てくてくミーハー道場
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2012年09月23日(日) |
『阿呆の鼻毛で蜻蛉をつなぐ』(本多劇場) |
(数日前より、都合により日付けがずれてきております。この公演も実際に感激したのは22日です)
一日ごとに涼しくなるのが人間(と生物全般)の希望なのだが、地球の水蒸気はそういうことをあんまり斟酌してくれない。
いきなり肌寒く雨を降らせ、前日よりも気温は10度近く乱降下。
そうかと思ったら、昼過ぎにまたカンカン照り。
でももうあの酷暑はさすがに去ったようだ。
あとは、朝晩の油断で風邪をひかぬよう気を付けましょうね。
お彼岸なので、家族そろって墓参りに行きまして、昼過ぎに解散。夕方からぼくは芝居に出かけました。
赤堀雅秋脚本を観るのは、2回目か。
奥歯に物が挟まったような物言いをするのがメンドくさいお年頃になってきたので一言で言いますが、
「あんまり理解できなかった」
最近、新作を理解する回路が失われてきたのかなぁ。
いわゆる、昔ぼくが「なんで年寄りって、予定調和が好きなんだろう?(例:水戸黄門)」と思っていた、その年寄りに、自分が成り果てているのかもしれん。
決して、退屈だった、とか、観てて不愉快だった、という芝居ではないんだけど、とにかくなんか、
「だから、どうしたの?」
と思ってしまったのだ。
基本的に赤堀氏のホンってそういうものらしいのだが(『ウドンゲ』を観ただけの判断だが)
特に大事件は起こらない、っていうのが特徴らしいし(←今回の話では、大事件(連続殺人事件)、起こりまくってるんだけどね。でも、その事件すらも、このお話の世界では、「それがどうかしたの?」みたいな扱いになっていて、それが不気味で物悲しい赤堀ワールドになってる・・・感じだ)
出演者たちは、ぼくのトシがトシなので、年長者チームの(市川)しんぺーちゃんとか、伊藤正之さんとか、吉本菜穂子さんとかは知ってた。
あ、あと、『レシピエント』で初見だった橋本淳くんは、今回実質“主役”っぽかった。
その他若い役者さんたちは、多分みなさん初めて見る人たちだった。
それがね、みんな達者なのよ。
なんか悪いことみたいな書き方してしまったけれども、もちろんいいことです。
ただ、達者であるがゆえに、特にひっかかりがないという感じ。
矛盾してるよね。
とらえどころのない感想で申し訳ありません。
要するに、ぼくにとってこの作品は、妙にとらえどころのない話だったということなんです。
世界の終末をするっと信じてしまっている若者数人と、そんなこと当然頭っから相手にしてない大人たち。
その世代間のどうしようもない軋轢と、田舎町の閉塞感。
やんなるな。
止まない雨と同じくらい、やんなるな。(←話の途中から、ずっと雨が降り続けるんです)
そういう話でした。
総代(河原雅彦)の演出ですが、彼の演出作品は、『時計仕掛けのオレンジ』と『飛び加藤』ぐらいしか観てないんです。
『時計仕掛け〜』はまぁ、映画版がやりつくしたっちゅう強力なハンデがあったにせよ、舞台版としても面白かったと思う。
『飛び加藤』がね・・・正直(はい、以下書いても良いことないのでカット)
で、今回のは・・・どうだろ? 批評できるほどちゃんと観てないんだよなー。
あ、最近のエンゲキは、最初の方にカッコよくタイトルを文字で見せる、っていう演出が多いですね。
昔はそういうの、ほとんどなかった気がする。
舞台上でカッコ良く文字を出す技術や発想がなかったんだろうな。
もちろん、今でも別にそういうことはわざわざしないよ、っていう意思を感じる演出もあります。
タイトルを出すのは、映画好きな演出家に多いような気がするな。
で、今回もそういう演出がありましたんですが、その出し方が、これまたなかなかカッコ良かった。
話の中でクロスワードパズルがちょっとしたキーアイテムになってるんだけど、それを活かしたタイトルの出し方だった。
んで、全然どうでもいい話なんだけど、そのクロスワードパズルの話。劇中、(ほぼ主役の)春彦の親友である稔がクロスワードパズルをやってて、「海と陸が接するところ。2文字」が解らなくて悩むシーンがあり、結局それは「いそ(磯)」で納得してたんだけど、そうかぁ? と思った。
ぼくは「きし(岸)」だと思うんだがなあ?・・・「岸」は別に海に限らないのか。でもなんか、「解った!磯だ!」って言われても、「そうか!」って共感できなかったんです。
ホントにどうでもいい話だな。
こういうのが若者と年寄りのギャップなのかな?(え? そこまで考える?)
町の人間たちが、連続殺人犯を「人間じゃない」「化け物だ」と表現するんだけど、ぼくらからすると、母親を殺された頭悪すぎる兄妹も、万引き癖の治らない浮き輪デブも、化け物っつうか、宇宙人にしか思えない。
逆に、皆から「化け物」だと思われている殺人犯の青年の孤独は、意外にちょっと理解できる。
彼は祖父から継いだ金物店を若くして経営しているのだが(といったって、田舎町の金物店だから、「どうやって経営が成り立ってるの?」って感じの店だ)、毎日その暗い店の奥から光の当たっている外の通りをじっと見ながら一年を過ごす彼にとって、「外の世界」とは、その四角い額縁の中にだけあるものなのだ。
いわゆる、「自宅警備員」(2ちゃんねる用語で、無職のひきこもりのこと)にとって、目の前の四角いモニタだけが「外の世界」であるかのように。
・・・また得意の深読みをしてしまった。
だからって、人を殺していいわけないし、彼自身、見るからに孤独な異常者ではない。普通に友達もいるし(むしろ、担当医の方が明らかに異常人ぽい描き方をされてる)
やっぱなんとなくもどかしい話だった。
これ以上書いても何にもまとまらなそうなので、終わります(本日絶不調!!)
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