てくてくミーハー道場
もくじ|前回てくてく|次回てくてく
2014年07月04日(金) |
『オーシャンズ11』(東急シアターオーブ) |
よっ!おひさ!(←軽い。軽すぎる)
タモロスも癒えた今日この頃(適当なこと言うなよ)皆さん、『バイキング』視てますかー?
ぼくは月曜日だけ視ています。(←裏切り者)
坂上忍が好きだからじゃありません(はっきり言うねー?)
サンドウィッチマンのコーナー(だけ)が好きだからです。
うん、サンドウィッチマンだけだ、面白いのは(←)
あ、さて。
月曜日といえば、『笑っていいとも!』月曜日レギュラーを長年務めていた慎吾ちゃん。(こじつけ)
『TALK LIKE SINGING』以来のミュージカル出演ということで、しかも、あの『オーシャンズ11』を、あの山本耕史君と一緒にやるっていうので、力任せに()チケットとらせてもらいました。
で、ダニーが慎吾ちゃん、ラスティーが耕史君、そしてテスが観月ありさちゃんということ“だけ”しか予備知識に入れずに観てびっくり!
タカラヅカバージョン(台本、音楽)をそのままやってんのか!
演出・小池修一郎なのか!
で、覚えのあるせりふ・歌を、見慣れない(一部は見慣れた)キャストが演じ歌っているのを観た、正直な感想は。
ニューヨークで「ん?『GYU-DON(Beef Bowl)』?・・・うわー、日本が世界に誇るファストフードがアメリカにも!入ってみるか」と入った店が、実は「吉野家NY店」だった!みたいな感じ。
そしたら、肉は多めでめっちゃうまい(そもそも吉野家の肉はアメリカ産ですからね)のに、ご飯が「惜しい!」みたいな感じ。
「男役芸」っていうものが、いわゆる「二枚目芝居」とは似て非なるものであることを、つくづく実感。
なんか、違うんだよね、本当の男がやると。
どんなにカッコいい俳優であっても、男役がやってるようなことをすると、じんわりとこっぱずかしいというか。
本人に照れがあるとか、ぶっちゃけ実力が伴っていないとか、そういうこととは別の理由が絶対にある。
・・・と言いたいんだけど、実のところ、山本耕史、橋本さとし(はっきり言ってこの役だけはヅカ版の二人よりこちらの方が適役)、坂元健児などの“板”についた役者たちは、なんら違和感なく役が入ってた。
そして特筆したいのが、フランク役の角川裕明。彼もヅカ版キャストよりめちゃくちゃカッコよくてしびれました。多分ベネディクトやフランクのような“色の濃い”(肌の色という意味じゃなく、リアルな男くささが必要という意味の)役は、本当に男であった方が合うのかもしれない。
そうなると、残念だったのが、香取慎吾を筆頭とする(コラ)ジャニーズ軍団。
いやその前に、こんなにジャニ勢が出るとは知らなかったのよ。正直残念な気持ち。
奇才・小池修一郎も、ジャニーズを操縦するような演出技術は持ってなかったなと。
ヅカの演出家なら、むしろ藤井大介の方がジャニーズは得意だと思う。とはいえ今回は、ヅカ演出をジャニーズに施したいわけじゃなく、ジャニーズ側が日本ミュージカル界のカリスマと手を組みたかったんだろうけど。
主婦やOLに大人気のフレンチシェフに、小中学生向けのファストフードを作らせてみた感じかしら(注・必ずしも両者のファンの実年齢層を表しているものではありません)
コラボするのはいい考えかもしれないけど、いくらこまっしゃくれたJSだって、ブルーチーズやトリュフ風味のポテトスナックを喜ぶかしらね?
