てくてくミーハー道場
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2013年03月08日(金) |
『ベルサイユのばら―オスカルとアンドレ編―』(東京宝塚劇場)〈まさオスカルver.〉 |
予定通り連日満員御礼でごんす。
いやー、安定のドル箱だねベルばら。
(こういう書き方するということは・・・)
はい、お察しの通り、必死になってとったチケット代が、高く感じられる出来でした。
オブラートに包めません。(←おお、かなりご不満のようだね)
まぁ今回に限らず、ベルばらを観ると毎度思うのが、
「この芝居を最後までくじけずに観れるかどうかで(オイ/汗)その人がタカラヅカの客になれるかどうかが決まってしまう」
ということ。
そんだけ特殊すぎる演目なんです。
そして、その特殊さの中に、「ザ・タカラヅカ」のエッセンスが凝縮されていると言っても過言ではない。
ベルばらに比べれば、他の演目なんて楽勝なんです。(えっ? おい)
これほど変で、これほどタカラヅカそのものな演目はないんです。(あのー・・・その辺で・・・)
というわけで、今回も安定の「お貴族様方の過剰な敬語」「上品なんだか下品なんだか不明な平民野郎言葉」「キャッチボールになってない会話」「どこかがズボっと抜けてるような展開」満載でお届けされました。
オスカルはやたら女、女と罵られ、いつのまにかアンドレはイケメンと呼ばれ(いや確かにイケメンだけど。原作でも舞台でも)、価値観が18世紀なのか70年代なのか21世紀なのかカオスでした。
でも、ま、それは一応受け流した。『ベルばら』ってそんなもんだ。そう覚悟して行ったのだ。
実は、今回とてもがっかりしたのが、まさお(龍真咲)の役づくり(本日はオスカルでした)だった。
ぼくはここ数年ちゃんとタカラヅカを観ていないので、まさおがトップになる前に出ていたバウものとか一切観ていないし、本公演でもあんまし注目してこなかった。
思ってたよりだいぶ演技力のない子だったのかもしれない。
歌はそこそこうまいので(鼻づまり声だが)、ある程度好感は持っていたのだが、こんな(←キツいですよ?)程度だったのか。
残念だ。
オスカルだからって、心もち女っぽい声でやろうとしていたところが、すでにこっちの感覚と合わない。
これまであまたのオスカルさんたちの中で、概して観客からも批評家からも評判が悪かったのが「女っぽいオスカル」だったので、これはぼく一人の感覚とは言えないと思う。
なぜオスカルは男役が演るのか、わかりきってると思うのだが。
アンドレやジェローデルと会話する時でも、オスカルは「男役の発声」でやってかまわないのだ。
いや、そうすべきなのだ。
それが「オスカル」なんだ、ってことをわかってない人には、トップだろうが(怒りにまかせて酷いこと書きそうなので、自主規制)
まぁ、オスカルがおとっつぁん(ジャルジェ将軍)にビンタされてヨロヨロ倒れるなんて芝居をつける演出家だから(えっと・・・まさかこれは長谷川演出ではあるまいな・・・おいら、大変な人を敵に回してるのかな?)、まさお一人の罪でもないのかもしれないが。
そういやこのシーンでは、たいていのオスカルは倒れてた。倒れなかったのは、ぼくが過去最高のオスカルだと思ってる稔幸オスカルと真矢みきオスカルぐらいだったかもしれない。つうか、ぼくは全部のオスカルを観てるわけではないし、このシーンがなかった人もいた。その中にも良いオスカルはいた。
閑話休題。
まさおのオスカルはとにかく女々しくて、ぼくはやんなってしまった。
倒れるといえば、バスティーユで倒れるところも変だった。
すんごくわざとらしいのだ。
これも演出なのか、単純にまさおの身体能力のせいなのか、ぼくにはわからなかったが。
いちいち「ナニコレ?」と思ってしまうオスカルだった。
そんな中、救いはみりお(明日海りお)アンドレであった。
え? 単純にひいき心理だろうって?
