てくてくミーハー道場
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2012年12月21日(金) |
『プロミセス・プロミセス』(新国立劇場 中劇場) |
アッキー(中川晃教)と藤岡正明くんのダブルキャストで、アッキー版には間に合いませんでした(別に、以前書いていたように「アッキーはチャックみたいな役はどうのこうの」という理由ではないです。・・・いや、その理由も10%ぐらいあったけど・・・)
藤岡くんは、普通に上手いしシリアスな役もできますけど、このチャックのような、さえない、目立たない役をやってもいやみにならないというか、アッキーみたいに「何言ってんの、お前超個性的じゃん」て感じではないので(おっと褒めてない!)良かった。
ただ、その地味さが(褒めてない褒めてない/汗)結局“主役らしさ”の欠如につながり(ほ、褒めて・・・/激汗)、作品全体がちょっとこじんまりしてしまった印象。
ただ、これは藤岡くん一人の責任じゃなく、ヒロインのタニ(大和悠河)やライバル(?)役の岡田浩暉くんにもブロードウェイミュージカルらしいどーんとした押し出しがなく、良心的なキャスティングなんだけど、かなり華やかさに欠けた作品になってしまった。という感想を抱きました。
岡田くん演ずるシェルドレイクは、いわゆる「主人公に対する敵キャラ」なんだけど、主人公チャックがさえない男なので、こちらは超二枚目。
その二枚目っぷりは水も滴る感じで良かったんだけど、イケメンボイスを重視しすぎたかなりの低音セリフがよく聴きとれなく(ぼ、ぼくの歳のせい?)、おまけに妙なヒーリング効果もあって、彼がしゃべってるシーンで一か所眠りに落ちてしまった!(×_×;)←何やってんだおめえは(叱)
タニ演ずるフランは、タニの不得意な(決めつけるな!)“おしとやか美人”で、だからさ、タニ本人は確かに美人には違いないんだけど、こういう役はまだ早いんだって! つうか、ぶっちゃけ似合わない。
・・・いや、映画ではこの役、シャーリー・マクレーンだよね?
フランの造形が薄っぺらかったのは、単純にタニの実力不足なのか?(おい!)
まぁ、役づくりの是非はともかく、歌は普通に下手でした、相変わらず(←もっと優しく書けよ!/涙)
だって・・・下手は下手だよ。この作品中最大のヒット曲「もう恋なんてしない」をこんなにも単調に歌われて、バート・バカラックが可哀相でした。
そんな中、一人気炎を吐いていたのがじゅりぴょん(樹里咲穂)であります。
もーこういう人、絶対必要だよね日本のミュージカル界には。
歌の実力はもちろん、コメディエンヌぶり、容姿の華やかさ、どれをとっても満足。
まぁ、じゅりぴょんの場合、こういう役(『ウェディング・シンガー』のホリー、『絹の靴下』のジャニスなど)ばっかり(・・・でもないか。シリアスな役、かわいらしい役もやってるけど)来るって点を本人はどう思ってるかはわかりませんが、日本のミュージカル界の女優陣に、こういう役をやらしくなく圧倒的華やかさでできる人が少ないから仕方ない。
他の方々については、特に不満はありませんでした(正確な意味で「役不足」な人が数人いた気がする)
実はこの話、原作の映画『アパートの鍵貸します』が名作すぎるので、わざわざ舞台化する必要ってあったのかなー? と若干思いながら観ていました。
バカラックの曲が良いから、それほど舞台化も無意味ではないんだろうけど。
お気楽なラブ・コメディのようで、上司に取り入るために自分のアパートを「○○部屋」として貸し出すなんて、ほんとなら実にエグい話なんだよね。
ニール・サイモンらしい、風刺の効いた話なんです。(後日追記:知ったかぶってミスしてしまいました。この風刺の効いた設定は、映画版の原作者であるビリー・ワイルダーのものでした)
三谷幸喜氏や清水義範氏がこの映画が(というか、清水さんはビリー・ワイルダーが、三谷氏はニール・サイモンが)大好きらしく、この二人の作風が大好きなぼくもこの映画は名作だと思ってますが、舞台版への印象は意外と「こいつら(チャックの部屋を借りたがる上司たちに限らず、チャック本人も)、ひでえ下種野郎どもだな」という感想を抱いてしまった。
時代の違いなんだろうか? それとも、演じている役者のイロの違い? それか、演出の違い?
時代の違いだとしたら、シャレの通じないいやな時代にぼくは生きてるのかな? とちょっと悲しい思いに陥ってしまったのでした(く、暗いよ!/汗)
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