確かに、ヅカ版でのリヴィングストンやモロイ兄弟なんかは“ジャニーズっぽい”キャラクターではあった。
だけどそれは実は、演じた生徒自身がまだ「男役」になれてないがゆえの未熟っぽさが、ジャニっぽく見えてただけに過ぎない。それを本物のジャニーズがやってしまうと、それこそ「竹ノ塚歌劇団」みたいになってしまうのだ。そもそも小池先生自身が、ジャニーズの男の子たちのどの部分が可愛いかったりカッコ良かったりするのか、あんまり理解してるとは思えない(と、過去の小池作品にたまに出てくる「可愛い男の子キャラ」を見てると感じる)
今回はリヴィングストンを演ったのはジャニーズではない水田航生君だったが、彼のテーマ曲である「ハイパー・サイバー」という曲のギリギリなダサさ(おい)は、一見ジャニーズによくありそうで、実は絶対にないものだ。あの曲を許容できるダサさ加減は、ヅカ独自のものなのだ。
・・・とまあ、結局文句の多い感想になってしまっているが、原作の映画はもちろん、小池先生が脚色したホンそのものも作品としてはすごく面白い(ぼく的には、スケール→映画>舞台、スピード感→舞台>映画)ものだとは思っているのだが、「ならでは」の面白さというものを今回は若干無視していたような気がして残念であった。
小池修一郎の手によるジャニーズを含んだ男女混合キャストの『オーシャンズ11』を作るのなら、新脚本・演出にしてほしかったなあ。ロミジュリみたいに。
ここまでに名前が出てこなかった主要キャストについてちらちらと寸評。
きりやん(霧矢大夢)・・・この人も「板についてる」感ばっちり。安定感しかない。ただ、あまりにもキャラがじゅりぴょん(樹里咲穂)とかぶっているので、これからパイの喰い合いにならないか心配ざんす。
斉藤暁さん・・・ソールはやっぱなんたってまやさん(未沙のえる)が決定版だったので、しょぼくれたおじさん役のイメージが強い斉藤さんに果たして・・・と思ったが、演技力がそれをカバーしてました。
芋洗坂係長・・・今回デカいコヤだったのだが、体格云々ではなく(コラ)ちゃんとコヤのサイズに負けない造形。実力があるってことがわかる。ダンスもうまいし(笑)
ラッキィ池田・・・バシャー・ターも、花組んときの春風弥里ちゃんがめっさカッコ良かった印象があったので「まじかよ」と思ったのだが、意外に良かった。変にふざけてないのが良かった。ちなみに今回彼の振り付けは別に使われていなかったみたい。これは残念。
また話それるが、振り付けもジャニーズの子たちのダンス力と合ってなかったんだなあ。関節が硬い(コラ)ジャニっ子たちには、そういう彼らをカッコよく見せる独自の振り付けがある。『PLAYZONE』や『SHOCK』でその典型的な形を見られるんだが、あれを見て「ジャニーズはダンスがうまい」と思い込んじゃうと(今日はなんか遠慮ないねておどるさん・・・いつものことか)、こういう作品でジャズ系のダンスが弱いジャニっ子を知って愕然としてしまうわけだ。
そもそも今回の作品、技術力が高いキャストはそれなりに踊っていたが、そうじゃない人たち(がこれまた主要キャストにかたまってる)のダンスはヅカ版よりだいーぶ簡単になってた。ヅカ版を記憶している者にとって、これはツラかった。
閑話休題。
ジャニーズ三少年(まとめるなよ!)・・・出てくるのぜんっぜん知らなかったのに、そして、2階席からはまったく顔が認識できなかったぼくの視力なのに、セリフの言い方、踊ってる姿で、「あ、この子ジャニーズだ」とわかってしまう。まあ、彼らのせいだけではない。ぼくのジャニオタ力のなせるわざなのだが。ある意味彼らは他のキャストから“浮いてる”のだが、面白いのは、主役の香取慎吾も含めて4人“浮いて”たのだ。主役本人が浮いてるんだから、むしろこっちの4人の方が“本流”と見るべきだったのかもしれない。なんのこっちゃだが。
観月ありさ・・・うーん、歌はそこそこ歌えるんだけど、やっぱ舞台での立ち方、動き方ができてない。慣れてないんだから仕方ないけど。『オーシャンズ11』は、小池先生にしちゃ(おい)ラブシーンをがんばってるのに、役者たちが板についてないせいか、観てるこっちもこっぱずかしくて困った。
フランク莉奈・・・歌はうまかったが、こんなにダンス下手だったんだぁ・・・という印象。スタイルは観月に負けないくらい、いやそれ以上に良かったんだけど。
井之上隆志・・・達者。安定感のかたまり。何も言うことなしです。
と、ここまでヅカオタ&ミューオタ臭をもわもわさせておいてあれだけど、今回の舞台で一番良かったところは、これまた小池修一郎の最大の得意技(結局ほめてへんな)“第一幕のラストシーン”の絵面のカッコ良さ。
“オーシャンズ11”がV字型に並ぶラインナップはもう、「これぞカッコ良さの実例」みたいだった。
この終わり方、もちろんヅカ版でもやってるんだが、タカラヅカの最大の弱点は、役者がほとんど全員「同じように背が高くて同じように細く同じように脚が長い」――要するに、ただ立って並んでると、人形を並べたみたいに個性が薄くなってしまうという点。リカちゃんファミリーも、見慣れていないものにとってはどれがワタルくんでどれがゴローくんかはもちろん、ピエールパパでさえ区別がつかないのと同じである。
その点、今回のキャスト陣は、のっぽありチビあり、やせありデブあり、ガッチリありひょろひょろありと、バラエティに富んでいてなおかつバランスがとれていた。そんな個性満載の11人が一斉にカッコつけて立ち並ぶ絵は、ヅカ版を凌駕する迫力でした。
さーてと。明日は『シスター・アクト』(邦題:天使にラブソングを)と『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の二本立て(もちろん映画ではなく、舞台の方)
予習(映画版を観ること)できなかったなあ・・・しかたない。まっさらな気持ちで初見といこう。
|