てくてくミーハー道場

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2019年08月26日(月) 「八月納涼歌舞伎 第三部『新版 雪之丞変化』」(歌舞伎座)

(観てきたのは昨日です)

八月納涼歌舞伎なので、軽い肩の凝らない演目が並んだ歌舞伎座。まあ、朝っぱらからの第一部はバリバリ丸本物の「先代萩」ってなんのこっちゃ、とはいえ、これは七之助の“チャレンジ公演”であります。

で、第二部は人気シリーズ化した猿之助幸四郎コンビの「やじきた」、これにもぼくは乗り遅れちゃったので(シリーズ一作目を見損なったので観る気が起きないという意地の悪い客)パス。

よし、久々に玉さんだ!と張り切って参りましたのが第三部。

「雪之丞変化」って、実は歌舞伎じゃないけど、なんか実験劇っぽくて面白そうだし玉さんだし。





まさに“実験劇”でした。

登場人物というか、役名のある出演者はたったの4人。

玉さん(坂東玉三郎)、(市川)中車、(中村)七之助、そして七之助演じる秋空星三郎(こんな役「雪之丞変化」にあったっけ?)の弟子・鈴虫(かわいい名前だなあ)を(尾上)音之助と(坂東)やゑ六が役替わりで。

中車が何役もやってて、それが澤瀉屋のくせして()早替わりとかではなく(一応早替わりもあった)、映像を使った手法で、こういうのってぼくはあんまり好かない。

第一、中車はスクリーンに映った瞬間、“市川中車”ではなく“香川照之”になってしまうのである。ナマで見る中車は歌舞伎の化粧もきれいにのってて役者ぶりも良かっただけに、ここで気持ちが醒めてしまうのが勘弁だった。

そして、「雪之丞変化」っていう芝居はアクション娯楽作だとぼくは思ってたんですが、今回玉さんは、むしろ雪之丞の「役者としての苦悩」に焦点を当てていて、やけに青臭い内容になっていて、肩の凝らない納涼歌舞伎を目当てに来た身としては、なんだか「話が違うぞ」と言いたい気持ち。

なら第二部を観れば良かったのにって?・・・そうですね、うん()

まあ、たまにはいいんでないの、こういうのも(こらこら)

こういうのがメインストリームになっちゃ困るけど、客が入んなくてもいいや、っていうニッパチ月間に、客を呼べる千両役者である玉さんと、ヤングスター(←呼称が昭和!)の七之助が出るから切符はハケる、だからこそ許された実験公演なんだろうなあと思った。



普通にやれば、雪之丞が玉さんで浪路を七之助、またはそれをとっかえたダブルキャストでというサービス的な興行にできたんではと思うんだが(そういえばお初も出てこなかった)

“普通”にしたくなかったんだろう。良く言えば意欲的な冒険作なんだけど、実際観た身としては、映像の多用がとにかく製作費節約したみたいにしか見えなかった(いや、むしろお金はかかってたのかな?よーわからんけど)

ぼくはこれまで「雪之丞変化」の正統派演出作としては長谷川一夫先生の映画版しか観たことはないですが、舞台作品としては、二十一世紀歌舞伎組のやつと、宝塚歌劇団のやつと、花組芝居のやつとを観たことがあります。どれも面白かった。

・・・まあ、久々に玉さんをたっぷり見ることができたんで、料金分は損しなかったけどな(結局不満だったのね・・・?)

今度は大歌舞伎で玉さんを観に来よう。←

あ、七之助、『四谷怪談』ガンバレ。京都までは行けないけど(薄情)

変化球ばかりじゃなく、正統派作品のときに歌舞伎座に入らないとやっぱりいけませんね。・・・さて、来月はどうしようかな(オイ)


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