはめ込まれている
店のドアの足元に 白い塩が浮かび上がる
盛り塩ではなく
ドアの下一面 塗り込むように
端から端まで塩の帯が続いている
どこまで続くのかと思ったが
となりは薄暗い路地になっていて
塩の道はそこまでだった
ドアの横の柱も何だか腐りかけてるようだし
ナメクジを除けるため
これ以上悪くならないように
マスターが工夫したのかもしれない
まだ少し早いけど
店に入ってみることにする
案の定薄暗い店内は
なんだかかびくさいようなにおいが立ちこめている
梅雨時にしてはひんやりした感じもするが
カウンターは触ると湿気が多い
ひげを生やしてるけど
頭は薄いマスター登場
少し飲むことにする
BGMはジャズ
何だか出づらい
あの塩は聞かなかったけど
マスターよけなんじゃないかな
マスターを店の外に出さないための
だってマスターなんだかナメクジみたいだぞ
そんな経験はしたくなかったので
ぼくはドアを開けることはやめにした
塩にどんな意味があるのかわからなかったけど
ドアの向こう側にはどんな人がいたのかわからなかったけど
かなりの間ドアの前で立ち止まって
あれやこれや考えていたのは事実だ
ということは
やはりあれは盛り塩だったのか
塩が恐くて入れなかったのは
ぼくがナメクジだったからかもしれない
店の中にいたのはぼく自身だったのかも
となると
塩は現在と未来を隔てるための障壁なのか


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