てくてくミーハー道場

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2012年07月22日(日) 『MOON SAGA〜義経秘伝〜』(赤坂ACTシアター)

追加公演(東京国際フォーラム)があるのを知らず慌てて観に行ったわけだが、ぼくのことだから追加公演もぼーっとしてるうちに見逃したであろう。だから、今回行って良かった。

というわけで、公演続行中なのでネタばれ大禁止だと思うのよね。だったら感想書かないでおけよ、と思うんだが、そうしてるときっと書き忘れてしまうと思うので、そうすると、「これだけは言っておきたい」ことが消えてしまうのが惜しいので、書きます。

まぁ、内容に食い込まないように一言で言うと、「GACKTの美学満載」の舞台である。

正直、それ以上でもないし、それ以下でもない。

ただ、それは「原作・脚本・演出」をGACKT本人がやってるって、観た後に知ったから思ったことでね。

脚本・演出を主演俳優がやることは、小劇場の世界ではままあることなんだが、彼のようなメジャーレーベル(これはCDをメジャーレーベルから出してるって意味じゃなくて、活動がメジャー展開してるって意味ね)の人がこういうことをするってのは、いわゆる“ワンマンタレント”ってことになりかねない。あまり良い意味には捉えてもらえないケースが多い。

それより、「その道のスゴい人が、GACKTのためにホンを書いた」って方が、権威主義的な人たちにはアピールするのである。

そこをあえて・・・なのか、単純に全部自分がやりたいようにやりたかったからなのかわかんないけども、なんだもう、自分でも何が言いたいのかわかんなくなってきた(←愚かなやつめ)



と言いますのも、今回見終わって最も衝撃的だったことには、残りのひとつ「主演」に、一番の違和感をおぼえたからなのだ。

「原作・脚本・演出」の三つに関しては、「へえー、やっぱ何だかんだ言って、才能あるねーこの人」と感心したのだが(DEARSの皆さん。どうかどうかこの先は気を静めてお読みくださいませ)、

「この義経役、今のGACKTには、ちょっときっついんじゃない?(年齢的な意味で)」

と思ってしまったのだ! 待って! 落ち着いて!!(←誰に言ってるのだ?)

ぼくは、これまでのエントリでお判りのように、GACKTみたいな“いかにも”な美丈夫にはピクリとも食指が動かないド変態なのですが、前回観させていただいた『眠狂四郎無頼控』では、

「GACKTが“がくっぽ”すぎて批判する気にもならない(ほめてるんです!)」

としみじみ思ったことです。

まったく、これだけ自己イメージを貫いてる人って、すばらしいと思うよ。皮肉でなしに。

ところが、今回の義経役は、その、世間が思う“がくっぽさ”を絶妙にはずしたキャラクター形成がしてあった。

義経の年齢設定、若すぎるのだ。ちなみに今回の『義経秘伝』の年代設定は1183年から84年にかけての話。史実上は義経が24〜25歳ぐらいということになる。なので正直、

「そういやGACKT、おととしぐらいに実年齢を公表したよな。なんでそんなことしちゃったんだろ?」

と残念に思っていた。

そんぐらい、GACKTの実年齢を知ってて観ると・・・いや、知らないでも雰囲気的にもう明らかにムリっぽさを感じるぐらい、義経は「少年キャラ」だったのだ(←ネタばれ)

しかも、ストーリーが進むにつれ、だんだん義仲の比重が増えてきて、

「これ、主役、義仲じゃん?」

と、「おかしいな?」と思っているうちに、スクリーンにはどーんと(ここは本当にネタばれなので、さすがに書きません。国際フォーラムの楽日過ぎたら解禁します)

そういうことなのですか。ちょっと鼻白みました、正直。

こういうものは(ああ、伏せているので、すごーく書きづらい)観客の方から絶大な要望があってやるべきなのであって、作り手の方が最初からそのつもりでやったりなんかすると、諸事情により実現できないで終わっちゃうことが多いのですよ。