ええ、みりおびいきですよあたしゃ(←開き直り)
だって芝居うまいもん。(これまでのアンドレで一番てわけではないが)
歌もうまいもん。(これもこれまでのアンドレで/以下同)
ダンスは(←おい!/焦)
・・・それはともかく、何の伏線もない植田脚本(ご、ごほ)という大ハンデの中で、ひたすらオスカルを愛し、失われていく視力と戦うアンドレ。そのいじらしいまでの男の純情を、よくぞ演じていたと思う。
ぼくは、アンドレ&オスカルのシーンでは、「今宵一夜」よりも毒殺未遂のシーンの方がぐっとくるのだが、今回みりおのアンドレにきっちり泣かされた。
自分にはオスカルを愛する資格がないのかも・・・という気持ちがよぎる瞬間のアンドレの悲しみが、
「これからは・・・」(ここで「おれじゃなくジェローデルが」という続きのセリフをぐっとこらえる)
という、途中で切れてしまうセリフに込められている。
胸に迫るものがあった。
充分合格でしたよ。
みりおのオスカルがはよ観たい(あ、やっぱり両方観るのね?)←当たり前じゃあないか!
んで、今回儲け役つうか、当人の実力をもってすれば当然という良い役だったのが、アラン。
マギー(星条海斗)、ほんまに骨太(太いのは骨だよっ!←わざわざ断るな!)で、見事な荒くれ野郎っぷり。
ふつうアランが「女のくせに」を連発するシーンでは、「お前も女じゃ!」と心の中で突っ込みたくなるタカラヅカあるある(?)であるが、マギーが言うと、「へー、おっしゃるとおりでございます。貴方様は、いよっ、男の中の男!」(←コラ)と思ってしまうのであった。
もちろんこれは賛辞である。
あんな大男(おいおい)相手に、なぜ勝てる? なよなよオスカル(もう、やめて/涙)
でも、アランの妹ディアンヌとの悲しいエピソードは丸ごとカットであった。ディアンヌ自体出てこない。
まぁこれは仕方がない。時間がないうえに、話の軸がぶれてしまう。
だいたいディアンヌどころか、トップ娘役のちゃぴ(愛希れいか)は、とりあえずロザリーという、オスカルアンドレ編でのヒロイン格のお役を頂いておきながら、ロザリーがらみのエピソードはほとんどカットというむごい仕打ち。
フィナーレでぶいぶい踊るところしか(しかも「ボレロ」踊ったのはまさみりだし)見せ場がありませんでした。
歌劇団の男役偏重は相変わらず甚だしいですな。
とはいえ、今回のバージョンでは、ジェローデルも、ベルナールも、フェルゼンも、みぃんな役不足。かわいそうだがそういうバージョンなのだから仕方がない。
まぁそこが“タカラヅカのベルばら”なんですけどね。
オスカルとアンドレとアランの次にでかい役は、ブイエ将軍であったな(笑)
「後でオスカルを私の部屋によこしてください」
なんて、何をする気なの将軍!キャー!(←おいっ!/怒)
ふ、ふざけてすみません(心より反省)
えーと、最後に二つ満足したところを書いて締めます。
ばあや(憧花ゆりの)、良かった。
ばあやって、未熟な生徒だと、わざとらしいワンパターンな年寄り芝居をして白けてしまうんだけど、すーちゃんは上手かった。
ぼくにとっては、専科の京三紗さんのばあやの次に好きなばあやでありました。
あと、まさみりの歌声は声音が似ているせいか、「愛あればこそ」のユニゾンといい、ハモりといい、聴いていてとても心地よかった。
ここまで声が似ているデュエットは過去なかった気がする。ベルばら以外でも。
あ〜あ、せっかくのこの黄金のハモりが、次回公演から聴けぬとは(みりおが組替えになるので)
まあ、これでみりおのトップ(えーと、今も1.5番手なんじゃなかったっけ?)が近づいたわけで(あれ? そうなのかな・・・?)、喜ばねばならぬのかもしれんが。
・・・いやいや、そういうことで一喜一憂するのはやめよう。
大事なのは地位階層ではない。やりがいのある役に当たるかどうかだ。
つうか、どんな役でも「この人がやると良い役になる」ってのが理想なんだよね。
なのでこれからもぼくは、みりおはもちろん、みっちゃんも力いっぱい応援することを誓います(い、今みっちゃんは関係ないじゃないか!)
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