昼食に誰かを待つ日は

2020年04月07日(火) ウグイスの声

朝、遅めの起床。いつも通りバナナヨーグルトを食べて準備。デザイナーとの打ち合わせに向かう。春日駅に向かうも、大江戸線で逆方向の電車に乗り間違えて遅刻。Aさんの事務所は空気にまったく濁りが無い。こんな状況であれ「なんだか、大丈夫な気がするのは私だけかしら」とつぶやいていた。最近家の前によくウグイスがくるそうだ。震災のときもウグイスが来て「ホーホケキョ」と鳴いたという。その声を聞いて「ああ、大丈夫なのかもしれない」と思ったのだそう。もちろん、状況は何も大丈夫では無いのだけど。おそらく気持ちの問題。Aさんには仕事を受けてもらえることになった。部屋には波の音が響いて、12時になった瞬間に時計から鳥の模型が飛びだして「ピヨピヨ」と鳴いていた。

昼食は近くの中華料理屋へ。"ラッキー"という縁起の良い名前のお店で冷やし中華を食べた。テレビでは安部さんが映っていた。緊急事態宣言が出される数時間前の話だ。後ろのおじさんは「学童用マスクなんて配られてもどうしようもないよ」と嘆いていて、麺を食べながら吹きだそしそうになった。
午後は在宅での仕事。家に帰る前に花屋に寄ってオリーブを買った。鉢に入っていて、育てればグングン伸びるらしい。それから本屋に行って5冊くらい買う。壮大な物語を求めているのか、カズオ・イシグロと村上春樹、埴谷雄高、チェーホフ、トルストイなどを買ってしまった。部屋に戻り、ちょっと休憩してから作業。意外と家でも仕事ははかどる。もはや会社はいらなくなってくる時代に変わるのかもしれない。でもひとりで仕事をしているとすこし寂しい。鉢植えを窓辺に置いて、水をやった。


それからいつも通りスープを作り、翌日のサンドイッチを仕込む。アボカドを切ってペースト状にし、ツナと一緒にかき混ぜている時間が安らかだった。その後Iと電話。神田伯山の「中村仲蔵」を見て号泣したという。それを私も見たが、彼は天才だ。あの声はなんだ。役者が憑依している。鳥肌が立った。いろいろが収束したら生で見に行きたいな。


緊急事態宣言が出されたらしいが、今日はそんなことにちっとも興味がわかなかった。なんというか、Aさんと会ったことでいろんな不安が吹き飛んでしまったのかもしれない。でも出されたのかあ。明日から一体どうなるのやら。


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左岸 [MAIL]