こう書くと、ばれちゃうか。





さて、ほかのキャストに関してですが、ぼくが詳しく論じることができるのはタニ(大和悠河)と(早乙女)太一くんぐらいだった。

タニの役は、義経チームの紅一点で、超美人でなおかつ男前(笑)な「巴御前」そのもののイメージ。

最初、タニが出演すると知ったとき、「静」なのかなあ? と思って、また、似合わないなよなよ芝居(こらっ)を見せられるのかなぁ? とおびえたのだが、あー良かった。GACKTありがとう。

こういうおきゃんな役が、やっぱ一番安心して観ていられる。難役に挑戦するのは、もう少し待ってからでよかろう(←なぜ偉そう?)

ただ、ちょろっとアンドレのセリフを言って、弁慶役の古本新乃輔さん(ぼくは声優さんとして存じ上げてます)が、

「本物だあ!」

とかおっしゃってたが、言っちゃなんだが、タニはアンドレ役者としてはかなり異色だったと申し上げたい。正統派アンドレではなかったので、あんまりこういうのは・・・ヅカオタのたわごとはどうでもいいですねスミマセン。



さて太一くん。

実は、太一くんのすばらしさを褒め上げるためだけにこのエントリをしたと言っても過言ではございません!

禿げ上がるほど褒め上げさせていただきますっ!!(←おぬし、血迷うておるな?)

早乙女太一、ブラボォなのでございます( ̄‐ ̄)

ニッポンの舞台芸術界の若き宝の一人でございます。

立ち姿の美しさは言うに及ばず、戦国時代を舞台にした今作品ではいっとう重要な“殺陣”では、ひときわ冴えた超絶技を発揮。

カゲムみたいな、動画(影絵)とのシンクロによる“一人立ち回り”だったのだが、その場で息を合わせることができない「出来合い」(だと思う。その場で動かすには技術が必要すぎるもの)の影絵を相手に、見事なタイミングでひらりひらりと美しく舞うその姿に釘付けとなりました。やっぱ日本舞踊の素養がなくては、ああいうのはかなわんな。

それと、「物ノ怪」というキャラクター設定もあり、終始生気を感じさせないローテンションのセリフ回しで通さなきゃならなかったのだが(その辺は若干『髑髏城の七人』で演じた蘭兵衛とかぶってた)、おさえた声量でもきちんとセリフが聞き取れる。こういうところがさすがだと思った。

さすがといえば、北条政子役の女優さん、すげえ存在感だなあ・・・と感心してたら、太一くん(と、「陽和」役の鈴花あゆみちゃん)のお母さんの鈴花奈々さんだったのですな。おおお、お初の拝見でしたが、さすがでありました。



というわけで、死んでしまった(ネタばれだっつーの!)陰(太一くんの役)が出ない(ネタバレ)なんて、どうせぼくは観ない、観ないぞっっ(T×T)°*+

以上だ。ばかやろう(←なんつー無礼な終わり方だろう)

でも、たぶん次回作では義経のキャラがGACKTのパブリックイメージに近づいていくんだろうなという予想ができる。←一見読めないけど何かすれば読めちゃう便利な伏字

そしたらやはり、観に行くかもしれません。楽しみかもしれません。


あ、そうだ、このことだけは強調しとこう。

GACKTの舞台名物・・・と言っていいのか、毎度とても感心するのが、ほかの通常の舞台作品で言う「カーテンコール」が、めっさかっこいいのよ。ここを観ただけでも「観に来た価値があったなぁ」と満足するぐらいすてきなんです。「エンゲキ」のセオリーに凝り固まった頭では考え付かない感じで、そういうところはさすがだと思う。

そして、最後にスクリーンに映し出された「神威楽斗」氏からのメッセージ、達 筆 !

ピアノとかぁ、書道とかぁ、格闘技(テコンドーだっけ?)とかぁ、語学とかぁ・・・、見た目や職業、財力にとどまらず、教養までもが少女マンガしてるこの男・・・やっぱオレは好かん(←500%嫉妬)

今度こそ、以上です。(おいこらそこの負け犬)


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