政局が二転三転している。
当初は、菅内閣の不信任案が採決されれば、
その可否を問わず民主党の分裂が確実視されていたが、
土壇場で菅が退陣を約束したことで危機を回避したかに見えた。
ところが菅は早期退陣を否定し、居座りの様子を見せたことで再び混乱。
だが昨日今日から多くの党幹部や閣僚は早期退陣を口にし始めている。
もしそれが本当だとすれば、今までは1人勝ちに見えていた菅が、
実は最大の罠に嵌められていたことになる。
何故なら、菅1人がいかに居座りを続けようとしても回りからじわじわと追い詰められ、
結局は雪隠で首をつるという政治的に最も恥ずべき死に様で退陣することになるからだ。
だったら最初からさっさと辞めていればよかった、ということになる。
そうすれば菅は身を捨てて危機を救ったとして一定の評価を受け、
退陣後も影響力を残すことが可能だった。
しかしこのまま醜態を晒し続けた挙句に無様な野垂れ死に追い込まれれば、
退陣後は誰からも相手にされないことになるだろう。
その場合、最も得をするのは誰か、と言えば、言うまでもなく後継の総理・党代表である。
言い換えれば、菅を野垂れ死にさせる筋書きを書いたのもそのグループの誰かと言うことになろう。
既に小沢が影響力を削がれ、鳩山が笑い者になり、更に菅が発言力のない隠居に追い込まれれば、
民主党の新実力者たちは事実上のフリーハンドで主導権を握ることができるからだ。
もともと「小鳩菅」の旧世代トロイカを総退陣させることは、
民主党が政権を取る前にやっておかねばならなかった課題だったのである。
だが菅がおとなしく引き下がるとは限らないし、小沢が巻き返しを図ることも確実だ。
その意味で民主党が真に政権政党として基盤を固められるかどうかが、これからの政局にかかっている。