2020年05月01日(金) |
通院日だった。でもこれを書いている今、もうその通院日だった今日は遥か彼方昔に感じられてしまう。私の時間感覚の歪み。 カウンセリングで、将来、というものや目標・ゴールといったものを想像することができない話をする。私が考え得るのは、遠くても三日、せいぜい三日という時間だと。それ以上がまったくもって私の中に設定できない。自分に未来があるとか将来がある、まだ残り時間がある、という想像ができない、という話。 自分でそのことに気づいた時、「心的外傷と回復」の中に書いてあったことを思い出しはっとしたという話もする。狭窄の章。 カウンセラーが、くすりと笑い、私はちょっと違う意味でこの間あなたにゴールを設定してみてという話をしたのだけれど、あなたはそういう意味に捉えたのね、とまず言われる。でもそれはそれで大事なことだから、とも。
PTSDで治りやすい人と治りづらい人といるのは知っているでしょう? はい。 単体の体験だったり、性被害の場合見知らぬ人、これまでの人間関係にいなかった人からの被害だと、比較的容易にトラウマを克服できると言われているの。でも、それが反復された経験だったり見知った人、かかわりの深かった人からの被害だと、治るのは困難、とされてる。 はい。 あなたの場合は後者よね?しかも、人生のほとんどをトラウマをかいくぐって生き延びてきたところがある。あなたの解離もそのトラウマを生き延びるために培われたものだから。 はい。 解離の深度もPTSDの深度も、いってみればかなり深い。 はい。 でも、だからいいとか悪いとかじゃないのよ。そうやって生き延びてきたのはあなたの力なの。山ほどのトラウマ体験を経ながらそれでも生き延びるために、あなたが言ってみれば「あなたの術」を生み出して為してきたということがいえるのよ。 …。 その「あなた独自の術」を、私は全部潰してしまう必要なんてないと思うの。 …。 それを生かしながら、それでもあるたくさんの生きづらさの部分だけ、何らかの修正をすればいいんじゃないのかなって思ってるの。 …。 たとえばあなたはトラブルを抱え込みやすいわよね? 人間関係で。とりわけあなたがヘルプしてあげた人たちとの間でトラブルになりやすい。 はい。 あなたがあなたの舟を降りてそのひとたちを乗せてあげちゃったりして、いつの間にかあなたの舟が乗っ取られてあなたはじゃあどうしてるかと言ったら舟の外でバタ足して必死に舟を押してる、みたいな。そういう状態を、何とかしようか、と、そう思わない? それは、思います。 まず、自分の舟からあなたが降りなくて済むようにしないと、と思うんだけど。 はい。でも。私、先生の言ってることは頭では分かるつもりなんですけど、「私だから大丈夫、何とかなる」とか思っちゃうし、今更、舟降りてよなんて言えないし…。 でもそれは同時に、そのひとがそのひとの人生を生きることを邪魔してることでもあるでしょう? 自分の足でちゃんと自分の人生を生きる、これ基本でしょう? …はい。それは、それで、分かる。 だから、まず、いやだと思うこと感じることは拒否する、拒否していい、というところから練習しましょうか。 …。どこでどうやって練習するんですか? たとえば家族の間で。あなたはいつも、あなたがやらなくていいことまでやってあげちゃってない? ああ、それなら、そうかも。 でもそれは、そのひとの自律を阻むことになってない? ああ…、そうかも。 息子さんやご主人で練習しましょう。 でも、すごく難しい。 難しいでしょうね。今迄ずっとそうやってきてるから相手もそれが当たり前になっているし、あなたはすぐに自分を責めるから。きっと罪悪感の塊になっちゃうわね。 はい。 だから、練習しましょう。難しいけど。 …。
覚えてることを今、一生懸命タイプしてきたけれども。改めて、こりゃ難題だぞ、と思っている。私にとっては。 私の周りではたくさんのひとが自ら死んでいった。そういう体験をいくつも経た。だから私は、拒絶するのがひどく苦手だ。私があの時拒絶してしまったせいでまたひとつ命が消えてしまった、という体験をいくつも持ってると、拒絶するのが猛烈に怖くなる。 でも今、同時にこう思ったことも事実だ。「私ごときに拒絶されたからってどうってことないともいえるんじゃないのか? 私ごときに。私になんてこれっぽっちの価値もないんだし」と。 両方を、両極を、私は自分の中に抱いている。 そんな私は、その両極を結ぶ、中間が、ない。欠落している。いわゆるグレーゾーン、だ。そこが欠落している。 つまりここを、これから育てましょうね、ってことでもあるんだろうか? ちょっとよくわからなくなってきた。
だからつまり。 自分の人生の主人公は自分であって、他の誰でもない、ということを改めてちゃんといい意味で認識して、あなたの人生、わたしの人生、それぞれあるよね、それぞれ違ってそれで(が)いいんだよね、私がある時あなたの申し出を拒絶しても、それはあなたの申し出を拒絶しただけであってあなたを拒絶したわけではないんだよ、と。それは逆もしかり。これまで失われてきた命の数々は、それぞれのひとが選んで失っただけであって、わたしのせいじゃあ、ない、と。それはただの驕りだよ、と。 嗚呼、よくわからない。頭がぐちゃぐちゃになってきた。 とりあえず。
今夜はここまでにしよう。また、ちょっと時間を置こう。
窓の外、埋立地に立つ高層ビルを囲んで点る赤灯がちらちらしている。気づけば丑三つ時。朝はもうすぐそこ。
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