てくてくミーハー道場
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| 2009年05月03日(日) |
宝塚歌劇団花組全国ツアー『哀しみのコルドバ』『Red Hot Sea II』(市川市文化会館) |
この演目は“伝説の”ヤンミキ時代の花組の、“伝説の”安寿ミラ様と森奈みはるちゃんコンビの“伝説の”サヨナラ作品。
「アラウンド80周年」(1994年)にタカラヅカにはまった身として、思い入れたっぷりの作品であります。
初演は星組の通常公演だったが、これはカットされまくりの『花の指定席』でしか観ていない。
素直に申し上げると、ストーリーは古い少女マンガ(今だったら韓流ドラマ)ばりの荒唐無稽さであり、主人公カップルばかりじゃなく、周辺の男女にもドラマを広げたわりに、それらが微妙に中途半端に終わっている。ドラマ巧者の柴田先生の作品としては、さほど名作でもないのだが、なにしろこの作品の魅力と言ったら、主題歌「コルドバの光と影」のカッコよさと、名曲「エル・アモール」につきる(と思う)
特に、「コルドバの光と影」の歌詞なんか、目の前にぱーっと風景が浮かんできて、「コルドバ、行ってみてぇ〜!」と思わせる魅力に溢れてる。
それと、プロローグがとにかく爆発的にカッコいい!
(音楽を拝借してるってのもあるが)ビゼーのオペラ『カルメン』に匹敵するパッションである。
地方公演のせいで人数が少なくなっているにも拘らず、マタドール姿の男役の群舞、そして、その男役たちとフラメンコドレス姿の娘役たちが入れ替わる瞬間の迫力なんぞはもう、トリハダものである。
プログラムを見たら、今回この場面の振り付けを担当されたのは、ANJU先生だと書いてあった。
おお!( ̄ー ̄ )←満足&納得の笑み
ただ実を言うと、この作品、最初に書いたように脚本的に「?」なところもだいぶあり、ただ、前回そこを「まあいいか」と許容したのは(←偉そう)やはりヤンさんのサヨナラだったから、という部分もあった。
それが、今回も、いかにも「サヨナラ作品」向けのセリフである、
「明日が最後の仕事だ」
とか、
「悔いのない舞台を」(「試合を」だったかな)
とかのセリフが、そのままだったのが疑問だった(このセリフって、初演からあったのか? 昔のビデオを掘り出してくる気力が今はない・・・)
ただ、今までぼくはこの芝居を観て、最後にエリオが自ら死を選ぶという結末に、「なぜだ」「死ぬほどのことなのか」と思っていたのだが、今回のまとぶん(真飛聖)の演技によって、その辺が非常に納得行った。
過去の方たちのお芝居がどうのというんではなく、まとぶんの芝居って、いちいち腑に落ちるのである。ちょっと前の表現をするならば、まとぶんの演技は「ナチュラル」ってことなんだろうな。
もちろん、脚本的には、エリオが死を選ぶほど絶望してしまう理由は明白である。
主人公カップルが実は腹違いのあにいもうとであったという悲劇に、単純に「初恋が結ばれなかった」ということ以上の意味を、柴田先生は持たせているからである。
それは、エバが8年前のエリオとの“デート”を懐かしんで言う、
「人気のない教会の裏で・・・楽しかったわ」
というセリフである。
すみれコードに配慮して「・・・」になってるが、これはもう、タカラヅカの革命家(?)柴田先生の真骨頂である。
つまり、二人は、「・・・」しちゃってるってことなんである(すみれコード、すみれコード!/焦)
悲しむべき、近親(略)
エリオが絶望するのは、当然なのだ。
そのあたりを、決して生々しくなく、それでいて充分納得できるように演じていたまとぶんと彩音は、すばらしかったと思う。
(ただ、彩音の歌のへたさには、今回かなり閉口した。他の曲ならいざしらず、名曲「エル・アモール」があれでは・・・かなしすぎる)
リカルドは、前回演じたのがミキちゃん(真矢みき)だったせいもあり、前回はストーリー上の重要性以上に目立ってた感じがして、エリオ、エバ、リカルドの三角関係(初演では、アンフェリータを入れてきれいに四角関係を描いていたようだ)のバランスがぐずぐずにくずれてた感があったが、今回はゆーひちゃん(大空祐飛)の抑えた貫禄ある演技もあって、きちんとバランスがとれていたように思う。
