昼食に誰かを待つ日は

2019年06月30日(日)

Moses Sumney -Indulge Me

昨日の夜は二時間ほど泣き続けて(理由はなくて多分身体がそれを求めていた)、だから疲れて10時間以上も眠った。起きよう、と決意して立ち上がろうとするまでに再び目を閉じて眠ってしまい、そんな調子でようやく動き始めたのが昼前。といってもこれといってすることがあるわけでもなくて、とりあえずスーパーに行った。
果物の中でも特にプラムが好きで、いつも並んでいる果物売り場の中に、今年初めてプラムの姿を見つける。値段は高く、贅沢ができる身分でもないのだけれども、それでも躊躇せず手にとって心がニンマリしたままカゴの中に入れた。ついでに林檎も買う。キウイも欲しかったけど、今日は我慢した。(冷蔵庫の中に4つくらい入っているが、なんとなくキウイはストックがあればあるだけ充足した気持ちになる)

それで部屋に戻り、しばらく携帯電話の電源は入れずにぼーっと過ごす。自分の気持ちを持ち上げたり、ひとりで二本足でしっかりと地に足をつけて立ち上がるために、誰か人に頼ったり、寄りかかったりもたれたりするのではなくて、私はこういう風に、ささいな贅沢(例えば今日はプラムを買った)を自分に許し、静かに誰にも見えないところで自分に潤いを与えて、ささやかに機嫌を取り戻してゆく。
好きな本を読んで、Moses Sumneyという人の曲を聴いて、プラムを頬張って、何にもしないでダラダラと過ごしていた。この歌手の男の人の声が繊細で柔らかいのに、それに比べて体格は頑丈そうで、いかにも黒人の強い人という見かけ。なのに、大人向けの子守唄でも言いたくなるような歌声を発している。このギャップにやられて、今日はずっとこの人の歌を聴いていた。眠たくなるし、なんとなく雨の日に合う。

せっかくの休日に部屋の中にずっと閉じこもって過ごしているけど、昨日枯渇していた自分の中の木みたいなものが、草、みたいなものが、今日はさやさやと穏やかでいられたと思う。こういうとき、ひとりでも立ち上がれたぞ、ひとりでも大丈夫なんだ、とじぶんにすこし自信を持つことができる。この気持ちが芽生えたと同時に、そして大事な人に会いたくなる。じぶんに余裕がないと、人と一緒にいても、たぶんお互いが息苦しくなってしまう。そうはなりたくないから、機嫌が良い時に、穏やかな時に、初めて、大事な人の顔が浮かぶ。
会いたいなと思う。今日はずっと閉じこもっていたけれど、あとで夜映画館に行く。正直もっともっと部屋にいたいところだけど、すでに5時近くになってしまった。あと10時間はこうしてダラダラしていられそうなのに。時間はどうでも良いけれど、明日が日曜日だったらよかったのになあと思わずにはいられない。
週6日働いていると、本当の休みどころが日曜日の午前中しかないのだ。午前中だけで、あとはもう月曜日、仕事の始まりに向かっていくだけ。こういう現実から逃げるために、しょっちゅう映画や本の中に身を隠し、逃げているわけなんだけど、今日も夜映画を見終えた後にきっと気が少し重くなるんだろう。日曜日の夜は苦手だ。


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左岸 [MAIL]