「ナオミ」 - 2014年09月23日(火) あなたが薄い化粧が好き、というのは 自分と釣り合わなくなってしまうからなんでしょう わたしが選ばない洋服ばかり勧めるよね 背伸びしたい年頃なんでしょ わたしより6つ年下の 残念だけどわたしはそう簡単に変われない わたしが聞かない音楽 わたしが悩まない事柄 わたしを作り替えたいと思うなら大間違い すれ違うどころか、関わってもいないね 日常に食い込んで当たり前になっていて もはやいてもいなくても変わらなくて わたしを作ったのは12歳年上のK氏で あなたを作ったのは幾多の女の子たち マイノリティだけど、魅力的だって自負してるわ わたしの魅力を理解する人は少ないのかもしれないけどね あなたの思うようには変わらないよ - 名前のない女 - 2014年09月18日(木) 名前のない女が踊っている。 汗で化粧が少し崩れ、それでも彼女は十分に美しい。 名前のない女は生活もない。 ただそこにいて、ただ微笑んで、ただテキーラを飲み干す。 名前のない女には昼がない。 つけまつげのついた瞼は重く、口紅は赤く剥げかけている。 名前のない女は眠らない。 享楽的に、刹那を生きている、眠ることは死だ。 名前のない女。 - 芥 - 2014年09月17日(水) 彼女は安易に近付いてきて、 安易に僕は誘惑された。 未来などなく、あるのは溢れんばかりの過去だけだった。 過去に囲まれて、僕たちは現在を過ごした。 相変わらず未来なんて何も見えなかったし、見ようとも思わなかった。 もう若くないと思いこむ。 それくらい若いってことね。 彼女が言葉を継ぐ。 テーブルの上には煙草とレモンジュースが置かれており 彼女は延々と煙草を吸う。 僕も延々と煙草を吸う。 あるのは過去ばかりだ。 - 恋の不思議 - 2014年09月14日(日) ものすごいタイミングとスピードで あたしたちはこうなってしまった 仕掛けたはずのあたしさえ驚くほどのスピードで 放っておけばこのまま なるようになるんでしょう あの速度でこうなったということは 多少なり何かの意味でもあるのでしょう あたしは唇を噛む あたしは唇を噛む あたしは唇を噛む 過去はいつの間にか捨ててしまっていて 振り返ることすらできないから ただあなたの手を取って 全力で駆け抜けるしかないのね だいすき。 だいすき。 だいすき。 言葉は時に変形する だいすきはだいきらいかもしれないし その逆かもしれないし そう思い込んでるだけかもしれない 最後、通る扉を知ってる? 白い白い大理石の、見上げるくらいに大きな扉 あなたに起きたことすべてがあなたを形づくる わたしに起きたことすべてがわたしを形づくる 噛み合わない石をこすり合わせるようなもの あなたとわたし、でも一緒 - アンドロギュノス - 2014年09月05日(金) かつてわたしの背中に貼りついていた 言葉を持たない人物を探している わたしの右脳はおそらく彼が持っている 彼が持たない言葉をわたしは持っている わたしはいつも持たないものを探す けれど本当は、必要なものはすべて目の前にあるはずなのだ わたしはそれから目を背ける わたしはそれから逃げてばかりいる 受け入れる強さはわたしにはまだない 強さすら、おそらくわたしは持っているのに見ないふりをしている 誰にも見えない坂道のいしくれ 誰にも見えないわたしの血はまだ赤い。 - 明日この世が終わるとしても - 2014年09月04日(木) 選ばなかった選択肢を いつまでも未練がましく想っているから あたしの掌はいつも湿っているのだ 選んだ選択肢を まっすぐに見据えることをしないから あたしの皮膚はいつも毛羽立っている わたしの子宮はささくれだって脳に突き刺さり コワイモノダコワイモノダと繰り返す 変わることも変わらないことも怖いのだ わたしは未来のことを想う 選ばなかった過去を想う わたしは飯を食べ眠る -
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