てくてくミーハー道場
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2011年02月26日(土) |
『ZORRO THE MUSICAL』(日生劇場) |
また更新しないうちに一ト月経とうとしています。
(「今年はがんばる」とか言ってたの、誰だっけ?)
・・・うう・・・すまん。
前置きはどうでもいいですね。
今作は、去年帝劇前にポスターが貼り出されてるのを見て上演を知ったんだけど、その時からかなり楽しみにしていた。
とにかく、日本人が大々々好きな(決め付け)The Gipsy Kingsのジュークボックス・ミュージカル!
もちろんぼくも大好きジプキンジョビジョバ(←?)
ストーリーは厳密には知らなかったんだけど、まぁ「ゾロ」っつったら、あの「怪傑ゾロ」でしょ? アメリカの鞍馬天狗でしょ?(ち、違う・・・/汗)
まあ、だいたい事前の知識どおりでした。
ただ、当時のカリフォルニアを恐怖政治で支配しているのが、スペイン提督じゃなくて、主人公ディエゴと兄弟同様に育ったラモンという男で、その男とディエゴと、もう一人の幼馴染のルイサとの三角関係とか、大恩人であるはずのディエゴの父親に対する、ラモンの奇妙な歪んだ愛憎とかも盛り合わせてあり。
いわゆる、過去の『怪傑ゾロ』の、単純な勧善懲悪だけではなくて、現代人向けに若干のフクザツさも盛り込んであるのであった。
その分、最後、「敵が斃れて、ヒロインと結ばれて」終わると、「えぇー?・・・これで『めでたし、めでたし』って、言えるのぉ?」と思ってしまうのだが、それはそれ、基本は「民衆を救うヒーロー・ゾロのものがたり」なんだから、「そんな無粋(エッ?)なこと言っちゃいけない」って気にもさせられる。
だいたいそのために、今作では、冒頭「これは、ロマ族の旅芸人たちが見せてる、タンカラ芝居なんですよ」という設定をわざわざ見せてるのだ。ここ、案外よくある手だが、良かった。
さて、こむずかしい屁理屈は、この辺で終わり。出演者たちの話をしよう。
まず、いきなり主役から。
坂本君。
ビバビバ!\(^^)/ジョビジョバ(←こら)
もうねー。自分でもびっくりしたんだが、ディエゴの最初のソロ「希望の歌」(原曲は「Soy」)を聴いた瞬間、
「ぼく、坂本君の唄声、大好きなんだなー」
と、改めて思いました。
こういう声が好きなんだよね。張りのあるテノール。でも、クラシック畑のテノールじゃないから、劇団フォー・シーズン(ゴホッ、ゴホゴホ)的な押し付けがましい“張り”でもない。
この「押し付けがましくないところ」が、すごーく好きなんだなと分かったのだ。
しかも、声量十分であるにもかかわらず、感情も豊かで(これはまぁ、カズだってそうだけど)、大塚ちひろちゃんとのデュエットも、抑えるところは抑えられるから、若い歌自慢の役者たちにありがちな「声量同士のケンカ」っぽくなってない。
ここも重畳。
実際、今月のぼくは、坂元健児、岡田浩暉(何の作品かバレたね)、岡幸二郎、そして今作の石井一孝と、たっぷりと張りのある美声を浴びて生きてきた(大げさ)わけですが、今日の坂本君で、申し訳ないがその方たちの記憶が一掃されてしまった。
え? 今挙げた人たちの声が押し付けがましいとでも?!(←い、いえ、違うっ、違います!!! 断じて)
は、話を変えよう(逃げたな)
今さらなんだけど、本当に坂本君はスタイルもいい。長い脚の美しいラインに、しばし釘付け。
顔も小さいし。
まぁ、顔そのものは、えー・・・(おいっ!/怒)
ヒゲは本物なんだよね。カウントダウンの時に既に生やしてたから(これはテレビで確認)知ってるんですが、本日肉眼で確認はできなかった。つうか、別にしなかった。二階席だったんだけど、ぼくはオペラグラス使わない主義なので。
立ち回りも(えー、一部は代役さんですよ、わかりましたよそんぐらいは。でも、坂本君本人もすごーいシーンを実演してたのは事実)スカッとする動きっぷりだったし。
言うことなしだったな。ホント。
今日はマチソワだったので、イネスとガルシア(そして子役たち)のダブルキャスト両方を一日で観た。
