てくてくミーハー道場
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2014年10月30日(木) |
宝塚歌劇団花組公演『エリザベート〜愛と死の輪舞〜』キキルド(東京宝塚劇場) |
とにかくキキ(芹香斗亜)ルドが観たかったので、八方手を尽くして平日の天井席をゲット。
個人的なお目当てはもちろんそれだけじゃなく、新トップ・みりお(明日海りお)待望のトートを筆頭に、みちこ(北翔海莉)のフランツ、だいもん(望海風斗)ルキーニと、主だった男役がすべて歌得意という、近年珍しく(コラ)組回りの良い公演だったこと、蘭ハナ(蘭乃はな)といちかちゃん(桜一花)のサヨナラというプレミアム性もありーのということもあり、例によってチケットゲットは苦労しました。
まあ、その苦労話を今する気はないです。
さくっと感想を書いてしまいましょう。
『エリザベート』って、やっぱり名作だわ。
それも、すみれコード立てまくりのド級改変ヅカエリザであってもこんなに面白いってことは、原作自体がいかにちゃんとできてるかってことだよね、と久しぶりに実感。
いや、むしろ最近は東宝版の方が余計な改変が多すぎて、若干うんざり気味だったというのが正直なところ。
東宝版て、再演を重ねるごとにちょこちょこ流れが澱んだり歪んだりして、お話の芯がぶれてる感がすごいんだよな。小池修一郎の悪いクセが端的に出てる。
一回リセットしてみたらどうだろうか、来年の再々々々・・・演では。と要望したいくらいだ。
この話はまあ置いといて、今回の第二回花組版の話をしましょう。
では、主なキャストについて出てくる順に。
ルキーニ。
期待通りで、特に期待以上でもない感じだった。
久しぶりにヅカ版を観たせいか(東宝版もそんなに頻繁に観てないけど、iPodではエッセン版ばっかり聴いてるせいで)、「女だ」って思ってしまった。これはいかん。
ヅカに対して「しょせん女だ」って思ってしまうのが、一番ルール違反なのでね。
でも、そう思ったのは冒頭だけで、シーンが進むごとに、ストレスのない良いルキーニだなと思いましたよ。
トート。
あのね、基本的には上手なんです(おや? こういう書き方をするということは・・・?)
「ここ、音はずさないだろうか?」みたいな心配をする必要がないって、なんてステキなんでしょうとも思ったし(こらっ! いちいち余計だよ!)
ただね(ほらきた)
トートが、今どんな心情でいるのかが、ほとんど伝わってこない。
いや、トートは感情を出すもんじゃない(かんーじょうをーおさえーるのがー♪・・・って、それはフランツ!←独り漫才をするな!)っていう考えも成り立つんだけど、この“起伏のなさ”は、「トートの非人間的さ」を出そうとして考えてやってるというよりも、もともとみりお自身が「感情豊かに」歌えない人だっていうことなのかもしれぬ、という気がしたりして。
あれ? よく思い出せないな。みりおってそんなんだっけ? そんなはずはないと思うのだが。
・・・なんか、不思議な観劇感でした。
とにかく一言で言えば、
「どこまでも楽譜に忠実なトート」
良くも悪くも。
シシィ。
ほとんど期待していなかったんですが(すまぬ)、仮にも4年以上トップ娘役を務めてきたわけで、高音も(もちろんファルセットでだけど)本人比でちゃんと出ていたし、芝居もちゃんとしてた。
タカラヅカ版のシシィとしては合格だったんではないでしょうか。(←娘役には点がからいね、いつもながら)
ぼくは「皇后様はーひとときもー♪」のシーンでシシィが思いっきりセカセカ歩くのが好きなんですが、蘭ハナは、おハナさま(花總まり)以来のセカセカ歩きで嬉しかったです。←
このシーンは、シシィが生き急いでいることを象徴してるわけだからね。
フランツ。
みちこには点が甘くなるぼくですが、今回に限ってはそうでもないです。(なんだって?!)
みちこって、高貴な役が似合わん(←)
過去最高とまでは言わないけど、まれに見る“庶民的”な皇帝だった。
シシィにとって、実にやさしいダンナさま。
フランツってさ、いつもノーブルな微笑でシシィに接していながら、その実何にもわかってない、生まれつきの皇帝だから、自分がいかにシシィに無理難題を突きつけてるかわからずにただ「愛してる〜♪」って言えば通じると思ってるやっかいな男なんだよ(←身分が高い人への完全なる偏見)
でも、みっちゃんのフランツは、とにかくほんわかと優しい。その優しさの奥にある本当の冷たさが、残念なことに伝わってこなかった。
(まあ、これができてたフランツは、タカラヅカでは後にも先にもゆきちゃん(高嶺ふぶき)だけだったんだけどね)
ただ、死んだルドルフの棺に縋って泣くところとかは、やっぱりうまかった。ここが「やさしさ」が勝ってる男役・みちこの真骨頂なんだろうな。
それと、フィナーレではフランツ役がトッパシに「愛と死の輪舞」を歌うんですが、歌自体はうまかったんだけど、衣裳がヘンだったなあ。昨今のジェンヌ基準ではみちこはあんまりスタイルが良いとは言えな(←だまれ)
「闇が広がる」のダンスはおステキだったんでヨシとするか。ただ、だいもんの方がもっとステ(だまれ2!)
ゾフィ。
いちかちゃん、有終の美を飾りました。
歌がうまいだけじゃなくて、ゾフィと宮廷5人衆(?)は敵役っぽいだけじゃだめで、ヤッターマンのドロンボー一味みたいに抜けてなきゃならない(そうなの?)から、その辺のひょうきんさが必要なんだけど、そのあたりもいちかちゃんがリードしてた感じがする。
こういう、力のある女役さんがいなくなるのは残念でならない。
(他の人たちをだいぶとばして)
ルドルフ。
キキちゃん、あんまり歌はうまくない。(かわいいけど)
顔が小さすぎて、体がデカく見える。(かわいいんだけど)
今後に期待。(あら、短か・・・)
てなわけで、なんとのうお行儀の良い『エリザベート』でありました。
でも、ヅカ版は5年ぶりという久しぶりの観劇のせいか、なんか清々しい気分になれた。
何よりもヅカ版『エリザベート』は、フィナーレというおまけが一番の楽しみ。
トートとシシィのデュエットはそんな大したことなかったが(こらあ!)、それ以外の部分は十分満足のクオリティでありました。
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