エリオに「おやっさん」と呼ばれるアントン・ナバロを、組長・はっちさん(夏美よう)が演っていたのも、役どころに違和感がなく(本公演だと、役の「大きさ」が男役序列で決まってしまって、年齢設定が無視されてしまうことがよくある。そういうの、ぼくは好きでない)良かった。
ビセント。この役自体にぼくは今イチ感情移入できないってのもあるのだが(だって、国で一番偉い(?)人の女房と大不倫して駆け落ちしたってのに、エリオの最後の仕事の日にのこのこ戻ってきて「今、花屋をやってる」って・・・呑気過ぎねぇ?)、みわっち(愛音羽麗)は顔が少女っぽいわりに(これは男役としてはすごーく損してるよね・・・)芝居は骨太なので、意外にしっくりと、説得力のある演技だった。
(ちなみに、初演時のネッシーさん(日向薫)、再演時のタモ(愛華みれ)とも、ことごとく色気のねー演技だったので(猛毒!)、ますますこのビセントにはぼくは「・・・」だったのである)
フェリペ大尉。この役は一言で言うと「役得なチョイ役」(コラ)
だって・・・出会って間もないのに、アンフェリータがエリオに振られるとすかさず出てきて、
「もう少し時間が経ったら・・・その心の傷を、ぼくの胸で癒しませんか?」
だとぉっ?!(←なぜ怒る?)
お前は谷原章介かっ!!!(意味不明)
シメさん(初演時:紫苑ゆう)だから、許したんだからね!(←大私情)ちなみに、再演の時のリカ(紫吹淳)の演技は、さっぱり記憶にない。すまん。
つうか、おそらく、当時「ダブル三番手」にいたシメさんのために、ムリヤリ作った役なんだろうって気がするこの役。
だって、都合良すぎるもん!この男!!(なぜか怒りまくるておどる)
で、今回その「得な役」に当たっためお(真野すがた)ですが・・・脚長過ぎ!(←八つ当たり?)
いや、うーん、普通に「でろんとした若手二枚目」以上の演技はしてなかったと思います。へい。
こういう役はやっぱね、役の説得力とかのレベルじゃなく、「ただただカッコいい男役であるか」を試される役なんだと思う。
「なんだコイツ」と思わせちゃ、まだまだなんだと思う(あら、厳しい)
さて、あんまり長々と書くのもあれなんで(どれなんで?)お芝居に関してはこれくらいで。
ショーに関してですが、本公演のとき、「またラテン(草野)か」で感想が終わってしまったわけですが、今回も基本的には同じ感想(生徒さんたちが一所懸命やってるのに、それはないだろ/叱)
だって・・・。ぼくはやっぱヨーロッパ色の強いお耽美ショーが好きなんだもん。
ただ、これは好みの問題ですから、人に押し付ける気はありません。
生徒さんたちは皆はつらつと踊りまくっており清々しかったです。
そういや幽霊船のシーンは、別によっぱらいシーンではなかったのね(←思い込み)
でもさ、やっぱタカラヅカっていいよね(すごーいやっつけな感想)
いやだってね。どんなにお芝居の内容に疑問があっても、あんまし好きじゃないジャンルのショーであっても、フィナーレで生徒さんたちが満面の笑みで階段降りてきて、ニコニコしながら三方礼をすれば、心からすっきりと温かい満足感に包まれるのですもの。
何だろうなこのパワーって。
おかげで、風邪もかなり良くなりました(もちろん、周囲の方達に迷惑にならぬよう、マスクをして観劇しましたよ)マスクしてて、逆に「おいおい。家にいろよ」と思われたかも知れないが、インフルエンザじゃないので、許して。
星組(東京宝塚劇場)の感想書かないうちに、来週あっと言う間に雪組観劇。
今年から本公演の上演期間が短くなって、年11〜12回公演になるらしいっす(プラス青年館とかもある/東京の場合)
・・・慌ただしさはタカラヅカに似合わないのに(−−;)
こっちにも金銭的時間的都合があるのに(←本音)
でも、可能な限り行っちゃうのよね。
そして、慌ててるせいで、予約録画失敗したりするのよね(涙←自業自得)
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