そこで「やっぱりなぁ」と思ったのは、島田歌穂嬢(って歳でも・・・アワワ)の、すごい存在感。
ホント(体は)小っちゃいのにねぇ。・・・スゴすぎました。
いやもちろん、もう一人の池田有希子嬢も、『リトル・ナイト・ミュージック』で「粉屋の息子」を聴いて以来注目し続けてきた女優さんだし、今日(マチネだったので、彼女のイネスが先だった)観たときには、「良いな〜」と思ってたんだけど、ソワレで歌穂ちゃんのイネスを見た瞬間、そのすごさに圧倒されてしまった。
ダブルガルシアは、やはり見覚えのある芋洗坂係長(マチネ)の方に親近感があったせいか、コメディシーンはより彼のほうが笑えた。
だけど、話が進むうちに、どちらのガルシアも良くなっていったな。ガルシアって、なぜ太ってる人をキャスティングする必要があったんだろ? 理由は分からんけど、役柄は案外ディエゴ以上に「二枚目担当」なんだよね(逆に、「だから」かもしれない。「人は見かけじゃない」ってことなのかも)
あとの主要キャストについては、軽い感想で申し訳ないが、ちひろちゃんは、ヒロインの割には若干考えが浅気味でちと共感されにくい役だったけど、歌は文句なし。ダンスも、そもそもルイサはイネスたちみたいに上手い必要はないので(こら)
カズは、例によって怪(≒快)演。
考えてみりゃ、ラモンが一番複雑なキャラなんだよなぁ。
ヅカオタっぽい例えで申し訳ないが、「二番手のおいしさ」満載の役でした。
そうそう、今回この作品を観ながら、しばしば「タカラヅカでやりそうな内容だなー(健全な(コラ)ラブシーン、単純な勧善懲悪的価値観、歌劇団の大得意スパニッシュ(笑)etc.)」なんて思ってしまった(まー、最近は歌劇団も、オリジナル作品が激減して既成のミュージカルに頼り過ぎって点は良くない傾向なのだが)
主要な登場人物が、歌劇団でやるにしては少ないんだけどね。
・・・待て。既にやってるじゃん『ゾロ』
おととし雪組がやったじゃん!忘れんじゃねーよ!(叱)
あの時は、そういやもっと人間関係が入り乱れてたっけな。
そして、ヒロインはもっとヘンな性格(おいっ)だった。
となみん(白羽ゆり)のサヨナラだったんだっけ、そういえば。
・・・ま、その話は今はどうでもいいですね。
主要キャスト最後のお一人、アレハンドロ総督とイネスのパパ二役の上條恒彦さん。
ここ数年、ノドを傷めておられるようで心配なのだが(だから、ここんとこ、あの朗々としたすばらしいお声を拝聴できない。残念である)、今日もせりふが辛そうな箇所がままあった。
でも、それ以外は実に堂々としてて舞台を引き締める上置きキャストであった。
上條さんとスペインもの舞台といえば『ラ・マンチャの男』だが・・・しばらく観てないなぁ。前回の上演のとき行かなかったぼくも悪いのだが。再演しないかな。
さて、最後にとっといた「ビバ」は、今名前が挙がんなかった人たち! つまりジプキンを歌いまくり踊りまくったアンサンブルと、本物のフラメンコ・ダンサー(と、ミュージシャン)の皆さんであります。
うわー、モノホンだよぉ、骨格が、リズム感が、「キメ顔」が、違うよぉ(←おいこら)と、ひたすら圧倒され候。
彼らからは、日本人キャストのジプシー・ダンスは、ぼくらからする「西洋人の日本舞踊」に見えんのかな?(それは、「下手」ってことではなく、「違和感」て意味で)
でも、「情熱」は日本人だって本気のはずだから、何も知らないぼくなんかが言うことじゃないんだよな。うん、きっとそのはずだ。
なにしろ、カーテンコールがこんなに本気で楽しかったのって(こら、問題発言だぞ)久しぶりな気がする。
いつもだと「良かったよー、うん」と、10分くらいは拍手しても(もちろん本気で「良かった」と思ってるんだよ)、「さー、終わった。○○食べに行こっ」と、すぐ現実に戻ることもないとは言えないのだよ。
でもこの作品のカーテンコールは、タカラヅカのフィナーレと同じで、最後の最後まで見てナンボって感じだった。本当に楽しかった。
本当に良い舞台でした。満足です。
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