てくてくミーハー道場
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2012年03月14日(水) |
『ワンダーガーデン』(座・高円寺1) |
白い恋人たちの日。
ぜんっぜん関係ないけどねぼくには(←早速やさぐれてますねー)
仕事を午前中で終わらせて、懐かしの(就職して1年間だけ住んでた)中央線沿いへ足を運びました。
この芝居、2009年の夏に初演されまして、行く気満々だったのに、なぜか見逃してしまった(哀)
主演の4名様は、ぼくが現在のように年間○○万円以上を劇場通いにつぎ込むことになった元凶(おいっ/汗)「花組芝居」さんの、オーディション入座第一期生4人からなる「四獣(スーショウ)」というユニット(同期生はもう一人いたんだが、その彼は6年前にリタイアしてしまいました)
ぼくが初めて生で「花組芝居」を観たのが『かぶき座の怪人』(初演バージョン)であって、「四獣」もこの公演がデビュー作でした。
だから、花組さんの座員さんたちの中でも、彼らに対するぼくの思いはひとしおなのです(もちろん、基本的には座長がお書きになるホンと演出、そして女方としての座長に魅せられてが大前提としてあるのだよ)
今回は、同じ脚本を配役変更+新規に4人のステキな女優さんたちからなる「四華(スーホア)」との競演となりました。
四華の方は高橋由美子ちゃんしか知らなかったのだけど、せっかく1日のマチソワで観られるので、両方のチケットを確保。
作・演出はわかぎゑふさん。
実は、彼女のお芝居は、今まで1作しか拝見していない。すまんこってす。
だがしかし、その作品もだったが、大正から昭和初期にかけての日本を舞台にした、ノスタルジックなんだが、現代人にとってはすでにファンタジーみたいな作品世界は、この四人に合ってた。
今まで花組でもやってきた、『婦系図』とか『花たち 女たち』とか、そういった世界。
全員が、女役と男役を一役ずつ、4人で都合8人(正確には9人)の登場人物を演じる。(さらに、「四獣」の方では「四華」が、「四華」の方では「四獣」が、舞台転換のお手伝いをするというステキなごちそうがありました)
そして、劇中では20年のときが流れる、という朝の連続テレビ小説みたいなお話でありました。
基本的に、桂(憲一)くん以外は“女方”なので、女役を演っててもおかしくもなんともない・・・とぼくは思っていたのだが、今回、続けて「四華」バージョンを観て気づいてしまった。
やっぱ、おかしい!(×_×;)身もフタもないこと言わないでぇ(涙)
・・・そうなんだ。「四華」の方を観て気づいた。
「四獣」の“女方っぷり”に気をとられずに観ると、今作の脚本の中にある「大正時代に生きていた日本女性たち」のたたずまいの美しさをダイレクトに理解できたのだ。
お見合いで一回会っただけの相手と結婚できちゃう、当時の日本人男女のメンタルや、完全プラトニックで成立する愛など。
現代ではちょっと考えられない人間関係が次々に展開されても、“男が演じる女”で見てしまうと、その見た目の非現実さに引きずられてしまう。
だが、本当の女性たちが演じると、(もちろん、女優たちが達者だからこそなのだが)「かつての日本女性には、こんなに潔くて美しい生き方があったのか」と、思えてしまうのであった。
もともと男優たちが演じる用に書かれていた、若干極端な言動をする女たちであったにもかかわらず、である。
だからといって「四獣」の方に何も感じなかったわけではなく、(上の方で「やっぱ、おかしい!」なぞとデカい字で書いといてナンだが)男女役早替わりなので、いつもの花組の芝居と違ってノーメイクで演っているにもかかわらず、女役を演っているときの彼らの芝居には、みごとに違和感がない。
考えてみれば、もう全員40代のおっさんたちである。
なのに、芝居力というのか、彼らより6〜9歳年上のぼくが単にお花畑なのか、女役をしているときは、全員ちゃんと「かわいい」のだ。
若干コメディ風味の演出をしてあったので、それでちょっと劇画的な味が加わっていたからこその「かわいさ」だったとも言えるが。
これは、「四華」が男役をしているときも同様であった(宝塚みたいな“男役芝居”ではなく、わざと、男らしさが必要な役、キザな役に背の低い女優さんを当てたりする・・・そういったところで)
なので、逆に「四獣」が男役をしているときは、(逆に桂くん以外、見慣れてなかったわけだが)“普通”に役を演じている彼らを見ることができて、それがけっこう(何だ“けっこう”って・・・)カッコいいのであった(#^^#)
(植本)潤ちゃんなどは、外部出演を何作か観ているので、普通に男役をしているところを見たことはあるのだが、それでも今回演った男役(彼だけ女役一役、男役二役の合計三役だった)の二枚目ぶりには、くらっときた。
いかにも“見どころ!”って感じの、男優4人による女役、女優4人による男役を、最初は気合入れて観てしまったのだが、観終わってみると、逆に、男優たちによるレアな(笑)男役の方が、ドキドキするぐらいかっこよく、女優たちの女役の方が、脚本の本質をしっかりと味あわせてくれる、すばらしい演技だったと言える。
ぼくにとっては。
ストーリーのネタばれをしないように書こうとすると、なんかぎこちない感想になってしまうな。
つっても、ストーリーに関しては、実はどうという感想はない(ナンだと?!)
ストーリーに可否があるわけではなくて、最初に書いたように、『ワンダーガーデン』というタイトルが示すとおり、全体的にふわふわっとした、ファンタジーのような物語だからである。
まぁ何にしても、ふつう男の役者4人でなんかやろうっていうと、4人の性格の違う男たちが、葛藤したりとか? バイオレンスしたりとか? 哀愁したりとか?・・・いかん、ぼく、全然イマジネーション貧しいじゃん。
まぁ、そんなふうになるところを、さすが花組芝居の役者たち。完全にぼく好みの内容で楽しませてくれました。
おまけに、マチネもソワレも、終わってからミニサイン会があって、ぼくもしっかりパンフレットにサインをいただいてきました。
8人中4人分だけだったので、あと2公演、行こうかしら?(←カモ)
あ、そうそう。ソワレ後のカーテンコールのときに地震がありまして。
千葉の方がかなり揺れたそうだったんだけど(怪我などをされた方々に、お見舞い申し上げます)、高円寺も「うわわわ・・・(怖)」ってくらい揺れて、心細かった。
でも、東京ではよくある、電車の遅れなどもこの日はなく、幸運でした。
地震・・・本当に怖いけども、「備えを忘れるなよ」と自然が言い聞かせてくれているのだと、肝に銘じることにしましょう。
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